イノセント・デイズ

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 1073
感想 : 181
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103361510

感想・レビュー・書評

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  • 恵まれない境遇で成長した田中幸乃は長じて放火殺人事件を起こし死刑判決を受け執行を待つ身だが、抗うでもなく寧ろ心待ちにしているように見受けられる。彼女は果たして如何なる真実を秘めているのか、如何なる過程を辿ってきたのか?
    幼い無垢な子供時代の絆が時を経て意外なかたちで絡み合う。読み手をぐいぐいのめり込ませて行き、いつかどこかで誰かの作品にあったような既視感もあったけど一気に読了しておりました♪

  • 人は完全に1人にはなれないんだよな……。
    幸乃と関わった人全ての思いと、幸乃が関わった人たちの記憶からも消えたいと思うほど「生まれてきてごめんなさい」と思う気持ちと結末を思うとやりきれないというか、幸乃と、翔と慎ちゃんとの思いのギャップを思うと胸が苦しくなる……。
    『とある死刑囚』の死という点ではいずれは風化され人々の記憶からは消え去っていくだろうけど、『田中幸乃』を知る人物にとっては。
    面白かったです。

  • なんとなく『嫌われ松子の一生』を思い出した。
    ひとりの若い女性死刑囚の生涯。
    母を亡くしてから幸せに見放されてしまった幸乃。
    それでも一生懸命生きてたのに結局なにも報われない。
    現実の事件も本当の真実なんて明らかにされず冤罪になることも普通にあるんだろうか。
    「田中幸乃」という名前の人にはこの本を読まないでほしい…

  • じぶんも田中幸乃を追い詰め、真相を知っているのに知らないふりをしている一人になったようで苦しかった。後味の悪い結末。
    でもサクサク読めた。

  • 早見和真さん初めて読みました
    他の作品も楽しみです

  • 死刑を求刑された女性。人生の中で抗えない流れで、他者の罪をかぶり、生きて来た。
    ひどい恋人に裏切られ、ストーカーと化した彼女は放火殺人の罪で死刑宣告を受ける。
    でもただ死にたい一心で、誰にも心を開かず、刑は執行された。
    人生には運があるか、本当に人生には運がある。

  • 出生から不幸な少女が、冤罪に巻き込まれていくという物語。何かこれはノンフィクションを題材にしてるのかな?そんな感じも。
    語り手の視点が変わりながら、ストーリーが進んでいくのも面白い。

  • 悲しすぎる。
    やりきれない

  • 2021.12.09読了。

    救いはあるのか?
    いえ、救いはありません。

    でも一気に読んでしまうし、惹かれるものもある。
    こんなにも最後まで主人公の幸せを願った小説も少ない。

    周囲に一人でも幸乃のことを真剣に考え、愛してくれる人がいたら、状況は変わっていたのだろう。

    意識の有無に関わらず、幸乃を利用しようとする人達から幸乃を守ってくれる人がいれば、状況は変わっていたのだろう。

    そうならなかったこと。
    それが何よりも、口惜しい。

  • ストーカー行為の果てに放火殺人を犯した死刑囚の田中幸乃。その判決文が章タイトルになり彼女の過去が語られていく。現代に近付くにしたがって彼女のどうしようもない優しさが世の中の理不尽さに飲み込まれ、ある方向へ進んでいく様がもどかしく物悲しい。平行して彼女が無罪ではないか?と考える人々が描かれるが、刑務官の章がもう少しあった方が良かった気がする。そして語られないその後の事を考えると寒気どころではすまない。この道しかなかったのか?

著者プロフィール

1977年神奈川県生まれ。2016~2022年に愛媛県松山市で執筆活動に取り組む。現在は東京都在住。2008年に『ひゃくはち』でデビュー。2015年に『イノセント・デイズ』で第68回日本推理作家協会賞、2019年に『ザ・ロイヤルファミリー』で山本周五郎賞とJRA馬事文化賞を受賞。その他の著作に『95』『あの夏の正解』『店長がバカすぎて』『八月の母』などがある。

「2023年 『かなしきデブ猫ちゃん兵庫編  マルのはじまりの鐘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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