- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103985068
感想・レビュー・書評
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『女子と鉄道』で鉄子ぶりを披露した酒井順子さん。今回は何と「阿房列車」を名乗ります。
内田百閒-阿川弘之-宮脇俊三と続いた系譜は、宮脇氏が亡くなつたことにより途絶えたかと思はれましたが、ここに後継者が現れたか、といふ阿房ぶりであります。
「女流阿房列車」の特質は、旅のプランはすべて新潮社のT氏(「出版界一の鉄人」ださうな)によるものであり、酒井さんはその過酷な旅程の遂行に全力を尽くす、といふ点でせうか。
従つてどちらかといふと「鉄子の旅」文章版と表現する方が近いかも知れませぬ。
(実際に「鉄子の旅」とのコラボレーションが実現、本書にも菊池直恵さんの漫画が収録されてゐます。)
東京の地下鉄を1日で完乗したり(メトロな女)、廃線跡を訪ねたり(廃線跡の女)、最終旅の帰途に「個室寝台車」に乗つたり(旧国名駅の女)、宮脇俊三さんへのオマアジュとしての旅も目立ちます。私は「東海道五十三乗りつぎ(膝栗毛な女)」が面白かつた。終盤で、あと3乗りつぎ足りない!とか言つて無理矢理近江鉄道に乗るくだりなど、笑ひました。また、愛知県人としては地元の愛知環状鉄道、リニモ、ガイドウェイバスなどが取上げられてゐるのが嬉しい。酒井さんの「しかし『愛環梅坪』って、妙になまめかしい駅名だなぁ」といふ感想には驚きました。旅人の視点とは面白いものです。
巻末には、『鉄道ひとつばなし』以来、「テツ学者」として有名になつた原武史さんとの対談があります。酒井さんとはなかなか意見が咬み合はないところが愉快であります。これは男女差といふよりも双方があまりに特異な嗜好を持合せてゐるためと思はれます。
「小説新潮」誌上での阿房列車は完結した模様ですが、酒井さんにはぜひとも列車に乗り続けてもらひ、続篇を期待するものであります。
では、失礼。
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*列車に乗るのが大好きな著者が、地下鉄や鈍行列車を乗りつくす?*
栄えある最初の列車は地下鉄、しかも一日で全路線網羅です。食べる暇はもちろん、食料を調達することすら難しかったとか。いきなりハードルが高い(笑)。
他にも『鉄子の旅』という鉄道旅漫画に同乗してみたり、油物を食べる旅に出たりと、一味違った旅の面白さを、著者独特の文章が引き立ててくれます。 -
女子と鉄道に続く酒井順子の鉄道エッセイ。
普通のエッセイだと鼻持ちならないところのある酒井順子さんですが、鉄モノは違いますね。 -
意味もなく電車に乗る、という行為がしたくなりました。
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鉄道に乗りて~~~~~!!!!
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テーマ(縛り)のある、でもゆるい感じの酒井女史による鉄道旅行記。「メトロな女」が最高だった。鉄道に対する酒井女史のスタンスが良い。
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他人に計画を立ててもらうという珍しい紀行文。
絶対に起きていないといけないとか、普通列車でないといけないといったような厳しさとは対極の、ビューポイントでも平気で寝てしまう緩さが良い。 -
装丁が佐藤可士和なんだ。
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鉄(鉄道オタク)の女性作家による紀行エッセイ。T氏の指令をもとに、過酷な鉄道の旅に挑みます。大変だなと思う一方で、自分も鉄道で旅をしたくなります。鉄道への「愛」に満ちた一冊。
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2010/04/21 いちばんやってみたいのは、地下鉄のりつぶしかも。