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著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 204
感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103500414

感想・レビュー・書評

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  • 二人の少女の物語。同じような立場だったのに、まったく違う人生を歩むようになってしまった彼女たち。でもその運命を分けたのは、もしかしたらただの運や巡りあわせでしかなかったのかもしれません。それこそ「出会い」によってその人の人生がどれほど左右されてしまうことになるのか、というとても恐ろしい物語でした。
    「地獄」と形容されるような境遇も、決して絵空事という気がしなくて。ほんのすぐそこにあって、一歩間違えれば足を踏み入れてしまう、そんな感じ。それほど愚かじゃなくても、そして悪人ではなくても、落ちてしまうことがあるのだというのが悲しくてしかたありませんでした。
    はらはらどきどきしながら読み進みましたが、それでも雰囲気は悲嘆に満ち満ちていてつらい一冊。でも読んでいる最中も読んだ後も、不快ではありませんでした。

  • 胸クソ悪さを求めて図書館へ。
    しかし櫛木理宇にしては胸クソ悪いという感じではなかった。
    とはいえスッキリというわけでもなく、櫛木理宇らしさはあった。
    フィクションではあるが妙にリアル。
    実際にあった事件を思い起こすような部分もあるが、それ以上に彼女たちがリアルなのかも。
    ああ確かにいるよなあという、周りに普通にいるよなあという感じの彼女たち。
    幸せに向かっている彼女と不幸のどん底に落ちてしまった彼女。
    違いはなんだったのか?
    どこかで選択を間違うとどうにもならなくなる。
    なかなかの作品であった。

  • 最初はすごく気持ち悪い展開。そして読んでいく毎に一体最初のは何だったのか。あの描写は必要だったのか。私はすごく気持ち悪かったので、あれはできれば読みたくなかったものなので、その存在意義を問いたかったのですが、読んでいくにつれ、こういうことかと怖くなりました。
    あとは淳平に幸せになってほしい。あの子がかわいそうで仕方がない。頑張ったんだろうなぁと。好きな子に振り向いてもらえるように自分自身を奮い立たせて。道は間違っていたけれど、頑張った彼はすごかった。

  • 「少女葬」と改題された文庫の背表紙をみて、読みたくなった本。
    期待を裏切らない櫛木理宇でした。
    共に家出して、ワケありの住人ばっかりの違法シェアハウスに住むAとB。
    (名前忘れた)
    最初は仲良く、助け合って生きていたんですが、はっきり明暗が分かれてしまう。
    なんでこうなちゃったのか。
    シェアハウスはいわゆる貧困ビジネスの狩場で、そのことに気付けるかどうか、
    なんですな。別に難しいことではなく、誰しも怪しい、とまでは思うのですが、
    その先の行動がとれるか否か。
    Aは現実を正しく認識してハウスを離れたのですが、Bはずるずると流されてしまった。
    その結果は……

    ここまでしますか、っていう凄惨な暴行の果てに殺されてしまうB。
    Bを救えなかった罪悪感に苦しむA、なんですがね。
    そこに、そこはかとなく優越感みたいなもの感じる、意地悪なニコでした。

  • 未成年で保証人もなく 学歴もなく
    だからって 行く末がリンチで殺されなきゃいけないほど
    彼女たちは悪いことをしたのでしょうか
    「馬鹿は罪、弱いのも罪」って言葉が出てきますけど
    食い物にしたほうが 強くて賢いんだろうか・・・

  • 85点

    嘘が充満し、盗みが横行。信じられるのは自分だけ。社会から弾き出された人間ばかりが住むシェアハウスで、わたしたちは友達になった。居心地わるくないかも。そう思い始めていた。だって、知らなかったし―。あんな人が、この世界にいるなんて。ハナシテ、イタイ―ねえ、わたし、餌になるために生まれてきたの?少女たちの友情と愚行そして後悔。つまり、青春の全記録。

    「BOOK」データベースより


    ノンシリーズ。ノンシリーズではどういう訳か、少年犯罪、犯罪における現在のネットの位置付けなど、おそらく櫛木さんが興味がある分野であろうと思われるポイントを上手く絡ませながら、
    二人の少女が交わり、少しずつ離れ、やがて離れてしまうまでを、テンポ良く独特のしっとりした文体で描かれている好みの作品。


    『世界が赫に染まる日に』と比べると、櫛木さんの文体が少女二人の内面を表現するのにフィットしていて、また扱っているテーマが少年犯罪など重なる部分が多いのですが、こちらは調べた内容をそのまま載せるのではなく、小説の中で読ませる形になっている点が優れていると思います。


    最初に結末らしきものが描かれて、時が遡って時系列を追って物語が進むのも櫛木さんの定番のスタイルですが、相変わらずこれはドキドキします。
    どこかで自分が考えている結末と逆転するのかしないのかと。とは言えこの小説はそこまでそれを意識しなくても楽しめるものだとも思います。

著者プロフィール

1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞・読者賞を受賞。同年、「赤と白」で第25回小説すばる新人賞を受賞し、二冠を達成。著作には「ホーンテッド・キャンパス」シリーズ、『侵蝕 壊される家族の記録』、『瑕死物件 209号室のアオイ』(角川ホラー文庫)、『虎を追う』(光文社文庫)、『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫JA)、『鵜頭川村事件』(文春文庫)、『虜囚の犬』(KADOKAWA)、『灰いろの鴉 捜査一課強行犯係・鳥越恭一郎』(ハルキ文庫)など多数。

「2023年 『ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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