くまちゃん

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104346042

作品紹介・あらすじ

4回ふられても私はまた、恋をした。なんてことだろう。あんなにつらい思いをしたというのに。きっとここにあなたがいる、傑作恋愛小説。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公がリレー形式でつながっている恋愛の短編集は
    初めてだったので新鮮でした。

    私も過去の恋愛を思い返しながら読みました。


    別れた彼はまた別の人と付き合って、
    別れてまた新しい出会いがあって、、、
    その出会いはもしかしたら
    私と遠い関係で繋がってるのかもと思うと
    何だか不思議な気がしました。


    付き合って、別れて、フッて、フラレて、
    それでもやっぱり人はまた誰かを好きになる。
    苦い経験をしてもまた恋愛する人間て弱い様で強いのかな。


    人は幸せになる為にこんなにもパワフルになれる。
    切ないだけじゃなくて、前に進む勇気も貰えました。
    恋愛というより人生の物語。

  • 何年か前に読んで、ずっと印象に残っていたお話がある
    もう一度読んでみたら印象は変わっていたのだけど、

    でも改めて、読んで思い出したかった気持ちが見つかった。

    恋する人たちの短編集
    ベクトルをどこへ向けるかは読んだ人次第かな?

  • 面白かったです。前のお話でふった人が、次のお話ではふられる、連作短編集でした。
    恋って、その最中では一生懸命ですが、終わってみたらこんなものか、となるのかも。ふったり、ふられたり、わたしもありましたが、今はすっかり離れました。幸せも確かにあったけど、辛く歪な心にもなりました。
    終わってすぐはとても辛くても、きっとまた恋をするのだろうなと思います。いつになるかはわかりませんが、もうしばらくかかるかな…。
    私のつまんなさは私のものだし、私は私以上にはなれない、という最終話の台詞が残りました。
    今、読めて良かったです。皆、幸せになれたらいいです。

  • まさに私と同じ年代、もしくは少しお兄さん、お姉さんたちのお話。
    いい意味で活気があったあの頃。
    自分の心の引き出しに閉まっていた微笑ましい過去や小っ恥ずかしい過去がページをめくるたびに溢れ出てきた。
    懐かしくもあり、切なくもあり。
    あなたもどうですか。
    少しだけタイムスリップして、過去と向き合ってみませんか。

  • 連鎖する短編。各短編の視点人物が全員ふられる。連鎖するようにふられていく。

    ”その人のようになりたいと思ってはじまる恋もある。似ているから好きになる恋もあり、あまりにも違うから好きになる恋もある。好きだと言われてはじまる恋も、同情を勘違いしてはじまる恋もある。だれしもそのとき自分に必要な相手と必要な恋をし、手に入れたり入れられなかったり、守ろうと足掻いたり守れなかったりする。そしてあるとき、関係は終わる。それは必要であったものが、必要でなくなったからなのだろう。たぶん、双方にとって。”(P275より引用)

    最後の短編の、最後の最後にこんなことが書かれていた。恋ってつまり、言葉で表すならそういうものかもしれないなと思った。
    恋愛や失恋に限らず、色んな人間関係がある。非凡な存在になりたくて、知りもしない花見客に混じって酒を飲んだりする人もいる。ずっと好きだったミュージシャンと付き合えたのに、別れてしまう人もいる。
    手に入らないもの、手が届かなかったものはいつまでも輝いて見える。銀色夏生さんの本にもそんな文言があったな。

    この世の終わりみたいに思えた失恋、声をかけても無視するほど自分を嫌っていた人、お前は心が真っ黒だと言ってきた高校時代の先生。
    うまくいかなかった人間関係ほど忘れらない。
    生きていくこととは、苦しみの連続なのか。

  • この本は私のために書かれたのかってくらい、ひしひしと伝わってくるものがあった。どんなに痛い思いをしたって、人はまた恋をしてしまうんだ。「必要でなくなった」という言葉だけ聞くと、見放されたような孤独感を覚えるが、この本の終盤に出てきた「必要になったから恋をする」とか「必要でなくなったから別れを告げる」といったような表現には、そのような冷たい合理的さは感じない。「好きな人や恋人が必要、必要でないこと」あるいは「別の人を好きになること」は生きていくなかでごくごく当たり前のことなんだなぁと自然に、何の感傷も感じさせずに、すっと心に入ってきた。相手の「必要」を守りきれなかった。ただそれだけのこと。それだけのことなのに、好きな人と気持ちが通わないことは「股裂き」になるほど辛くて苦しくてみじめで情けなくて、死んでしまいたくなるほどで、存在を否定されたような気持ちになって。でも彼らはまた、恋をする。あんな思いをしたというのに。私もいつか、本当いつになるか分からないけど、きっとまた恋をしてしまうんだろうな。

  • 苑子は大好きなくまちゃん(ヒデちゃん)にふられ
    ひでちゃんは大好きなユリエにふられる
    ユリエは大好きな(だった)マキトの元を離れ
    マキトは束の間の居候、キマコに何故かこころ惹かれる
    キマコは久信にフラレテ
    久信は苑子に大好きな文太をとられて悲しい気持ちになる

    ふったりふられたりでつながる男女男女

    失恋した時の
    痛くて寒くてフラフラな感じがよみがえる心持ち

  • 色んな男女、そこには色んな恋愛がある。
    それを連作のように繋げた本書。

    愛について悩んでいる今、この本に出会ったのも偶然ではないんだろうと思ってしまった。
    自分の仕事、相手の仕事、その価値を通して個人の価値を感じでしまうことは往々にしてある。そして、パートナーに自分にはない価値を求めてしまうことも。
    そこにあるのは愛なのか、価値を感じて欲しているだけなのか。

    登場人物が数珠繋ぎになってるのも楽しくて、するする読み切った。

  • 見事な連作。最後はこう来たか!さすが角田光代さんです。

  • たまには恋バナも良かった。短篇の登場人物が絡み合い、時間軸も年単位で進む。現実的な気もする反面、三十過ぎて恋だの言ってると仕事も子育ても出来ない。こんな暮らしが当たり前なのだろうか?そうなら少子化の原因はコレだ。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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