レシピ公開「伊右衛門」と絶対秘密「コカ・コーラ」、どっちが賢い?:特許・知財の最新常識

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103506119

感想・レビュー・書評

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  • コレ、超分かりやすい!
    しかも読み物としても、読みやすくて超面白い!!
    「下町ロケット」ではないが、特許で技術を守る事が、モノ作り日本では大事なのこと・・・という考え方が、根底から覆された!!
    この本に書いてある通り!
    「特許を取得しない」という戦略が、プラスに働く場合もある。
    ここで言うタイトルの「どっちが賢い?」がとても大事。
    この本では「知財コミュニケーション」の重要性を説いている。
    これスッゴク納得!
    やっぱりビジネスでは、「コミュニケーション」が大事ですな。
    ところで、当社社員は「知的財産管理技能検定」取得者が多い!
    (しかも、1名は弁理士まで取得している!!)
    なぜ、上手に活用できてないのか?!
    マネジメントの問題じゃないのか?
    ちゃんとした知識を持って、ちゃんとした情報で、ちゃんとした戦略で戦う事が重要。
    せっかく、スキル高い社員がいるのだから、有利な部分を活かしたい!
    そんな事を感じるのデス。
    (2017/1/12)

  • 儲かる会社には理由がある。
    大事なアイデアは「見せない・出さない・話さない」

    「特許を取れば安心」――は大間違い。
    今、この瞬間も、あなたが特許申請したアイデアが、
    特許庁HPを通じて世界中に垂れ流されている。
    完全秘密のクローズ戦略のメリットとは?
    一方オープン戦略はどんな時に有効か?
    3000件以上の知財コンサルティングを手掛ける著者が、
    豊富な実例でひも解く、知財戦略の最新教科書!!



    はじめに 「知財」は本当に、あなたに関係ないものですか?
    私たちは「知財」に囲まれている
    「特許」についての大いなる誤解
    日本のモノづくりを弱らせたもの
    『伊右衛門』VS.『コカ・コーラ』の秘密
    「知財コミュニケーション力」の有効性
    ノーベル賞の裏に、知財コミュニケーション力あり

    第1章 特許出願は「アイデアを盗んでください」と、全世界に宣言すること
    そもそも「特許」とは?
    日本のアイデアは全世界にさらされている
    特許庁がアイデアを公開する理由
    アイデアに国境はないが、特許には国境がある
    「技術は外から手に入れてくるもの」が国際ルール
    日本の特許出願の7割が、外国でのパクリOK
    「特許をたくさんもっていれば儲かる」はウソ
    年度末の道路工事数と特許出願数の関係
    パナソニックも陥ったノルマ出願の愚
    特許出願は社員教育に効果的?
    特許出願を見極める3つのポイント
    特許をとる「目的」は何ですか?

    第2章 アイデアは「見せない、出さない、話さない」
    秘密にするのはセコイこと?
    「発明」と「発見」の違い
    アイデアは、人に見せた瞬間に腐る
    タクシーでの会話にご注意を
    敵は身内にあり?
    特許法に定められた「新規性のないアイデア」とは?
    「傷モノ特許」のしっぺ返し
    カギは「秘密を守る約束」
    新規性は国境を越えて

    第3章 知財の法廷に、大岡越前はいない
    「弁論主義」というハードル
    見せる相手を間違えたブラジャー
    サトウの切り餅が、越後の餅に粘り負け
    解凍したらアイデアも解けた?
    『どん兵衛』と『サッポロ一番』が法廷バトル
    アリが巨象を倒した代償
    特許を骨抜きにする技術の進歩

    第4章 アイデアの「現場」に魔の手が迫る
    磨き屋シンジケートにスパイ潜入?
    リメンバー、ピカピカ磨き!
    国際交流で技術流出?
    義を捨て、利に走った日本企業
    「便利」と「危険」の境界線

    第5章 『知財コミュニケーション力』という武器
    知財センサーをオンにする
    知財としての東京五輪エンブレム問題
    右脳を味方につける
    お買い得な国家資格、いりませんか?
    もし、あなたが経営者なら
    もし、あなたが会社員なら
    もし、あなたが学生なら
    知財技能士社員を強みに、世紀の大ヒット
    専門家がやるべきこと

    第6章 アイデアの「絶対領域」で勝利をつかめ!
    オープン・クローズ戦略
    ポッキーが半世紀も勝ち続けている理由
    AZO色素という「秘伝のタレ」
    ミドリムシの成長が人類を救う
    戦略的だった「おじいちゃんのノート」
    『伊右衛門』の狙い



    〜感想〜
    特許を取れば使用料を貰えて、アイデアと技術があれば飯の種になると考えていたが、実際にはその反対で特許申請にも特許継続、そして特許侵害があった場合にも資金と体力が必要になることが分かった。特許そのものはただ早い物・申請した勝ちだけでなく、申請時に部分的にしか認められなかったり、既設のアイデアと類似していると認定されたり、特許侵害されたと思っても実はそこまで守ってもらえなかったりと不便な事が多い。また特許には国境が有ると本書にある様に各国で申請しないと、ただネットに掲載されたうえで中身を丸わかりにされてしまい(透明な防護服状態)、アイデアをパクられるだけになる。知的財産権について関心が高まったこと、アイデアはきちんと自分で守り活用することの必要性を認識した。

  • 特許初心者には読みやすくて面白い内容。
    特許担当者が素人に事例を出すためのネタとしても使える。

  • やわらかい語り口が特徴。
    話は特許中心。表紙に商標登録表示の®️がデカデカとあるものだから、商標についてもそれなりに書かれているかと思えば、書かれてなかった。

    一時期に、本書について、知財の公開制度への誤解に基づいた書評がなされて、知財関係者がSNSで書評者への苦言を記載していた記憶がある。
    作者も終わりの方で、間違えた特許制度の使い方関係で強調しすぎたかもと書いていたが、知識なければ極端に誤解する恐れあるね。

  • コカコーラの製造法が極秘と耳にし理由が気になっていた時に、偶然見つけた本。特許に国境はあるがアイデアに国境はない。日本企業が国内のみで特許出願すると、公開公報を見た他国にアイデアを盗まれ他国で特許を取られ、自分たちのビジネスを守るための特許がまわりまわって自分の首を締める可能性がある。しかし、技術・ノウハウは極秘にし、それ以外のアイデアで特許を取ることもできる。知財の仕組みを理解し特許を申請するかしないかを判断できれば、自分たちのビジネスを守れるよという話でした。

  • 刺激的なタイトルだが、内容は知財戦略に関するものである。とかくお硬い話になりがちなこの分野でケーススタディを使った分かりやすいビジネス本はなかなか無いだけに貴重な存在である。

    著者のメッセージで基本は、アイディアには国境が無い、しかし特許には国境があるということである。インターネットの普及も手伝い、今や特許を公開する事はイコール世界中にそのノウハウを開示するということでもある。実際、中国のハイアールの担当者が、数十台のパソコンで日米欧の特許出願情報を検索し、製品化の参考にしているので、研究開発費が少ない、と公に認めているのである。

    「特許があれば守られる」は既に幻想とも言える。特許を出願するにあたって、何故それが必要なのか、「目的」は何なのかを明確にするべきだと著者は言う。「アイディアを使ったビジネスを守る」事が目的であって、ビジネスを守れない特許は意味がないということである。

    知財を戦略的に活用するために使われるのは、「オープン・クローズ戦略」である。例えば、ポッキーはそれをうまく活用している例として挙げられている。あの細いスティックにチョコを塗り、大量生産する製造技術は特許として公開されていない。ポッキーという形状はオープンにし、製造設備や方法はクローズにしている。

    同じく、伊右衛門も上手にこれを活用している。サントリーは茶葉を石臼で微粉砕する技術を特許として取得しているが、実際にはおいしいお茶は、それだけで再現されるものではない。茶番の量やお湯の温度など、製造に関するノウハウがセットになってこそ、それは可能となる。むしろ、サントリーは、特許の事実をマーケティングの道具として活用しているという事であろう。緑茶飲料の後発である伊右衛門が、ヒットしているのは、それも理由の一つであろう。

  • 刺激的なタイトルだが、内容は知財戦略に関するものである。とかくお硬い話になりがちなこの分野でケーススタディを使った分かりやすいビジネス本はなかなか無いだけに貴重な存在である。

    著者のメッセージで基本は、アイディアには国境が無い、しかし特許には国境があるということである。インターネットの普及も手伝い、今や特許を公開する事はイコール世界中にそのノウハウを開示するということでもある。実際、中国のハイアールの担当者が、数十台のパソコンで日米欧の特許出願情報を検索し、製品化の参考にしているので、研究開発費が少ない、と公に認めているのである。

    「特許があれば守られる」は既に幻想とも言える。特許を出願するにあたって、何故それが必要なのか、「目的」は何なのかを明確にするべきだと著者は言う。「アイディアを使ったビジネスを守る」事が目的であって、ビジネスを守れない特許は意味がないということである。

    知財を戦略的に活用するために使われるのは、「オープン・クローズ戦略」である。例えば、ポッキーはそれをうまく活用している例として挙げられている。あの細いスティックにチョコを塗り、大量生産する製造技術は特許として公開されていない。ポッキーという形状はオープンにし、製造設備や方法はクローズにしている。

    同じく、伊右衛門も上手にこれを活用している。サントリーは茶葉を石臼で微粉砕する技術を特許として取得しているが、実際にはおいしいお茶は、それだけで再現されるものではない。茶番の量やお湯の温度など、製造に関するノウハウがセットになってこそ、それは可能となる。むしろ、サントリーは、特許の事実をマーケティングの道具として活用しているという事であろう。緑茶飲料の後発である伊右衛門が、ヒットしているのは、それも理由の一つであろう。

  • 筆者のいいたい「特許が万能ではない」という点については十分理解できた。特許は国別、内容もWebサイトで公開されてしまうという点を知れば、むやみに特許取得という愚を犯さずにすむかもしれません。
    それにしてもタイトルと中身のギャップが少々ありすぎるかも。もう少し実際の商品にまつわるエピソードがあるのかと期待したが・・・。

  •  やらなければいけないことと、やってはいけないことを同軸にとらえてしまうからおかしくなってしまうそう考えればよいのだろうか。

     知的財産管理技能検定

  • 特許を取れば技術は守られると思っていた一人です。やみくもに取ればいいってものではなく、特許のデメリットもきちんと述べられている。むしろ、デメリットの例が多いので、立ち止まって戦略を再考させるには良い一冊。

著者プロフィール

知財活用コンサルタント。(株)グリーンアイピー代表取締役。知財コミュニケーション研究所代表。東京農工大学・ものつくり大学非常勤講師(知財戦略論)。
1954年生まれ。高卒で就職後、39歳で弁理士本試験合格。1995年、新井国際特許事務所設立。1999年、芝浦工業大学2部電気工学科卒。2006年、東京農工大学大学院技術経営研究科修了。工学博士。

「2018年 『iPod特許侵害訴訟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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