- Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103323426
作品紹介・あらすじ
若菜17歳。青春真っ最中の女子高生と、三世代女系のてんやわんやの家族の物語。内縁関係を貫いた曾祖母、族のヘッドの子どもを高校生で産んだシングルマザーの祖母、普通の家庭を夢見たのに別居中の母、そして自分のキャラを探して迷走中の娘の若菜。強烈な祖母らに煽られつつも、友の恋をアシスト、祖父母の仲も取り持ち大活躍の若菜と、それを見守る家族。それぞれに、幸せはやって来るのか……。
感想・レビュー・書評
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主人公は学校ヒエラルキーで中の上(その学校そのものも偏差値53とかで中の上らしい。)を自認する高校二年生女子・若竹若菜。
自分と似た“階層”に属する友だち3人と作る緩い仲間関係にそんなに不満はないけれど、同時に、なんか違う、とも。
そんな若菜がどうしても気になる図書委員の高橋さん。笑っちゃうくらいの“見た目文学少女”で、その彼女が貸してくれた本は太宰治の「人間失格」と来る。
この小説の冒頭からして、その「人間失格」をお手本にして若菜が書いた小説とも手記ともつかない
うっかりした生涯を送ってきました。
自分には、女子高校生の生活というものが、見当つかないのです。
自分は日本中どこにでもある地方都市に生まれましたので、ドン・キホーテをはじめて見たのは、よほど大きくなってからでした。
なんだもの。(#^.^#)(#^.^#)
本を返しながら若菜は高橋さんに「ワザ、ワザ」とささやき、それ以降、若菜は彼女から“竹一”と呼称されてしまうわけなのだけど、往年の(大汗)太宰信者にはなんとも痛面白い展開&文運びで、うん、とっても気に入ってしまった次第です。
自分のキャラを模索する平凡な主人公、というのはこれまでにも腐るほど(失礼!)あったテーマだと思うし、そこに出てくる脇の人たちが魅力的だったり面白かったりとなると、結局主人公だけが無色透明&優柔不断な傍観者という位置付けもまたよくあるパターンで、最初、このお話は高橋さんを見つめる、あるいは振り回される若菜、という話かな、と思ったのですが、読み進むうちに、確かに高橋さんは自ら見事に作り上げた強烈文学少女キャラながら、若菜もいやいや、たいしたもんですよ、と。(嬉・嬉)
しかも、若菜の家は、それぞれの事情でシングルマザーになった曾祖母・祖母、また、家を出はしたけれど若菜の母との約束(契約?)で毎日夕食だけは食べにくる父、というこれまたみんな非常~~に強烈な(ゴメン、このフレーズが頻発だけど、ホントにそうなので許してほしい。)メンバー、その上に受験生の弟もなかなかヤルんですよ。(#^.^#)
若菜が高橋さんの“竹一”としてあれこれ動いたり、考えたり、また家族の中でも、自分のこと、それぞれの家族のこと、をぐるぐると考えているその心の動きや行動がホントに面白い。
文学好き=太宰好き という公式が滑稽ながら優しく描かれている面も、あはは・・・と笑える今の自分が嬉しかったりもして。
会話の妙や、ぐるぐる回りながらいい着地点を見つける(少なくとも見つけそうになる)若菜の頭の中の思考も読んでいてとても楽しい。
朝倉さんの今までの作品の中で一番好きです。(#^.^#) -
この著者はセンスがあるなーと何度も思わせてくれる。いつも。笑いのセンスがいいよね。出来心から高校二年生ふたりが家出してヤンキーに絡まれた時に語り手がいう
初代ロイヤルストレートフラッシュ総長の身内のものさ
は衝撃だった。なんだろ、昭和な感じ、そして厨二病ならぬ高2病感、大好き。高校生の時ってこういう無駄なこと企んだり試みたり、無駄にドキドキして心配になったりね。なんか懐かしくなった。
乙女の家、祖祖母、祖母、母とシングルマザー家系で生まれ育った語り手のちょっと偏屈な青春ストーリー。面白かったです。けど少し長くてだれたかな。 -
自分探し中のJKの物語。
何かと「言葉」で定義したがる難しい性格なんだけど、周りの人たちの協力もあって、うまいこと回ってる。
脱線物語が長く、もうちょっと短縮すれば読みやすく、もっと面白いのにと思った。 -
内縁、未婚、別居
それぞれの理由でシングルマザーとなった曾祖母、祖母、母。
毎日夕飯だけ食べにやってくる父。多感な弟。
そして自分のキャラを確立させようと模索する若菜。
モヤモヤしつつもどこか俯瞰で眺めていたり
かと思えばやたら近目だったり
まさに乙女な中高生時代を思い起こさせる。
【図書館・初読・4/6読了】 -
NG
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高校生の若菜が暮らすのは、なぜか女しかいない家庭。
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う~ん。
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面白すぎて…
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主人公の女子高校生は、自分を模索しているが、後半では、魅力的な脇役を模索しているのが面白い(主人公なのに)…とにかく主人公の頭の中がだだ漏れでグルグルしていて一場面一場面が長く、ゆるい表現に真摯な部分がチラホラあり、作者の持ち味だなぁと感じる。昭和感ネタが満載なのも。
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シングルマザーばかりの家に住む女子高生の若菜が主人公の家族小説。
曾祖母(78)、祖母(58)、母(42)、若菜(17)そして弟の誉(14)の5人家族。
別居中の父が毎日ご飯を食べに来るちょっと変わった家族構成です。
4世代の乙女たちはそれぞれがその時代の持ちネタギャグを披露し、好きなジャニーズもいろいろで面白かったです。
若菜の友人の高橋さんは妙に昭和でいいキャラでした。 -
文学の中で人生を思い悩むのは、男子の専売特許だと私は思っていた。
それにしても、この本に出てくる彼女たちは、どれだけ豊かにユーモアたっぷりに思い悩むのだろう。そして高橋さんのキャラクターがとてつも なく脇が甘い! とてもキュートである。彼女が美少女である意味がさっぱり分からない位、中身だけで面白い。そして若菜もいいなぁ……。
これは絶対に再読しようと思った。
そして男性が読んで面白いものかどうか分からないけど、オススメである。 -
若菜と母、祖母、曾祖母
それぞれのキャラが強烈で
設定だけで楽しそう、と期待して
読み始めたのだけど
結局ほとんどが若菜と高橋さんの
ぐちゃぐちゃした心理描写で
正直しんどかった。
せっかくの設定がもったいない。 -
2015.6.3.未婚の母の祖祖母、16で母を生んだ祖母、そんな中、普通の家庭を築きたいと思い、主人公若菜と誉の一男一女をもうけながら夫と別居することになった母。そんな女系家族で育ち、肥大化した自意識を持つ友人高橋との会話を楽しむ若菜の成長。やりとりは面白かったものの、全体として何が言いたいのかわからなかった。
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物語に入ってゆけるまでに時間が掛かった。まず、主人公たる女子高生。今の女子高生ってこんな?(いや違うのでは)という疑念。そしてこの女子高生とその母、祖母、曾祖母までを含めての『乙女の家』ではあるものの、特に祖母のキャラクター「長い茶髪の元ツッパリ(還暦間近)」への強烈な違和感。恐らく計算としてはギリギリ合わせてるんだろうし、もしかすると若菜(主人公)の母親と同年代の自分として、なんとなく認めたくないだけかもしれないけど(笑)
青春真っ只中の若菜が様々な事柄を思い考え自分というものを知って行く、切り拓いて行く過程は描けていたと思うけど、全体的にいささか現実味がない。新聞小説だったようなので、諸々の制約?があって冗長気味だったのかなとも思った。 -
曾祖母、祖母、母、娘。
これだけいれば、あとは時々男がいる程度でいいのかな。(とは言っても、存在感の薄い男たちが存在感を出していますが) -
(2014/4/14読了)
星5個と迷ったんだけど、出だしの第1章が間延びした感じだったので、ひとつ減らしました。
高橋さんとの自分キャラ探しより、バイトが慣れた頃からの身内とのくだりの話が面白かった。
登場人物達は皆かなりキャラ立っている。すぐに思考にふけってしまう若菜だって、かなり面白いと思う。一番普通なのは弟の誉かな。
素の自分は出会う人の数だけ自分の中にある。。。そういう考えがある事を、若菜の年頃に気が付いていたらと思いました。
(内容)
内縁関係を貫いた曾祖母(78)、族のヘッドの子どもを高校生で産んだシングルマザーの祖母(58)、普通の家庭を夢見たのに別居中の母(42)、そして自分のキャラを探して迷走中の娘の若菜(17)。強烈な祖母らに煽られつつも、友の恋をアシスト、祖父母の仲も取り持ち大活躍の若菜と、それを見守る家族、それぞれに、幸せはやって来るのか。楽しき家族のてんやわんやの物語。
(目次)
第1章 家出してみよう
第2章 多忙になってみよう
第3章 病弱になってみよう
第4章 告白してみよう
第5章 遠くをながめてみよう -
なっ長い…
けど面白かったです。 -
曾祖母、祖母ともに未婚の母で、母親は現在父親と別居中なのだが平日は毎日夕食を家族そろってとる、という取り決めのために毎晩父親が夕食をとりにやってくる、というかなり得意な家族構成でありながら自分の個性のなさに悩んでいる若菜が「本当の自分ってなに」とぐるぐる思いめぐらす青春小説だ。
といっても朝倉かすみらしくどこか滑稽で珍妙な人物たちのやり取りがさわやかな青春小説とは一線を画している。
若菜の思考にはまだるっこしいところもあるけれど、応援したくなる。 -
まあ、女性ばかりの家族というのもいいかもしれない。
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内縁関係を貫いた曾祖母(78)、族のヘッドの子どもを高校生で産んだシングルマザーの祖母(58)、普通の家庭を夢見たのに別居中の母(42)、そして自分のキャラを探して迷走中の娘の若菜(17)。強烈な祖母らに煽られつつも、友の恋をアシスト、祖父母の仲も取り持ち大活躍の若菜と、それを見守る家族、それぞれに、幸せはやって来るのか。楽しき家族のてんやわんやの物語。
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若菜の頭の中が文字になってすべて漏れだしているので、映像で見たとしたら単にそこにいるだけの状態にもかかわらず、ぐるぐるあれこれと面倒くさいほど思考が行ったり来たり絡まったり解けたりしているのが手に取るようにわかって、ときどき鬱陶しくもなるが、深くうなずけるところもある。こうやって自分というものを作り上げていくのだったなと、17歳の頃が思い出されもする。世代はもちろん、個性のまったく違う三人――若菜を含めれば四人――の女性と、またまた個性的な若菜の友人、それを取り巻く男性たちの関係性が、世間一般的に言えば不安定なのだが、やけに安定しているようなのも不思議である。初めのうちは、なんだかばらばらでとりとめのない寄り集まりのような印象だったのが、読み進めるうちに次第にぎゅっとまとまって感じられるようになるのも不思議な感覚だった。みんなにしあわせになってほしいと思える一冊である。 -
終盤、ラストは想像つくのだけどその課程が大事で青春だなーと心地よく読めた。
和子さんカッコいい。
成長物語なんだけど、青臭くなく家族愛も描かれていてとてもよかった。
「親ならこう」「家族はこう」という形に気づかない内にとらわれているものなんだなーと思った。