ホリー・ガーデン

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103808022

作品紹介・あらすじ

「きらきらひかる」の著者が描く、優しく切ない友情の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 途中まで読んでから時間が空いたので、最初から読み直して、今回は読了。女性同士の友情、恋愛、不倫。昭和?平成?なノスタルジー溢れる歌手たちも登場し、郷愁を誘う。

  • ホリーガーデンとの付き合いは長いです。果歩と静枝が共に過ごした女子校時代と丁度同じ位かな。最初は文庫本を買い、ずいぶん後にハードカバーを買いました。ハードカバーの装丁が本当に素敵で好みです。文庫本も荒井良二さんの装丁にして欲しかった…。

    まずホリーガーデンといぅタイトル。直訳すると聖なる庭ですかね。これは果歩達が通った女子校がキリスト教系の学校だったからか、はたまた何度か登場する果歩の卒業制作が天使のモザイクだから…が文章から素直にとれるところでしょうか。後は読者の私が急に遊びにいく場所としてのホリーガーデンですね。余分でありながら美しい時間の流れる聖なる庭。

    果歩も静枝も30歳になる年の日々を描いたホリーガーデン。冬から季節が一巡りして、再び冬。季節が巡りいつしか静枝は30歳になり、3月生まれらしい果歩はまだ29歳かな。初めて文庫本のホリーガーデンを本屋さんで手にとった時は、私はまだ23歳位だったでしょうか。果歩達はだいぶ年上だけど感情移入できるかしら…心配ご無用でしたが…と思ってたのに、今や私は3人の子持ち母。果歩達の年齢をだいぶ越えてしまいました。それでも今なお果歩も静枝も私にはかなり魅力的です。

    追記 今回2012年2月〜3月に読んだところ、果歩が事務所で飲むコーヒーをバタつきパン蝶の飲むお茶と例えているのが気になりました。後は姪の今日子ちゃんはお誕生日の日に5歳とあるけど、6歳のお誕生日じゃないかなぁと。今日子ちゃん、果歩達の学校に入学したのでしょうか。初出誌から数えると今日子ちゃんも既に26歳?もはや果歩達の当時の年齢に近づいてますね。

  • 江國香織さんはほとんど読んでいるけど、たぶんこれがいちばん好き。
    ずっとこの人たちの日常を読み続けたい。
    そう思って、何度も読み返してしまって、果歩ちゃんとはもう古い友達くらいの気持ち。笑

  • 眼鏡屋で働く果歩に猫のフキ
    眼鏡屋の象足
    果歩のことが好きな中野
    美術の高校教師でもあり、色んな果歩を知っている静枝
    果歩の元恋人の津久井

    江國香織さんの作品が大好きです。
    初めて読んだ本は、きらきらひかる でした。
    もうどうしようもない気持ちになり、
    今もどこかで、睦月と笑子がどこかにいるように感じるぐらい。

    この本は手元に置いて置きたい本になりました。

    江國さんの最後のあとがきがとても好き

    余分なこと、無駄なこと、役に立たないこと。
    そういうものばかりで出来ている小説が書きたかった。
    余分な時間ほど美しい時間はないと思っています。

    誰かのことを知りたいと思ったら、名前や年齢、職業とかではなく、
    こどもの頃理科と社会のどっちが得意だったとか、
    そんなことに興味を持ってしまうと書いてました。
    私はこの文章を読んだ時、
    その人が自分にとって特別な人であることなのかなと思いました。
    私は、恋愛感だけではなく、
    この人なんか好きだなと思ったら、
    どんな思考とか、どんな映画や音楽を好きなのかを聞きたくなる気持ちに似てるように感じました。

    静枝が果歩を非難した言葉
    「不倫なんて卑怯だわ」
    「最低よ。何も背負わずに甘いところだけ欲しいなんて」
    でも、その甘いところを拠り所にしながら関係を持っている人は世の中には沢山いるのだろうか、、、
    もし自分にとって特別なひとが現れて、
    他の人の元にもこころを許してると思ったら、悲しくなるけどな、、、
    あなたのことが特別な分、私もあなたにとっての特別でいたいと望んでしまう。

    江國香織さんの作品に出てくるような女性に出会ってみたい。
    でも、そんな女性は自分がどんな恋愛をしてるなんて、
    語ろうとしない気がする。

    1 紅茶茶碗
    2 昼の電車
    3ピクニック
    4 つまづく石
    5 タンバリン
    6 考えない練習
    7 記憶
    8 グリーンピースごはん
    9 天使
    10 楕円
    11 愛の桃
    12 夜の電車
    13 カステーラの夜
    14 お姫様ごっこ
    15 タブー
    16 保健室
    17 ポルノよりもヤバいもの
    18 日一日とは何であるのか
    19 けんか
    20 初冬のドライブ
    21 考える練習
    22 ささくれ
    23 夜道
    24 再び・紅茶茶碗

    この作品にぴったりと思った挿絵は、荒井良二さんでした。
    物語に出てくる、
    ジェイ・マキナニーのストリートオブマイラフ
    尾形亀之助さんの作品も読んでみたいです。

    ひとまず、ジャンバースカートに白いシャツを着たい

  • ログインIDが分からなくなり、ログイン出来なくなった旧本棚にも登録してましたが…。

    新たな…まあ、たいしたことじゃないけど…ことを思いついたので、改めて登録することに。

    2016年夏、アリスインワンダーランドの映画が公開され、アリスの世界が好きな私は観たのです。今回の【時間の旅】は鏡の国のアリスが原作というか、モチーフになってる。鏡の国のアリスといえば、ホリーガーデンの中で、果歩が職場で飲む珈琲を、バタつきパン蝶が飲むお茶を連想させる…と書かれている。

    私はアリスの世界が好き…とママ友に言ったことがあるわりには、原作を未だ読み通せていない。読み始めても挫折してしまうのだ。何故だろう…それはアリスの世界が、筋書きらしい、というか、起承転結が無いから…かなと思う。最後に話が盛り上がる…というよりは、最後に、全部夢でした!で終わり。

    で、筋書きが無い点ではホリーガーデンも一緒じゃないの!私はホリーガーデンは急に果歩や静枝の暮らしぶりを見たくなり、本を開く…という感じ。斜め読み、でも構わない。鏡の国のアリスも、同じように扱っていこう…と思っている。

    2016年晩秋。週末になると疲れからか、風邪をひき、治りかけても無理をして…の悪循環な日々。身体が弱ってるから、気持ちも弱るのか…はたまた…卵か鶏か…みたいな話ですね。最近、ホリーガーデンを手にとって読んだわけじゃないけど、たまたま他の方のレビューを見てたら、欠落。というフレーズがあって。家族に昨日、欠落人間。と罵られたので、つい反応。そうか果歩もそう思われてたとは…苦笑。最近、読んでいるはたがんぼうたち。の桃が果歩の外見の描写とかぶるイメージ。色白でセーターの色合いがきれいな顔だちを引きたててる…のあたり。

    後、筋書きがない話…とずっと捉えていた。今も筋書きがある…とは思えない。ただ、鏡の国のアリスもそうだけど、時間の流れ…はある。鏡の国のアリスはマス目を進む…という流れではあるけど。ま、後はレビュー等で時折お見かけする、時間をきりとったような…というのが的確なのかな。後、同じようなことかもしれないけど、ある時期を振りかえって、始点の月から終点の期間を回顧してみた…という感じかな。この月はこんな風に暮らした、何処そこに出かけた…という風に。真冬の朝の空気感、夏の終わりの球場の夜気…あぁ、あの時の…とその空気感からその時の自分の状態をも思い出す感じ。ホリーガーデンは冬から始まり、冬で終わるので、冬の印象が強い。でも、始まりの冬、と終わりの冬…では周りの人たちとの関わり、果歩自身の時間の流れによる変化で、違う空気が流れているよう。ま、中野君と一つ毛布にくるまってテレビを観てる…てエピソードの影響大!ですね(^_^;)。あたたかな穏やかな冬。果歩は今はどんな季節を過ごしているのかしら。

  • 私にとって初江國作品です。
    the恋愛物を書く人、という印象があってなかなか手を出しませんでした。

    あとがきで『余分なもの、無駄なこと、役に立たないここと、そういうものばかりでできている小説を書きたかった』というように、
    ”余分なもの”の写実が多く、人の心理もシロクロはっきり描かれることなく、
    でもそんな余分なもの・気持ちで人皆は進んでいくのだろうなぁ、とどこか癒されるような作品だった。

  • わたしは今30代後半だし、こんな恋愛をしてきたことすらないのだけれど、江國さんの小説を読んでいつも思うのは、わたしが小説の恋愛に自分の共感を全く必要としていないのだという事。
    恋愛そのものよりも、恋愛をしている女の人たちにまつわる日常が、なんだかとっても憧れを抱かせる。

  • 救われたくて読んだのに落とされて悲しくなる。わたしは浴槽で食器を割ったりしないし甘いものを絶ったりしないけど果歩ちゃんみたいにふわふわしてるし大人であることを忘れない様にマニキュアはちゃんと塗っておく。カフェオレボウルを知ったのはこの本だし、猫を飼ったらわたしもフキと名前をつけたい。何かにつけて欠落している。

  • むかつく話だったなあ、

  • まさに「ふうん」何だかよくわからないという感じでした

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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