- Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104077038
感想・レビュー・書評
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人間の不平等、愛情の形、他人への優越、人生の意味、様々なことを見せてくれた作品だった。
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物語は日本とアメリカを舞台に、徐々に現代に近づきます。その分、重厚さは薄れるのだけど、何しろ話がおもしろいから、もう一気に読んでしまいます。この壮大な恋愛大河小説は、映画でいうと「天井桟敷の人々」みたい。昼ドラと同じようなネタなのに、深く深く心に響くものがある。というか、昼ドラが上辺だけをまねているのだろうけれど。
ただただ物語がおもしろい。それにどっぷりつかれる重く美しい小説です。 -
上下巻。
フミ子お姉さん、太郎ちゃん、ヨウコちゃん、三枝三姉妹。
2ちゃん奥様スレで興味を持ったのがきっかけ。
水村美苗さんは初めて。
冨美子さんが語るという形式がいい。
ダイレクトにあたしの心に響く。
これ以上書くとネタバレしちゃいそうだから、やめる。
読んでよかった。 -
満足ー。久しぶりにはまりこんで読んだ本です。上下巻でも長すぎてしんどいなんてことは全然なかったです。大正の終わりくらいから昭和にかけてのお金持ち(大金持ちではない)とその女中さん、貧乏どころではない貧困生活とそのなかでさらに起こる差別など、「面白い」ということばかりではないのですが、構成、設定、進め方、どれをとってもぐいぐいと引き込まれます。主役は太郎なのかフミさんなのか三姉妹なのか、登場人物たちが生きた時代すべてなのか。でもほんの数十年前までは、使う者と使われる者がはっきりと分かれていた世界が本当にあったのだ、といまさらながらに思い知らされた。金持ちと貧乏人というのとも違う、上と下。いつのまにか消えたのか、まだ今も厳然と残っているのか。消えたように見えてまだまだ続いているのような気がする。いや昔とは形を変えて「今の」上と下があるのか。とにかく、面白かった。いい読書時間でした。
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実は、終盤に書かれている一つの推察が僕は気に入らないのだけど、それを含めても、ありあまるほどの賛辞をおくりたい。なかなか厚い本なのだが、その量から感じられるというよりも、作品の出来が素晴らしいことから、読み終えたときには充実感に満ちていることだと思う。見事な小説。希に見る傑作。
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下巻はあっという間に読み終わってしまうので勿体無いくらい。もうすこしこの世界に浸っていたい!