リチャード・ブローティガン

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 98
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104014026

感想・レビュー・書評

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  • 『イリノイ遠景近景』を皮切りに藤本和子さんの作品をいろいろ読んできていて、ほとんど最後にたどり着いたのがこの本。(『砂漠の教室』がまだ読めていないんだけど、よその図書館から取り寄せないといけないのが億劫で…)
    リチャード・ブローディガンの本は『芝生の復讐』と『西瓜糖の日々』だけ読んでいて、その突飛で自由闊達な比喩や不条理な雰囲気はなんとなく好きかな?ぐらいだった。

    抑圧され、疎外されてきた少年時代を送ったかれがついに安住の場所をみつけられず、(おそらく)死を選んだのはとても悲しいことだけれど……藤本和子さんのような理解者があり、ここまでかれに寄り添った評伝を書いたことは大きな救いだと思う。

  • リチャード・ブローティガンの作品の多くを訳していて、著者とも親しい藤本和子さんによる評伝(のようなもの?)。

    2002年の4月に発行なので、20年前の本。ブローティンは好きなので、出たときから気にはなっていたが、買うのを先送りしているうちに品切れになって、古本も5,000円くらいするようになって、買えないでいた。なぜか、比較的よいコンディションの中古をもともとの定価2,000円よりもちょっと安く入手。なんだか20年気になっていた本をやっと読んだ。

    ブローティガンは、アメリカよりも日本でより評価されている作家のようだが、それは彼の感性が日本的なものにより引かれるものがあったようだ。(藤本和子さんの翻訳が、ある意味、原文よりも美しい言葉になっていたのではないかという説もある)

    ブローティガンの初期の作品、つまり「アメリカの鱒釣り」、「芝生の復習」、「ビッグ・サーの南軍将軍」、「西瓜糖の日々」などは、ある種のヒッピー文化の象徴として、アメリカでも一定の評価を受けたようであるが、その後の作品については、あまり注目されていない。

    藤本和子さんのこの評伝でも、これらの作品が中心になっていて、それ以降の作品についての言及はかなり量的に少なくなっている。

    そうしたなか、ブローティガンは、孤立感を深め、最終的には、自殺してしまうわけだが、そこに向かう流れのようなものを作品やブローティガンの娘などの親族や関係者、そして著者自身の体験を含めて、読み解いていく。

    わたしは、ブローティガンのメランコリー的な資質を感じつつも、ファンタジー的な想像力やユーモアのセンスに惹かれていた。

    が、リアルにブローティガンを知る人からは、孤独感、絶望感といったことが強く伝わってくる。

    今、ブローティガンを読むとどんなふうに感じるんだろう?久しぶりに読み直したり、読み残している作品を読んでみようかなと思った。

    ただ、わたしが持っていない本は、品切れで、古書でも高額になっている。。。ブローティガンは、再版されない作家なんだな。。。でも、古書の値段があがってしまうだけの読者はいるんだな〜と日本とブローティガンの関係がそこにも現れている気がした。

  • 文学

  • 寝る前にベッドの中でちびちび。

  • パラパラッと

  • 1973年、サンフランシスコ。偶然見かけた「アメリカの鱒釣り」の表紙の男、リチャード・ブローティガン。風変わりな作品を残し、84年に自殺を遂げるまでを、翻訳者にして友人でもあった著者が作品から辿る。

  • 「「感想」という詩でブローティガンは書いていた。

    ちぇっ、くだらないことが
    書かれるんだ
        おれが死んだあとには

    遺体のかたわらで発見された数編の詩であるそれには、「東京、1984年2月10日」と付記されていた。」

  • これはブローティガン自身を知るにはとてもいいと思う。私はこれを読んで、ブローティガンがますます好きになってしまった。そして、解説みたいなものも、押し付けがましいものでもとっぴなものでもなくて、彼自身に即した内容であるから、面白かった。

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著者プロフィール

1939年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。1967年渡米、ニューヨークの日本領事館に勤務した後、イェール大学のドラマ・スクールで学ぶ。その後、リチャード・ブローティガンの作品をはじめ、多くの翻訳を手がける。本書の他の著書に『ブルースだってただの唄』(ちくま文庫)、『塩を食う女たち』(岩波現代文庫)、『リチャード・ブローティガン』(新潮社)、『砂漠の教室』(河出書房新社)など、訳書にブローティガン『アメリカの鱒釣り』『芝生の復讐』(新潮文庫)、キングストン『チャイナ・メン』(新潮文庫)などがある。

「2022年 『イリノイ遠景近景』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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