- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103325130
作品紹介・あらすじ
昭和三一年春、妻子を富山に置いた松坂熊吾は、中古車事業発足のため大阪へ戻った。踊り子西条あけみに再会した一夜、彼に生気が蘇る。そして事業も盛運を迎えるかにみえたが…。苦闘する父母の情愛を一身に受け、九歳になった息子伸仁にも新たな試練の日々が訪れ、高度経済成長期に入った日本の光と闇が交叉する中、波瀾のドラマは新たな胎動を始める。戦後の時代相を背景に、作者自らの"父と子"を描くライフワーク第四部、富山・放浪編。
感想・レビュー・書評
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これから、家族がどうなって行くのか、胸が騒ぎます。
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流転の海第4部。「自尊心より大切なものを持っていきにゃあいけん」という言葉、大事にしようと思います。
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人良すぎ。
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平華楼を食中毒の責任を押し付けられ営業を停止することにする。プロパンガス事業は杉野が亡くなり、妻が勝手に処分してしまってる。そこで高瀬という男の誘いで富山に引っ越す。ここで中古車の事業を興す。しかし高瀬はそこまでの器でないことを知り、見る目のない自分を罵りながら単身大阪にとってかえす。もう資金がない。熊吾はそこで中古車販売を目論む。当時は中古車のインチキ販売をする人たちがたくさんいて、正式な協会を立て正しい販売を立て目論む。
ストリップ劇場の西条あけみと会った際、熊吾の責任ではないが、セルロイドに提灯の火が引火してひどい火傷を負ってしまう。長崎にいい医者がいるということで、そこまで同行することにする。そのためにも金が必要で、「関の孫六」を海老原太一に売却する。
後に不幸が待っていると感じつつも彼女とは深い仲になってしまう。
富山での伸仁の活躍ぶりが子どもぶりが面白い。房江は喘息を発症、富山を嫌うようになる。
熊吾の関西中古車業連合会はうまくいきそうだったが、部下の久保から金の持ち逃げをされてしまう。賭け将棋に使うためで、逮捕したときはすでに使った後だった。あけみにあげた金を返してもらい、いったん富山に戻り房江だけ大阪に戻ることにする。
本から手が出て鷲掴みにされるとはこのことで、自分の生活より小説の中のほうがリアルだ。エバーグリーンのベストテンに入るのではないかと思う。この年でそんな本に出会えてることに感謝するしかない。
「なにがどうなろうと、たいしたことはあらせん」 -
面白いのは確かだが間が空きすぎて今までを中々思い出せない。
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三作目まではいっきに読めるのですが、この作品は少々重い感じがしました。
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つづく
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ライフワーク
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シリーズ第4作。やはりこのシリーズは面白い。滲み出る緊迫感というかリアル感というか、現在の自分の心境に訴えるものが次から次へと続く。現在第6作目までが刊行されていて、文芸雑誌に第7作目が連載中だということを知った。シリーズ完結も近いということのようだ。戦後をたくましく生き抜こうとする主人公が遭遇する過酷な運命というか宿命。第5作めまでは既に確保。引き続きこの作品へ。