ブラック・スワン降臨: 9・11-3・11 インテリジェンス十年戦争

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  • 新潮社
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感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103823056

感想・レビュー・書評

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  • 3.11のテロを防げなかったのは、米国がインテリジェンスを有効に扱えなかったから。しかしその後の対応はカッコいい。オバマ大統領がゴルフにいって周りの目をごまかしてビンラディンの殺害を実行するのはまるで映画のよう。
    一方、日本は情けない。9.11の原発事故の対応のお粗末さ。外交の下手さ。訓練もされておらず、才能もセンスもない人間が国家の要職を占める怖さを指摘されます。

    そう言えば日本語ではインフォメーションもインテリジェンスも「情報」となってしまうのは、日本人にインテリジェンスの概念がそもそも無いからなんでしょうね。

  •  9・11をアメリカは本当は防げたのではないか。
     何故防げなかったのか、とその時々の状況を語っている本。まさに、情報戦に負けたというべきなのか。
     アメリカの話をしているときは、さくさく読めたのですが、日本の今(民主党が第一党になってから)は、物凄く読むのがつらかったです。
     日本の危機が此処にあるのか。

  • 読みやすいし面白い
    ウルトラダラーも借りてみますか

  • <blockquote>インテリジェンスは日本語では「情報」と訳される。だが英語の語感はもっとニュアンスに飛んでいる。河原に転がる石ころはどれも同じに見える。だが、それらを一つ一つ丹念に選り分け、微妙な色や形に秘められた意味を周到に分析していくと、情報の全体像が次第に浮かび上がってくる。醇化された情報の相対こそがインテリジェンスなのである。(P.109)</blockquote>
    <blockquote>「FUKUSHIMA」の惨劇は、事前の想定を超える事態のゆえに起きたのではない。<blockquote>想定を超える事態に向き合おうとしなかった果てに起きたのである。かくして未曾有の被害が広がっていったのである。(P.229)</blockquote>
    情報とは命じて集まるものではなく、リーダーの力量で磁石のように吸い寄せるものだ。(P.232)</blockquote>
    <blockquote>「インテリジェンス・サイクルの欠如」とは、単に日本の感津王の組織問題ではないのだ。賭けているのは、情報の不完全性のなかで、なおジグソーの全絵図面を透視して決断できる為の方法論である。それはひとえに、瞬時に物語を構築する能力があるか否かに帰する。(P.246)</blockquote>

  • 【要約】


    【ノート】
    ・出だしのオバマ大統領の行動にフォーカスしている部分は、秀逸な「見てきたウソ」のようで、引き込まれてしまった。フィクションなのかノン・フィクションなのか。

    ・中盤以降は少し中だるみ的な印象を受けたが、それは日本官邸や霞が関の人々の言動が、オバマ大統領の記述のように小説的な仕立てでないからなのかも知れない。

    ・佐藤優氏の本を読んだ時もそうだが、我が国のインテリジェンス弱小国ぶりは嘆かわしいことだ、という読後感を持つ自分が嘆かわしい。

    ・きっと、それなりの論理で真逆のことを説かれても付和雷同するんだろうな。

    ・だから、書かれていることについて、少しでも自分で調べて、本当なのかどうか、また、それに対して自分はどう判断するか、ということをやっていかなきゃ、と思わされた。

    ・この本に興味を持ったのは、確かFACTAで紹介されてたからだったと思う。

  • Factaなどで度々薦められているのを見て、図書館で手に取る。
    本書を読んで、「大国が互いにしのぎを削る冷徹な世界にあっては、力を持つものこそが正義なのである。」このリシュリュー卿の言葉に続きがあることを知った。「力を持たないものは自分の存在そのものが悪だと決めつけられないよう振る舞うのが精々のところなのだ」
    普天間基地問題についての鳩山元総理以下民主党政権に対して筆者は舌鋒鋭く批判する。
    そこまでは大いに賛同できるが、福島第一原発事故について当時の首相のリーダーシップ欠如にその原因を求めるのは些か酷ではないか。本書が刊行されたあとの、様々な報告書を読む限り、政府が原子炉への海水注入をその後の復旧コストを理由に躊躇したという事実はないはずだ。

  • 「想像すらできない事態を想定して危機に備えておけ」
    ヒロシマから66年後にブラックスワンがフクシマに舞い降りた、と書かれた後に、管首相も舞い降りたの小見出し。
    バフェットの言葉を思い出す。
    「愚か者でも経営できるビジネスに投資しなさい。なぜなら、いつか必ず愚かな経営者が現れるからだ」
    想像すらできない事態を想定して危機に備えなければいけない。数百年に一度の天災に、優れた人物がトップの座にいるとは限らないのだから。

  • NAVY SEALSによるビンラディン殺害の話。
    なぜブラックスワンなのかは不明です。。。いや本当に不明。。。ドキュメンタリ本でアメリカの科学技術がいかにすごいか書いてあったような。

  • 2001年9月11日から早10年ちょっと。
    あの出来事の背景等を垣間見せてくれる本。
    テロ実行犯の人生、その行動記録、事件後の米国の反応、戦争に突き進む権力者の思い等、改めて知る世界の現実であります。

  • アメリカは911の前に十分な情報を得ていた。インテリジェンスの現場は機能していたのに防げなかった惨事。ビンラディンを匿ったアフガンに報復しても、ビンラディンを殺害しても、その後の世界から「後継者」を名乗る人々によるテロはなくならない。とはいえ、こういうのって防げた事件と防げなかった事件があり、前者は報道されないので結局、インテリジェンスの効用はわからない。

    見えないものを見せようとする点で、筆者の米国勤務時代に起こった911前後の話は迫力がある。一方で、311後の日本の話は何というか付け足し。この時の日本政府批判をするだけなら、世の中にごまんと出回っている報道をみれば十分だし。

著者プロフィール

手嶋龍一  Teshima Ryuichi 外交ジャーナリスト・作家。9・11テロにNHKワシントン支局長として遭遇。ハーバード大学国際問題研究所フェローを経て2005年にNHKより独立し、インテリジェンス小説『ウルトラ・ダラー』を発表しベストセラーに。『汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師』のほか、佐藤優氏との共著『インテリジェンスの最強テキスト』など著書多数。

「2023年 『ウクライナ戦争の嘘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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