塩狩峠

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 468
感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103207016

感想・レビュー・書評

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  • 漠然と知っていたがちゃんと読んだのは初めて。なるほど感動的なストーリー。かつ未だヤソ教と言われていた時代の話だからこその背景も判りました。キリスト教に傾注する辺りが判り難いけど私みたいな凡人にも読み易く構成されているのは助かります。

  • すごいの一言。
    自分を犠牲にして人を助けられる人。

  • 高校生のころに、学校司書さんにおすすめされて読んだ。
    緘黙を抜けきってなかったから「返却おねがいします」くらいしか話したことなかったけど、なぜかおすすめしてくれた。
    そんで三浦綾子を3冊くらい読んだ覚えがある。氷点だったかな?

    キリスト教的っつうかアンデルセンとか宮沢賢治みたいな自己犠牲を私は好きじゃなくて、全然しっくりこなかったのは覚えてる。
    こうやって助けられたほうは気まずい感じになっちゃうよねみたいな。
    自己犠牲と自己満足の境界はとても近いから私には区別がつかない。

    内容云々よりも、これをおすすめされる自分が大嫌いだった。

  • 宗教にはアレルギーというか、関わりたくないと思っているが、序盤は信夫がキリスト教に反発をしているので入りやすかった。
    清らかな精神の信夫やふじ子ら登場人物に、
    澄んだ空気の北海道の情景はよく似合う。
    結末はただただやるせない。
    ふじ子や周りの人が信夫の損失にキリスト教という信仰が支えになるのなら、宗教も悪くない。

  • 信夫さんに感無量。

  • ずっと前に人に勧められた本だが、この時期に読んだのは、この本が好きな友達とちょうど一緒に旅行していたからだ。

    この本を読むまで、キリスト教について、というか宗教を信仰することについて、なんとなく快く思っていなかった。

    まず最初に、宗教にのめり込む=怖いことだろうと、なんとなく思っていた。アメリカにいた時は、毎週教会に行って聖書も読んでいたけれど、意味がよくわからなかったのもあるし、なんだか熱心にお祈りをしている姿を見てうす気味悪く思っていたのもある。どんな宗教でも、日本ではそんなに熱心にお祈りしている人を見たことがなかったし、日本ではそういう人は敬遠される傾向にある気がする。私にも自然とそういう姿勢が植え付けられていたのだろう。

    また、怖い、と思う理由には、知らないということもあると思う。私はキリスト教はどんなことを教えているのか、全く知らなかった。まあ、カトリック教も仏教もイスラム教もヒンドゥー教も知らないけれど…。だから、熱心に信仰している人を見ると、なんとなく怖いような気がしていた。

    だがこの本を読んで、キリスト教で教えられていることを知って、キリスト教を信仰する人の気持ちも分かるような気がした。そして、信仰するというのは、うす気味悪いことでも怖いことでもないことも理解した。また、信夫のように、いつも人に優しく生きていきたいという思いが私の中にあり、この本を読んで本当に感動したので、なんだか聖書を読んでみたくなった。知らないまま、なんとなく快く思わない、というのではなく、知ってから判断したいと思ったからだ。実のところ、キリスト教って私にぴったりかもしれないと思っているが。まあ、どんな宗教でも、教えていることの根本は同じなのではないかなあと思ったりはするけれど、とりあえずまずは聖書を読んでみようかな。

    ところで、青年期の信夫は「死」について疑問を抱いているが、私も今年に入ってなぜ人は死ぬのかや、死に対しての恐怖を抱くようになった。この本を読んで、誰しもがこのような悩みを抱えているのだろうか、と考えることによって、多少は気が楽になった。

  • 実在の人物 長野政雄をモデルにした主人公 永野信夫の人生を描いた作品。両親のキリスト教信仰を嫌っていたが、あるとき信仰に目覚め、非常に信心深く清廉に生きていく。大変模範的な生き方をしていたにもかかわらず、ラストの悲しすぎる死。
    読んでいて面白味のある小説ではないけど、じーんと来るものがある。

  • 塩狩峠

  • なんとなく話をしっているだけに,いつクライマックスがくるのかなあと思っていたが,どんどん話に引き込まれていった。そして短い描写でのあっけない死と,じわじわくる周囲の悲しみ。そしてまさか実話という驚き。

  • 三浦綾子さんの著書をきちんと読むのは初めてだったが、クリスチャンでもあったということで、キリスト教の要素が多く含まれている。
    聖書の一節なども多く出てくるし、登場人物の多くがクリスチャンという設定。
    でも時代的にキリスト教=“ヤソ”と呼ばれて忌み嫌われていたという背景もきちんと描かれていて、クリスチャンではない人間がいけないというような描かれ方もしていない。
    宗教の自由というものが根底にあった上での、キリスト教の素晴らしさのようなものが描かれている。

    とりわけ心に残ったのは『汝を責むる者のために祈れ』という聖書の一節だった。
    責められたら理不尽に思って責め返したくなるけれど、そうではなくて、自分を責めたり憎んだりする人のために祈りなさい、という教え。
    簡単に出来ることじゃない。
    自然とそんなことが出来るようになる日が来るんだろうか。
    そんな風に考えてしまうような箇所が他にもたくさんあった。

    ラストは究極の自己犠牲なので、賛否が分かれるところだと思う。
    こういう自己犠牲は、簡単に美化出来てしまう。
    だけど違う選択の仕方も出来たのではないか、とも考えてしまう。
    キリスト教に出逢って人生が変わったひとりの青年の生き様を、深い思想とともに描いた長編。

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著者プロフィール

1922年4月、北海道旭川市生まれ。1959年、三浦光世と結婚。1964年、朝日新聞の1000万円懸賞小説に『氷点』で入選し作家活動に入る。その後も『塩狩峠』『道ありき』『泥流地帯』『母』『銃口』など数多くの小説、エッセイ等を発表した。1998年、旭川市に三浦綾子記念文学館が開館。1999年10月、逝去。

「2023年 『横書き・総ルビ 氷点(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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