- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103147619
感想・レビュー・書評
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重い話
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大学・大学院のどろどろとしたことが実名で書かれている。大学・大学院の先生の大変さは社蓄を上回る。
「これからは、1800時間以上は働かないようにして下さい」 3500時間働いているモーレツ教授は憤慨した。「1800時間?! 何を寝ぼけたことを言っているんだ。そんなことをしていたらMITに勝てない!」
なかなか論文が増えない白川さんに「君、まさかジャーナル・オブ・ファイナンスとか、エコノメトリカなんかに出したんじゃないでしょうね!」
IBM東京基礎研究所に勤める二宮祥一氏の招聘にさいして「おかしな奴が連れてきたからといって、おかしな奴とは限らない」
企業との共同研究なのに「あなたたちのように、規制で保護されてきた人とお話ししても、時間が無駄になるだけです」
「このとき文部省は、一橋大と京大を東西の金融工学の中心と位置づけ、一橋に対して近い将来、東工大の『理財工学研究センター』と合併するようアドバイスしたようである。」
「50歳までは無理だということは、自分でもわかっていたはずですよ。それを知っていて、生きている間はトコトンやろうと思ったんですよ。そういう奴です」
「日本の確率論は、戦後一貫して世界のトップを走ってきた。そして白川が尊敬する楠岡成雄氏は、大御所伊藤清教授の薫陶を受けたチャンピオンである。つまり確率論の世界的権威なのだ」
「済みませんが、もう少しわかり易く抽象的に説明して頂けませんか」 (東大工学部を代表する数理工学者森口繁一教授が、ある工学上の問題について東大数学科の看板教授吉田耕作氏に相談を持ちかけたときの吉田教授)
「実務家の関心は研究結果とその実効性だけで、途中の細かい話はどうでもよい。一方、大学の研究者たちの関心事は「細部」である。専門誌に発表される100編の論文のうち95編は、誰かがやった研究の細部を変更して、”新しい”と称する結果を導いたものである」
いろいろと裏話が聞けておもしろい。「天才は才能を浪費する」んですね。 -
著者(今野 浩)と、東工大モーレツ天才助教授(白川 浩)のお話です。
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ここまで書いてよいのだろうかという印象を受けるくらい、赤裸々に様々なことが書いてあります。著者の今野先生と「東工大モーレツ天才助教授」の故白川先生の授業を受けたことがあるので、とてもリアルに感じました。
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実名で書かれているから,その分野,さらには周辺の人には微妙であろう。
研究者がみんなこんなに働くわけではない。 -
面白かった。
でも誰向けに書かれたものか、結局何が言いたいのか、は分からなかった。 -
2010 3/28読了。研究室に置いてあった。
若くして亡くなった天才研究者の半生とともに、東工大をメインに大学・研究者の実態を描いた本。
日頃、先生たちのパワーバランスなど気にすることもなくのほほんと日々を過ごしている大学院生である自分には遠い世界のようにも思えるが、そろそろそうも言ってられなくなるのかなあ・・・。
白川先生の研究論文に対する態度には敬意を表するが、自分は今野先生タイプの方が好きだ、という気もする。
結局、量られるのは論文数、っていう。
そういう意味では激励にもなる本であったが、読んでいる時間で研究(ry -
東京工業大学に、ある一人の金融工学の天才がいたらしく、その人についての話である。
教授同士の権力争い、大学同士の権力争いなどが実名で生々しく描写されており、非常に面白い。
金融工学を専攻する学生も読むべきだと思うが、それ以外の大学院進学希望者も一度は読むべき、研究室ライフストーリーだと思われる。