アッコちゃんの時代

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103631095

感想・レビュー・書評

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  • 2004年から05年、週刊新潮に掲載
    華やかなりしバブルの頃のおとぎ話のような小説
    キャンティや女優のFさんに興味がわき、「奇跡」を読む前に手に取った

    美貌、容姿に恵まれた人には、こういう生き方もあるんだな
    日本がまだ勢いがあって元気だった頃の夢物語
    令和4年のコロナ下で読むと、隔世の感しかないだろう

  • 豪華なバブルの徒花。森瑤子の小説を思い出した。

  • バブルの時代の、しかもとびきり美人でスタイル抜群の女の子の目線からの話。
    バブルを知らないから、へぇー!!っと思うことがたくさんあった。

  • 失われた10年の最中に生まれた身としては「ああ、バブルってこんなもんだったんだな」という感じ。

    バブルこわい…

  • バブルってそんなにすごかったんだ。

  • さらっと読んでしまいました。この作家の本はほとんど読んだことないかも。週刊誌の連載エッセイは読んでるけど。

    バブルの絶頂のころ、私は地方のまじめな高校生で、大学に入って就職活動をする頃にはとっくにはじけたあとで就職難。バブルの恩恵は、直接には何一つ受けてないなぁ。

    この本はモチロン小説だからフィクションなんだけど、実際これに近いことがここ東京であの時代はあったんだろうなぁ、と思ってもやっぱり実感わかない。

    それにしても、ちょっとだけアッコちゃんみたいな女になってみたい。でも、やっぱりちょこっとだけでいいや。自分には無理なことよく分かるから。

    40歳をこえたアッコちゃんの今の様子は、結構面白い。この先50、60と歳を重ねてどんなふうになるんだろう。意地悪な気持ちからではなくてすごく興味ある。カッコイイ女でいてほしい。どこかにこういう普通じゃない人がいていいと思うし、いてほしい。

  • はじめは、風吹ジュンの離婚の原因となった愛人が主人公ということで

    読み始めたものの、

    バブルって本当にすごい。

    女子大生が、VIPルームに出入りして、金持ちとつるんで貢いでもらうのが

    当たり前って世界。

    自分の人生がこのバブルの波によって押し流されていっている感のある
    主人公。

    実は、この主人公のモデルとなった女性の顔を見たことがあるのですが、
    品性のかけらもない人だなって思った。これがなんで魔性の女だなんて

    マスコミはもてはやしたのですかね。

  •  泡沫悪女!?、女神     

     モデルのあるスキャンダラスな小説。
    としてのみ読むのはしまうのは、勿体無い。この本の魅力はバブル期の断片が能く描かれていることだ。バブル時代の研究の副読本にしても良い位に。

     林真理子はあの頃の断片を大変上手にまとめた。しかも売れるようにしているところが、小気味よかったり、嫌味だったりするが、あの頃、確かにそうだったかもなあ、と素直に思う。一九二〇年代アメリカとフィッツジェラルドと同様にと言ったら言い過ぎか、流行の店やブランドはもう少し例示があった方が良いが、あちこちが煩いのだろう。
     あの時代、消費が生産を上回ったかのような風潮に勿論功罪はある。ただ、サービス業の一部は顧客満足という概念を身に付け進化したし、いわゆるハードのみならずソフトの価値も認められた。何にでも値札がついたことは、金以外の不平等は軽減されたということでもある。普遍的な価値であるものの何故か語られることが少ない若く美しい女性の価値も、一つの才能として再評価され、普及した。若く美しく貧しいなんてことは、少なくとも東京圏では許されず、清く正しい大和撫子も見掛けなくなった。勿論、彼女達が悪いのではなく、それを望む側に原因はある。光源氏もヒギンズ享受も階級社会が前提だから、やはり若く美しい女も消費される方が目立ち、こればかりは生産量は上がらず・・・。
     この物語は、しかし、消費された女の話では無い。アッコちゃんは、少なくともそれをよしとしたわけではない。アッコちゃんはむしろ消費したのだ。地上げ屋の愛人で名を馳せた後に有名人の後妻になろう等、普通の若く美しい女性がなるものではない。求められたから義務として答えた、と結論づけているが、結局、自覚的に進路を選択している。堕胎もしなければ、夜遊びも止めない。恋愛や結婚は、財産を狙うといった卑しい志でなく、人の期待に応えるといった責任感ゆえだ。愛とは違っても金で買えるものを大切にしているわけじゃない。
     ちなみに、消費される女性の拡大再生産はむしろバブル以降、自身を商品として認識し、日本中の女学生が援助交際の名の下に私娼化するようになってからだ。そして、男の性的な商品化も、真っ当な書店に「ボーイズラブ」という言葉が踊るように、隠しきれない拡がりを見せている。男女同権論者としては喜ばしい限りだろう。公娼化すべきだし、誰もが目に触れるところにあるのはどうか、と思うが、嫌味でも何でもなく、良いことだと思う。
     あくまで、バブルの頃は解放された自由、ただしお金は掛かるよ、に結構多くの人が浮かれていた。浮かれちゃった若者が間違いを起こすのも普遍的な事柄、消費されちゃった若い女もたくさんいただろう、そして、赤札をつける人も一定数いただろう。アッコちゃんは自分に正札をつけるような振る舞いはしていないし、まして赤字で書き直すようなことは、若くなくなってもしていない。ただ、楽しくやっていて、楽しくやった結果も引き受けているだけだ。恐らく、一般的な読者に分かるように卑近にしたことにより、分かり易くなった分、神々しい魅力は減じているのだろう。目立ったのだ。そして歪められたのだ。アッコちゃんの歪みを正すと、彼女を歪めたモノの歪みが見える。林真理子は良い仕事をした。
     神は遍在するが、金と才能は偏在する。せめて自分の中の神様仏様くらいは大切に、各自の生活を優雅に暮らそうよ、これもバブルの頃に少し流行った考え方だ。しかし、良貨はなかなか普及しない。アッコちゃんはそうすることによって、バブルに光を当てた。確かにアッコちゃんの時代だ。彼女の才能が目立たないことを許さなかったことは、彼女が悪かったり、邪だったり、ましてや醜かったわけじゃない。バブルの頃も、バブルの再来があってもみんながアッコちゃんになれるわけじゃない、とは思わせないのは、林真理子の狡いところかもしれない。

    若くて美しい女性に関心のある全ての人にお勧め。

    2010/05/06、読了。文京図書館から借用。

  • 図:いわゆる『バブル期』の思い出話。この時代を知らない人は理解できるのか!?
    内容(「BOOK」データベースより)
    あの狂乱と豊饒の時代。地上げの帝王と称される男の愛人となり、キャンティの御曹司を有名女優の妻から奪って世の女たちの羨望と憎悪を一身に浴びた女子大生がいた。マハラジャの饗宴、赤プリの誘惑、キャンティの陶酔―煌めくバブルの東京を、無邪気に、奔放に泳いで伝説となった小悪魔・アッコの素顔を描く最新長篇。

  • バブルってどんな時代だったのかなぁって思う。
    ものごころついたときにはもう不況だったもんな。

著者プロフィール

1954年山梨県生まれ。日本大学芸術学部を卒業後、コピーライターとして活躍する。1982年、エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』を刊行し、ベストセラーとなる。86年『最終便に間に合えば』『京都まで』で「直木賞」を受賞。95年『白蓮れんれん』で「柴田錬三郎賞」、98年『みんなの秘密』で「吉川英治文学賞」、13年『アスクレピオスの愛人』で「島清恋愛文学賞」を受賞する。18年『西郷どん!』がNHK大河ドラマ原作となり、同年「紫綬褒章」を受章する。その他著書に、『葡萄が目にしみる』『不機嫌な果実』『美女入門』『下流の宴』『野心のすすめ』『愉楽にて』『小説8050』『李王家の縁談』『奇跡』等がある。

林真理子の作品

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