ツナグ

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103283218

感想・レビュー・書評

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  •  生きているうちに、一人だけ死者と会うことができる、その窓口「使者(ツナグ)」。
     生きているものは、使者を介して、たった一人、たった一晩、会いたい死者に会うことができる。憧れていたアイドルに、母親に、親友に、婚約者に、生者は会いたいと願う。

     会いたいと願う人がいて、会うことが実現する。そこにドラマが生まれるのは、いわば当たり前。この作品のすごいところは、「使者(ツナグ)」自身にも焦点を当てたところだと思う。死者とつながれる人なんて、この世の人じゃないんだろうと思っていたら、使者である彼は、普通の男子校生徒。
     生者が死者を呼び出すなんて、傲慢なことではないのかと考えあぐねる歩美くん。ただ、憧れのアイドル、サヲリに会った後の平瀬愛美が、まるでサヲリのように生き生きとしているのを見た彼は、自分の考えを改める。

     「死者を、自分の生に活かす。その生者のわがままは、肯定されてしかるべき感情だ」、と。

     死んだ人の時間はそこで止まってしまう。けれど、生者である私たちの時間は流れ続ける。私たちは、傲慢に、図太く、生きていくしかない。

     そして、私は死んだ後、誰かに呼ばれるような、そんな生き方ができているのかな。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「そんな生き方ができているのかな。」
      そうありたいですね。
      読む前は、逢いたい人のコトを思い浮かべましたが、、、
      話を変えて、映画で歩美役を...
      「そんな生き方ができているのかな。」
      そうありたいですね。
      読む前は、逢いたい人のコトを思い浮かべましたが、、、
      話を変えて、映画で歩美役を演じた、松坂桃李はピッタリだと思いました。。。
      2013/01/21
    • HNGSKさん
      にゃんこさん>>私も、この作品を読んでいて、樹木希林さんと、松坂桃季くんが出ては消え、出ては消え、しました。ピッタリですね。
      にゃんこさん>>私も、この作品を読んでいて、樹木希林さんと、松坂桃季くんが出ては消え、出ては消え、しました。ピッタリですね。
      2013/01/22
  • 使者と書いてツナグ。死者と生者を継なぐ仕事。継なげられた人達が主役と思いきや、最後は使者自体が主役となる。謎は一通り解決して納得。

  • 使者と書いて「ツナグ」と読む。
    いちどだけ、死者を呼び出して会うことを叶えてくれる。
    この世のものにとっても、あの世のものにとっても、その機会は一度きり。
    会いたい人を自分で決められるのはこの世のものだけ。

    会いたい人も会いたい理由も目的も人それぞれ。
    アイドル、母親、親友、婚約者…
    当然ながら、感動の再会だけにはならない。
    後悔や未練がすべてなくなるものでもない。
    ある意味ではとても残酷なことなのかもしれない。
    でも会うべき人たちはちゃんと「ツナグ」のもとへ辿りつく。

    そして「ツナグ」という仕事と、その後継者に選ばれた歩美の心得。
    特別じゃない普通の男の子が、戸惑いながらも大切な人たちの死や遺されたもののエゴに直接触れることで、自分の迷いに気づき流れを止めない日常を生きていく。

    映画は見ていないけど、「ツナグ」は松坂桃李くんだったなー。
    ダッフルコート似合いそうだし。
    映画も見てみたくなりました。いや、むしろ見ないほうがいいのかな。


    実は、ブクログにレビューを書き始めたのが、昨年の11月1日でした。
    はじめは書きたい本だけでも備忘録代わりのメモ程度にというものでしたが、結構楽しく続けられました。
    ちょうど丸一年になる日に読み終えた本が「ツナグ」。
    記念すべき初レビューの本が同じ辻村深月の「ふちなしのかがみ」でした。
    わお、なんかキレイにまとまった偶然に運命感じるなぁ。
    これからも続けていけるといいな。

  • 死者は、残された生者のためにいるのだ
    最後の章でとても晴れ晴れとした気持ちになった辻村作品の大きな特徴やな
    まだまだいっぱい読むで

  • 一生に一度だけ、失くなった人と再会させてくれる使者(ツナグ)。

    現実にはあり得ない夢物語なのに…
    自分だったら、使者(ツナグ)に依頼するだろうか!?
    とずっと考えてしまいました。

    特に「親友の心得」が、めちゃくちゃ考えさせられた。

    続編も読みたいと思います。

  • 辻村深月さんが好きなので、図書館で借りて読んでみました。最近のミステリー系を読んでいたので、ファンタジーな感じが新鮮だった。初期の方の作品ということで、なんだか若いフレッシュな感じがした。続編もあるので読んでみようと思う。

    • マメムさん
      初コメです。
      感動的な再会もあれば、未練が残る再会もあり、色んな物語に異なる読後感がありますよね。
      続編の感想も楽しみにしています。
      初コメです。
      感動的な再会もあれば、未練が残る再会もあり、色んな物語に異なる読後感がありますよね。
      続編の感想も楽しみにしています。
      2023/01/05
  • いろんなことを考えさせられる作品でした。

  • 死者と一晩だけ会うことができる。
    けれど、生者も死者も一度しかチャンスはない。
    それが本当なら誰と会いたいか、何のために会いたいか、ショートストーリーとして描かれている。
    死者と会ったことで、生者がどう変わったのか、変わらないのか具体的に書かれていないのがよかった。
    辻村深月さんはいろんなお話を書かれるなぁ、と改めて感じた

  • ファンタジックな設定にリアルな心理描写がなされていて、とても入り込めました。
    限られた時間の中で一度だけ死者に会うときに何を言いたいか、実際会ったら何を言えるのか、
    連作短編のそれぞれの主人公の背景とともに心に沁みてくる話ばかりでした。
    報われる話ばかりでないところと、使者自身の過去に触れているところも良かったです。

  • 11月22日読了。辻村深月さん大好きです。が、特に大大好きな作品になりました。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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