- Amazon.co.jp ・本 (151ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103181019
作品紹介・あらすじ
父は、昔からちゃんと知っていたようにも、まったくの見知らぬ人であるようにも感じられた-第35回川端康成文学賞受賞。最年少で受賞した表題作を含む珠玉の短篇集。
感想・レビュー・書評
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かけらは情景描写が綺麗。欠片はかけらと名を持った時かけらのような軽やかさよりもどっしりしているように感じた。
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読んで納得いかなくても、嫌な気持ちにならない本って確かにありますよね。逆にすごく納得いくし、円満だけどもやもやが残ってみたり。世界観の違いな...読んで納得いかなくても、嫌な気持ちにならない本って確かにありますよね。逆にすごく納得いくし、円満だけどもやもやが残ってみたり。世界観の違いなんでしょうか?おもしろいですよね。
私も読んでみますね~。2012/12/27 -
sorairokujiraさん、いつもあたたなコメントをいただきありがとうございます♪。
私もsorairokujiraさんの本棚やレビュー...sorairokujiraさん、いつもあたたなコメントをいただきありがとうございます♪。
私もsorairokujiraさんの本棚やレビューを拝見させていただくと、本当に好きな本のタイプが重なっているパターンが多くて、読んだことのない本を選ぶときに参考にさせていただいています。
私は最終的にどんな形であれはっきりするタイプ・今後の展開を自分で想像して楽しめるタイプが好きなので、ちょっとうやむやだったりする物語にいらっとしちゃったり・・・。
でもこのお話は嫌な気持ちにはならなかったので不思議なお話だったと思います★
2012/12/27 -
③のお話で、クリームを手で温めてから顔に纏わせるようなシーンがありましたが、それがふわっと優しく入ってきたりしました。③のお話で、クリームを手で温めてから顔に纏わせるようなシーンがありましたが、それがふわっと優しく入ってきたりしました。2020/09/18
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いろんなかけら。
心はひとつだけど、生きているといろんなところに心のかけらが散らばっている。
そのかけらを見ると、いろんなことを思い出す。
そして、いろんな自分にも気付かされる。
かけらを見つめ直すことで、生きなおすこともできるし、再スタートを切ることもできる。
痛みを感じさせるかけらもあるが、それも、かけがえのない大切なかけら。 -
日常のありふれた生活の中の細やかな感情の揺れを見事に表現。切なくなりました。
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「ひとり日和」しか読んだことがなかった青山七恵ですが、これは最年少での川端康成賞受賞作を含む短編集。時折はっとするような言葉のうまさがあり、淡々とした日常の揺らぎがある。「ひとり日和」のときと変わらない印象。でも、確信にはいたらないのです。すっと心を撫でられるような気もするんだけれども、文章力としてはもっともっと上手い作家っているし、揺らぎのなかに緊張感と主題を織り交ぜてくる小山田浩子のほうがずっと物語の構築に長けているとおもうし、なんだかすべてが中途半端に感じられてしまった。受賞作以外の作品のほうがすきだったんだけど、「山猫」とか少女のセクシャルな暗示や緊迫をさらりと通り過ぎていくかんじはいいなあと。けっきょくのところ青山七恵が描こうとしているのは、崩れ落ちそうな可能性を綻びを抱え込んでそれでも淡々と進んでいく日常のあり方なのか。このひとの文学というのは、いったいどういうものなのか、わたしにはまだ掴めていないし評価できません。そもそもわたしが、緊張感や綻びやらを見つめる物語性の高い小説が好きなだけなのかなあ。もう一冊くらい読んでみてからまた考える。
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「かけら」
意図せず二人きりでバスツアーに参加することとなった親娘の情景を描くことで、つかみ所のない距離感、娘にとっての父という存在の不明瞭性を表現した短編。娘の視点から見えている姿こそ、父という存在の「かけら」なのかと。
他の2作も併せて、この作家は日常の何気ない出来事を「かけら」として描くことで、人間・人生の全体を想像させる物語を得意としている印象。
「欅の部屋」
結婚を間近に控えた男が、過去に付き合っていた女との思い出を回想する。
ことある毎に「大人への変化」を感じたがる主人公が、まさしく変化していく過程が、過去の女の影を受け止めることなのか。
「山猫」
大学見学のために西表島から東京に訪れた少女と従姉夫婦との数日間。主人公は、生活環境や年代の違いから心通わぬ従妹をこそ、山猫のような得体の知れぬ野性的な存在と感じていたのかもしれない。
区切り無く視点が入れ替わる手法は、新鮮だが読みにくさも感じた。 -
表題作「かけら」は文芸誌でも読んだから2回目。なぜか青山さんの作品は単行本や文庫よりも文芸誌で読むことが多い。「かけら」「欅の部屋」ともに青山さんらしい、私の感覚でいうと欠点でも長所でもあるそこはかとない主人公の上から目線に彩られた言葉で綴られている作品。
それに比べると「山猫」は異質で、他作品に流れている悪意とも無駄な攻撃力とも受け取れるようなとげとげしさはなく、逆に翻弄される善意が描かれていた。視点の移り変わりも面白い。
善意が強制されるシチュエーションで本当に湧き出てくる善意、その瞬間みたいなものをわかりやすく描いていた。 -
父親を客観的に見定めようとする娘が出てくる表題作に、前の彼女を気にかけている婚約中の男の話と、あともうひとつの短編が収まった一冊。子供だった時も大人になってからも父親のことを大好きだった私にはピンと来ない話でした。
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予定外に父とふたりでさくらんぼ狩りに行くことになった桐子の話、かけら。
無口な父親と、娘の微妙な関係がリアルでした。
同じ年頃には、私も父には優しく出来てなかったかもと思い出し、今は年老いた父に優しくしようと、ちょっと切なくなりました。
結婚を控え、元カノを忘れるために思い出す諒助の話、欅の部屋。
あまり魅力的に感じられない小麦。でも、諒助には、二人で過ごした時間が大切だったということが、切々と伝わってきます。
それは、何も知らない婚約者華子が、かわいそうに思えるほどでした。
西表島から上京したいとこ栞に翻弄される杏子の話、山猫。
これは嫌。
このシチュエーションは、私も困るなと。
この話だけ、くるくると視点が変わり、少し読みにくかったです。