海峡の光

著者 :
  • 新潮社
3.25
  • (18)
  • (31)
  • (142)
  • (9)
  • (4)
本棚登録 : 412
感想 : 51
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103977032

作品紹介・あらすじ

少年刑務所で看守として働く「私」の前に現れた一人の受刑者。彼は子供のころ「私」を標的にして執拗に繰り返されたいじめの煽動者だった-。第116回芥川賞受賞作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 記録

  • 【再読】
    1997年、第116回芥川賞受賞作。
    少年時代、虐められた側と虐めた側が大人になり看守と受刑者として再会する。人間が持つ優越感や劣等感、醜さや弱さ…
    常に仄暗い世界が広がる話。これは感想を言葉にするのが難しいな…。

  • この本から辻さんの本を読むようになった。
    最初はいつ読んだか、芥川賞をとってすぐではなかったと思う。
    20年ほど前? 受賞と計算合わない? 詳しくは覚えてない。

    だけど最初読んだ時、すごいと思ってすぐに読み直したような。

    その後も何度か読んだ。

    ふと、ブクログに入れてなかったと思い出した本。

  • すばる文学賞を受賞した「ピアニシモ」と”いじめ”というひとつのモチーフは共通するが、「ピアニシモ」はやはり「ロックをやっていた人間が書きました」という感じの小説だった。その意味では2作目の「クラウディ」ではやくも「ロックの人の小説」から一歩進んだ印象を受けた。そのあと3・4作目をよんでからしばらく間があいていたが気がついたら芥川賞作家である。あのエコーズの辻仁成がこんな地味な小説を書くとはねえ。でも文体は昔とは比べ物にならない位腰が入っている。やはり書き続けることでこれほど変化するものなのか。小学校時代の管理する者/される者の立場が逆転し、しかし「私」は再び「花井」に縛られることになる。そして「花井」の本性が現れるのを期待している「私」。見る側の「私」を捉えて離さない「花井」の刑務所に残りたいという本心の理由をもっと深く突っ込んで欲しかった。

  • 第116回芥川賞受賞作。
    格調高い文体で書かれていながら読みやすく、使われている言葉から想像力を広げさせられる読み心地でした。
    もっとも、全体的に暗い影がさしている話なので、読んでいて気持ちが重くなる話でした。
    普通の人の人生の別の暗い側面を見せつけられたような読後感でした。

  • 海峡の意味するもの。「彼」の渡れなかった海峡は何か。実際の津軽海峡でなく、刑務所の外の世界を渡りたくなかった。また、私と「彼」ノ間のわかりえない海峡。そこにさす光は、冬の雪雲の中のおぼろげな光だろうか。

  • 読書会で勧められて読みました。
    読んで良かったです。

    人の中に潜むものを一生懸命に表現している真摯な姿勢が好感を持てました。
    花井の心は壊れているのか…と、読後からしばらく経っても考えてしまいます。

  • 看守として勤める刑務所に、小学校の同級生が受刑者として入ってきたら。しかもそいつが、学校でのいじめの首謀者だったら。

    私ならどんなことして復讐してやろうかと年中考えますが、この主人公はまだまだ優しい。それもこれも受刑者の花井が、周りには優等生に見せて、自分の手を汚すことなく裏から人を操るいやらしいタイプの人間だから、警戒しているというのもあるんでしょう。

    結局花井が何故人を刺してしまったのか、どうして刑務所から出たくないのかははっきりとは書かれていません。

    そこが想像を誘うようで空恐ろしいですね。

  • 刑務所の看守をしている主人公の元に、小学生時代に主人公をいじめていた花井が殺人を犯し、刑を受けてやってくる。

    数時間で読めるほどの薄い本ではあるが、芥川賞作品ということが納得できるとても重みのある作品だった。

    主人公が虐められていた時の話や、花井と主人公の闇の部分が強く出ていたために、読み終わったときに胸の中に重く引きずるものがった。

  • 芥川賞受賞作。文章が硬く重く、正に重厚で濃厚。ちょっと気負いすぎてる感が否めないが純文学賞を狙って獲りにきたのが伺える。

全51件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

辻仁成の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×