明るい夜に出かけて

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104190041

感想・レビュー・書評

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  • コンビニで、深夜バイトをする。来る客も、一緒に働くヤツもさまざま。
    〈ヘンなヤツよりフツーのヤツのほうが苦手な俺〉20歳の男子学生。
    深夜ラジオを聴きネタを送り採用される率が高い「ハガキ職人」でもある。
    仲間や周りの人たちに、とてもいい距離感を保ちつつ見守られている。
    そして、徐々に心を開いていく。

    分かるな、ということが多かった。
    好きなアーティストのラジオ番組へメールを送り
    読まれたときの達成感。
    アーティスト、リスナーと共有する時間が永遠に続けばいいと願う。
    そして、ふと訪れる現実。
    帰る場所があるから、またラジオを聴き
    メールを送りたくなるのかな。

  • 新聞屋さんに頂く雑誌ESSEのブックコーナーでオススメされていたので興味が湧き、図書館で予約してました。

    接触障害で自分に自信が持てず、社会にもうまく溶け込めない主人公は、深夜ラジオとコンビニのアルバイトで辛うじて社会とつながっている状態・・・
    このままではいけないことはわかっているけれど、どうしたらよいのか分からないともがくイマドキの不器用な若者たちの姿がリアルに描かれていて、普段接しないその世代の子のことが少し理解出来たような気になりました。
    実はみんなどこかで生きにくさを感じながら、それでも投げ出さず、自分なりに今を頑張ってる感じがよかったです。

    とはいえ読みはじめは深夜ラジオの専門用語がわからないし、普通の口語も2割くらい通じないし、アメーバピグとか、今のSNSも理解していなかったから、その世界観に入り込むのが大変でした。この子達はオタク系なのか普通なのか・・・今でもわかりません(苦笑)が、今の若者のコミュニティって、私からするとホント大変だー

  • Going Out int hte Bright Night~富山和志は大学休学中で金沢八景近くのアパートを借りてコンビニで働いているのは中学から高校にかけてラジオの投稿職人として知られていて、大学でお笑い系のサークルに入って告白してきた女の子とつきあい始めたのだけれど、キスを求められ、身体に触れられるのが嫌で、突き倒してしまった痛手を負ったからだった。店でも客に腕を触られて突き放して怪我させてしまった。25歳のバイト仲間の鹿沢は、接触恐怖症を女嫌いだと女性常連客に説明して、救われた。深夜にやってきた女子高生は、アルピーのANNの職人である虹色ギャランドゥだった。リスナー仲間だと判ると話しかけられるようになり、アパートを紹介してくれた高校時代の友・永川を含む四人の不思議な交遊が始まった。鹿沢はだいちゃという名で音楽をやっていて多少は知られた人間だった。佐古田愛の名門中高一貫女子校のパフォーマンス同好会に所属し、文化祭で発表する。彼女の作である「明るい夜に出かけて」は妙に心に刺さり、鹿沢は曲を作り詩作りを富山に依頼してきた。練りに練ってニコ生で流し、感動した富山は感想を述べに鹿沢のアパートに行った帰りに佐古田愛に出会い、ふらふらした生活をやめて大学に戻る柔らかに決心も芽生えたが、この生活をやめて佐古田愛との友情が終わるのも勿体ない。番組改編期が近づき、アルピーANNが終わりそうな雰囲気に心が騒ぎ出す…~ 迷いながら、夢見る奴もいて、病んでいる奴もいて、行き詰まっているようでしっかり仕事もしていて、家を抜け出すたびに叱れるJKもいて。それにしても、深夜ラジオに魅せられて、それが生活のリズムを造り、同じ趣味を持つ者が話を合わせる為に色々調べたり、映画を全部チェックしたり、ラジオ聞きながらLINEやtwitterをチェックしたり…忙しいね。失恋して大学休学したという奴を思い出した…しっかりしろよ!って話で腹を立てていたけど

  • 山本周五郎賞受賞作ということで手に取りました。
    がっつり深夜ラジオ小説!
    アルコ&ピースのANNを聴いていなかったので、逆に興味がそそられた。面白かったんやなあ。
    今やってるラジオを聴いてみようと思いました。

  • 完読挫折本。深夜ラジオを聞かないからか、話には入れずつまらない

  • タイトルのように
    明るい夜に出かけて・・・
    (ネオンがきらめく夜の街で女子会があり)
    このレポを書こうとしたら、
    こたろうどんと被ってしまいました。(笑)

    先日は猫もので被るなど、
    最近こたろうどんと趣向(?)があっているようです。
    で、筆達者なこたろうどんに加えて
    連日連投の魔術師のようなまーちさんも
    レポを書かれているので、
    もう私としましてはあまり書くことがないようです。

    人に触れるのが嫌な大学生の主人公は
    そのせいで1年間休学をし、
    コンビニでアルバイトをしながら一人暮らしを始めます。
    主人公はすごいラジオの投稿者であり、
    そのうちに、同じ投稿仲間の女子高校生たちと偶然知り合い、
    いつしか心を通わせていく、という青春物語でした。

    私が学生のころ、
    ラジオの深夜番組は友人の間でも流行っていました。
    私も金曜、土曜、は聞いていました。
    「オールナイトニッポン」!
    でもこの作品のアルコ&ピースというお笑いのコンビは知りません。
    最近のラジオ番組も聞かないし、
    ラジオのリスナーの世界ももうわかりませんが、
    確かに、夜の世界でラジオは
    孤独な若者にはとても頼もしい友人のようであり、
    楽しい世界であると思います。

    この作品は、青春小説を得意とする佐藤さんが
    デビュー前の習作にタイトルをつけたものだそうです。
    佐藤さんがこの作品を書きためていた時代と現代とでは
    ラジオ番組やコンビニのアルバイト状況など状況に
    若干のズレがでてきているようでした。
    でも、夜間コンビニのアルバイトと深夜ラジオは
    やはり、深夜という共通点があります。
    夜の世界で心を通わせる若者たちって
    現代では、少々あぶなっかしいですが、
    この作品では、純粋な若者たちでした。

    ラジオ番組に投稿して、自分のことを述べていた時代は
    もう過ぎてしまったのかな、とふと思いました。
    今は、ツイッターやFacebookで、
    自分のことを述べられますからね。
    こんな若者の青春もあるのだなと
    なんだか懐かしくなる作品でした。

    何作か佐藤さんの作品読みましたが、
    昔書いたものに手を加えた作品が多いようです。
    このあたりで、
    まっさらの立ち位置から
    現代っ子の青春を書いていただきたいと願います。

  • コミュニケーション障害?を持つ大学休学中の男の子が、ラジオのハガキ職人である変わり者の女子高生と出会い、ラジオやコンビニバイト、学祭などを通じて、自分の中の問題と向き合って行く物語。取り巻く友人やバイト仲間もそれぞれに個性的だけれど、自分の中にどこか共感する部分もあって、遠い人たちには思えない。

    爽やかだけど、ちゃんと何かを乗り越える。暗くて重くなりそうな話題も風通しがいい感触。
    「青春」だなぁ。タイトルもぴったり。

    ラジオの描写がとってもリアル。実際のラジオ番組名やコーナーがたくさん出て来て、ラジオ好きにはたまらない。ツイッターやインターネット、LINEなどもたくさん登場するので、「今」実感して楽しめる小説。

    アルピーのann聞きたかったなぁ。皆んなで作っていくラジオの面白さ、ハガキ職人の情熱に、佐藤多佳子さんてこんなにラジオ愛があるんだなぁ!と感じ入ってしまった。

  •  かつて深夜ラジオ族だった私には、わかるなぁ~という空気感のある作品でした。
    聴きたいラジオ番組の時間のブッキングに悩んだり、雑音混じりのお喋りを聴き取ろうとラジオを持って部屋の中をウロウロしたり…そんな事を懐かしく思い出しました。 
     この作品、アルコ&ピースさんはどんな感想をもったのでしょう。気になるところです。

  • 上手く世渡りしていけるように、
    少しでも損をしないようにと生きているはずなのに
    周りと上手く付き合えなくて、人生遠回りばかりしているような人物を好ましく思うのは何故なんだろう。
    主人公の男子大学生(一応)の心情がビシビシと伝わってきて胸が苦しくなりました。

    SNSなんてどこにも存在しなかったその昔
    夜中に一人で起きていて、不意に孤独感に襲われると真っ先に手を伸ばすのはラジオだった。
    こんな真夜中に起きているのは私だけじゃない、
    他にもどこかで誰かがラジオを聞いて笑ってる人がいる。
    それだけで、見ず知らずの人たちに勝手に連帯感を感じ
    一人ぼっちでいても淋しくなかったのだ。

    いつでもどこでも誰かとつながれる
    本当は孤独を紛らわせてくれるはずのネットの世界が
    簡単に人を追い込んでしまう今日この頃。
    あの真夜中のラジオが運んでくれた淋しさの中の安心感を
    久しぶりに思い出したのでした。

  • ジョージャクソンのステッピングアウトという曲を思い出した。正確にはその曲のPV。その頃、多分1980年代前半、まだ日本では殆どPVなんて誰もつくってなくて、確か夜中にやってたベストヒットUSAで見た。そのPVの感じが蘇ってきて、作中の演劇→言葉→歌と互いの作品がどんどん新しいものに影響していく中に、そのPVもつながっているような不思議な感じに囚われた。個人的な体験が芋づる式に蘇らされて、それを可能にするのは、やはり優れた作品なんだと実感。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。1989年、「サマータイムで」月刊MOE童話大賞を受賞しデビュー。『イグアナくんのおじゃまな毎日』で98年、産経児童出版文化賞、日本児童文学者協会賞、99年に路傍の石文学賞を受賞。ほかの著書に『しゃべれども しゃべれども』『神様がくれた指』『黄色い目の魚』日本代表リレーチームを描くノンフィクション『夏から夏へ』などがある。http://www009.upp.sonet.ne.jp/umigarasuto/

「2009年 『一瞬の風になれ 第三部 -ドン-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤多佳子の作品

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