ハゴロモ

  • 新潮社
3.52
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感想 : 220
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  • Amazon.co.jp ・本 (171ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103834045

感想・レビュー・書評

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  • 失恋とか、病気とか。
    そういう負の出来事って、たぶんたくさんある。

    そういうものから逃げるのも、受け入れるのも、新しい道に続くことで。
    どっちが良いとか悪いとかじゃないんだ!と思えました。

    そして、時間とか自然とかが解決してくれるんだ、とも。


    よしもとばなならしく、哀しく。
    でもやっぱり一筋の希望があるとこが好き。
    (2006.06)

  • やっぱりよしもとばななの作品はいい。
    次第に心を暖めていく、その流れが自然でよかった。
    不思議な体験も、個人的に好きな類で◎。
    ただ、なんだか珍しく入り込みにくく感じたかな。
    主人公が不倫をしてたっていうのに共感が持てなくて、-1点。

  • 「人の、意図しない優しさは、さりげない言葉の数々は、羽衣なのだと私は思った。いつの間にかふわっと包まれ、今まで自分をしばっていた重く苦しい重力からふいに解き放たれ、魂が宙に気持ちよく浮いている。」

    「そのどちらも、誰かの考えた方法論だ、と私は思った。
     何かで見た決まり事や、誰かがよしとした考えだ。
     私は、時間をかけて、自分がちゃんと流れ着くようなところへ行こう。」

    「お母さんは、人間は、絶対に無理をしてはいけないっていつでも言っていた。無理がすべての悪いことを生み出すんだって、口癖みたいに言っていました。」
    「決して傷つくことなく誇り高く、天寿と仕事を全うした」
    のとこは、同時に読み進めている「春になったら苺を摘みに」ともシンクロしていて不思議。

  • 時間が解決するってこういうことなんだと思った。
    人って健気でささやかであったかい。

  • 回復する力が、しんと伝わってくる。
    川の近くに住みたいと思いました。冬の川って、いいな。

  • £2.00

  • 長かった愛人生活が終わり
    川の流れる町に戻ってきたほたる。
    義姉妹になるかもしれなかったるみちゃん、
    心理学の研究で海外に住み、彼女までいるお父さん、
    幼い頃ほたると同じ病院にいて
    ほたるに手袋をプレゼントしてくれたみつるくん。
    寝たきりになったみつるくんのお母さん。

    09'07'14

  • よしもとばななさんの本で一番好きな作品。

    透明感のある文章で描かれた、
    暖かくて不思議なこの小説の世界へ
    心をふわりと持って行かれてしまった。

    一番初めにこの作品を読んだ時も
    (このレビューは、3回目の読書後に書いていたりする)、
    当時自分がどんな心理状態だったのか、
    今となっては淡い記憶となってしまい、
    思い出せないのが残念だが、
    不思議な位にすっとこの物語の中に、
    ヒロインの心の風景へ、自分も入り込んでしまい、
    ヒロインが、嬉しい気持ちになった時は、
    自分もにっこり笑い、優しい気持ちになった時は、
    自分も接している相手をそのような視線で見つめ、
    悲しいことを思い出している時は息詰まるような思いがし、
    そして彼女が泣いている時は、切なくて、一緒に涙した。

    ヒロインを筆頭に、彼女の周りにいる人々は、
    皆、どこか風変わりで、愛おしい位不器用で、いびつである。
    各自が簡単には説明出来ないような
    不思議な感覚や独自の鋭い勘を持っていて、
    そして「大切な人に自分を必要とされなかった」とか
    「大切な人を喪った」といった悲しい過去の出来事で
    つけられた深くて痛い「傷」を抱えている。

    でも、それでも他者に対し優しくて暖かい。
    そして確かに「生きている」。

    その傷を早く治そうと焦っているわけではいないし、
    日常の生活をきちんとこなしているけれど
    (この人たちの偉い所は、激しい悲しみの感情に
    いつまでも溺れ続けようとすることなく、
    こんな日々の平凡な生活を送る事が
    大切な事なんだときちんと分かっていて、
    現在の自分の心に無理することなく、
    それなりに色々と折り合いをつけて実践していることだ。)
    この悲しみを乗り越えようと、逃げることなく、
    真剣に自分なりに向き合い、
    良い方向へ向かって流れていこうと努力している。
    その傷をなめあっているわけでもないし、
    必要以上にくっついたりはしないけれど、
    そんな誰かを誰かが支えようと、
    さりげなく寄り添っている。

    「誰も一人ではないんだ、
    辛いことがあってもどこかしらに救いはあるんだよ」

    と本当にちょっとした出来事や誰かの一言で教えられる。

    主人公とその周りの登場人物達に希望の光が見えるラスト。
    それでもやっぱり、なぜか涙が出て、悲しい気持ちだけれど、
    その流している涙は温かい。

    きっとこんな涙を何度も流していくことで、
    人は、静かに心の傷を治していくのかもしれない。

    派手なドラマチックな事件もなく、
    淡々と静かな川の流れの如く進むが、
    読み終わるとほっと暖かな気持ちになる
    不思議な再生の物語。

    ちなみに「ハゴロモ」という題名は、
    この一文から来ていると思われる。

    「人の、意図しない優しさは、
    さりげない言葉の数々は、羽衣なのだと私は思った。
    いつのまにかふわっと包まれ、今まで自分をしばっていた
    重く苦しい重力からふいに解き放たれ、
    魂が宙に気持ちよく浮いている。」

    誰かがかけてくれる心のこもった優しい言葉が
    心の傷を治す一番の特効薬なのだ。

  • 久しぶりに読んだよしもとばななさんの作品

    一人で田舎から東京に出てきて
    それなりに生活をしていて
    長い間お付き合いをした人と別れた後の空っぽな感じ
    わかる!っていうかたもいるんじゃないかな

    全体的にとてもあったかい・ほっこりした気持ちになれる
    独特な空気感が気持ちの良い作品でした

  • 不倫して都会から、川の流れのある田舎に戻り、地元の人、不思議な縁と能力を持った人々と触れ、しずかに癒されて回復する話。

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

よしもとばななの作品

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