本格小説 下

著者 :
  • 新潮社
3.99
  • (33)
  • (33)
  • (34)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 210
感想 : 25
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104077038

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 人間の不平等、愛情の形、他人への優越、人生の意味、様々なことを見せてくれた作品だった。

  • 軽井沢周辺の白黒写真の挿入ともに、女中冨美子視点で、時代は戦後から20世紀の末近くまで語られるが、上巻前置きで小説家美苗に語る祐介と冨美子出会いのその後に戻る。三姉妹の娘よう子と、幼馴染ながら身分の違いで添うことが出来ずアメリカで成功する東太郎・よう子の夫雅之の恋愛小説に女中・冨美子の一生がリンクされ、上下巻合わせて1150頁2日間本格小説の広大な世界に浸ることが出来た。

  • 物語は日本とアメリカを舞台に、徐々に現代に近づきます。その分、重厚さは薄れるのだけど、何しろ話がおもしろいから、もう一気に読んでしまいます。この壮大な恋愛大河小説は、映画でいうと「天井桟敷の人々」みたい。昼ドラと同じようなネタなのに、深く深く心に響くものがある。というか、昼ドラが上辺だけをまねているのだろうけれど。

    ただただ物語がおもしろい。それにどっぷりつかれる重く美しい小説です。

  • 上下巻。
    フミ子お姉さん、太郎ちゃん、ヨウコちゃん、三枝三姉妹。

    2ちゃん奥様スレで興味を持ったのがきっかけ。

    水村美苗さんは初めて。

    冨美子さんが語るという形式がいい。
    ダイレクトにあたしの心に響く。

    これ以上書くとネタバレしちゃいそうだから、やめる。

    読んでよかった。

  • 満足ー。久しぶりにはまりこんで読んだ本です。上下巻でも長すぎてしんどいなんてことは全然なかったです。大正の終わりくらいから昭和にかけてのお金持ち(大金持ちではない)とその女中さん、貧乏どころではない貧困生活とそのなかでさらに起こる差別など、「面白い」ということばかりではないのですが、構成、設定、進め方、どれをとってもぐいぐいと引き込まれます。主役は太郎なのかフミさんなのか三姉妹なのか、登場人物たちが生きた時代すべてなのか。でもほんの数十年前までは、使う者と使われる者がはっきりと分かれていた世界が本当にあったのだ、といまさらながらに思い知らされた。金持ちと貧乏人というのとも違う、上と下。いつのまにか消えたのか、まだ今も厳然と残っているのか。消えたように見えてまだまだ続いているのような気がする。いや昔とは形を変えて「今の」上と下があるのか。とにかく、面白かった。いい読書時間でした。

  • 実は、終盤に書かれている一つの推察が僕は気に入らないのだけど、それを含めても、ありあまるほどの賛辞をおくりたい。なかなか厚い本なのだが、その量から感じられるというよりも、作品の出来が素晴らしいことから、読み終えたときには充実感に満ちていることだと思う。見事な小説。希に見る傑作。

  • 下巻はあっという間に読み終わってしまうので勿体無いくらい。もうすこしこの世界に浸っていたい!

著者プロフィール

水村美苗(みずむら・みなえ)
東京生まれ。12歳で渡米。イェール大学卒、仏文専攻。同大学院修了後、帰国。のち、プリンストン大学などで日本近代文学を教える。1990年『續明暗』を刊行し芸術選奨新人賞、95年に『私小説from left to right』で野間文芸新人賞、2002年『本格小説』で読売文学賞、08年『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』で小林秀雄賞、12年『母の遺産―新聞小説』で大佛次郎賞を受賞。

「2022年 『日本語で書くということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

水村美苗の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×