- Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103500414
感想・レビュー・書評
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二人の少女の物語。同じような立場だったのに、まったく違う人生を歩むようになってしまった彼女たち。でもその運命を分けたのは、もしかしたらただの運や巡りあわせでしかなかったのかもしれません。それこそ「出会い」によってその人の人生がどれほど左右されてしまうことになるのか、というとても恐ろしい物語でした。
「地獄」と形容されるような境遇も、決して絵空事という気がしなくて。ほんのすぐそこにあって、一歩間違えれば足を踏み入れてしまう、そんな感じ。それほど愚かじゃなくても、そして悪人ではなくても、落ちてしまうことがあるのだというのが悲しくてしかたありませんでした。
はらはらどきどきしながら読み進みましたが、それでも雰囲気は悲嘆に満ち満ちていてつらい一冊。でも読んでいる最中も読んだ後も、不快ではありませんでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初はすごく気持ち悪い展開。そして読んでいく毎に一体最初のは何だったのか。あの描写は必要だったのか。私はすごく気持ち悪かったので、あれはできれば読みたくなかったものなので、その存在意義を問いたかったのですが、読んでいくにつれ、こういうことかと怖くなりました。
あとは淳平に幸せになってほしい。あの子がかわいそうで仕方がない。頑張ったんだろうなぁと。好きな子に振り向いてもらえるように自分自身を奮い立たせて。道は間違っていたけれど、頑張った彼はすごかった。 -
「少女葬」と改題された文庫の背表紙をみて、読みたくなった本。
期待を裏切らない櫛木理宇でした。
共に家出して、ワケありの住人ばっかりの違法シェアハウスに住むAとB。
(名前忘れた)
最初は仲良く、助け合って生きていたんですが、はっきり明暗が分かれてしまう。
なんでこうなちゃったのか。
シェアハウスはいわゆる貧困ビジネスの狩場で、そのことに気付けるかどうか、
なんですな。別に難しいことではなく、誰しも怪しい、とまでは思うのですが、
その先の行動がとれるか否か。
Aは現実を正しく認識してハウスを離れたのですが、Bはずるずると流されてしまった。
その結果は……
ここまでしますか、っていう凄惨な暴行の果てに殺されてしまうB。
Bを救えなかった罪悪感に苦しむA、なんですがね。
そこに、そこはかとなく優越感みたいなもの感じる、意地悪なニコでした。 -
未成年で保証人もなく 学歴もなく
だからって 行く末がリンチで殺されなきゃいけないほど
彼女たちは悪いことをしたのでしょうか
「馬鹿は罪、弱いのも罪」って言葉が出てきますけど
食い物にしたほうが 強くて賢いんだろうか・・・ -
85点
嘘が充満し、盗みが横行。信じられるのは自分だけ。社会から弾き出された人間ばかりが住むシェアハウスで、わたしたちは友達になった。居心地わるくないかも。そう思い始めていた。だって、知らなかったし―。あんな人が、この世界にいるなんて。ハナシテ、イタイ―ねえ、わたし、餌になるために生まれてきたの?少女たちの友情と愚行そして後悔。つまり、青春の全記録。
「BOOK」データベースより
ノンシリーズ。ノンシリーズではどういう訳か、少年犯罪、犯罪における現在のネットの位置付けなど、おそらく櫛木さんが興味がある分野であろうと思われるポイントを上手く絡ませながら、
二人の少女が交わり、少しずつ離れ、やがて離れてしまうまでを、テンポ良く独特のしっとりした文体で描かれている好みの作品。
『世界が赫に染まる日に』と比べると、櫛木さんの文体が少女二人の内面を表現するのにフィットしていて、また扱っているテーマが少年犯罪など重なる部分が多いのですが、こちらは調べた内容をそのまま載せるのではなく、小説の中で読ませる形になっている点が優れていると思います。
最初に結末らしきものが描かれて、時が遡って時系列を追って物語が進むのも櫛木さんの定番のスタイルですが、相変わらずこれはドキドキします。
どこかで自分が考えている結末と逆転するのかしないのかと。とは言えこの小説はそこまでそれを意識しなくても楽しめるものだとも思います。