私のなかの彼女

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104346059

感想・レビュー・書評

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  • 深い。なので、再読したい。
    パッとしない大学生から平凡な中流OLになり、その間、彼女は自分よりもずっと高いレベルにいる彼氏に引け目を感じていた。引け目の気持ち、自分に自信を持てない感じ、なのに誇らしくなる気持ち、でもやはり焦る気持ち、共感した。
    その位置から、彼氏と同レベルのところに追いつき、二人の関係はこれまでよりずっと良好になり花開いていくのかと思いきや。。「自分の時間を自分にしか使えない女」とさえ言われる。
    15年を共にしたのに別れ際はあっけなく。彼女は何年もの間、彼の記憶や彼へのネガティブな感情が頭から抜けない。彼女の行動も感情もせつない。
    母娘間のやりとり、角田光代さんの描写はどの作品においても深く納得できる。

  • 再読決定。 2015/09/30

  • いつか仕事が減った仙太郎が和歌の盗作をするのではないかと思っていた
    それがこんな形になるなんて
    仙太郎はいつだってまともだった
    最初は和歌の何が才能がある仙太郎を惹きつけるのだろうと知りたくて読み進めた
    仙太郎の力に圧倒され引っ張られてる和歌が不安定で目が離せなかった
    仙太郎の作品集に全く心を動かされなくなってからも仙太郎の背中を追い続けてる和歌はいつでも不安定だ
    多感な10代の時期に付き合った男のひとに影響を受けすぎて、
    わたしも和歌のようになる、そんな不安に既視感があった
    こんなに夢中になったのは和歌と私がかぶるからだ 和歌は私だ。
    ひとのためにという想像力がわたしにもない
    和歌に降り注ぐ非難が自分の身に染みた。
    わたしがこれまで読んできた本が、それが出版されていて図書館に並んでいてわたしに届いていることが途方もないことなのだとかんじた

    ああ、ただしいを正しいと書かないセンスが好きだ。ガツンと衝撃を受けた。
    私の中の彼女は、和歌の中のタエかな。

  • きっと誰1人悪いわけじゃない。
    ただ、すれちがってしまった。行き違ってしまった。生き方が重ならなかった。
    そしてそのことは、お互いをひどく傷つけ合ってしまった。
    http://matsuri7.blog123.fc2.com/blog-entry-197.html

  • 期待外れ

  • 真夏の図書館でふと、この本を書棚から手に取ったフシギ。

  • 和歌は、私だ。
    世代も、職業も、家族環境も、生きてきた道も違うけれど、これは私のようだと思いながら読み進めた。
    金魚鉢のなかの金魚が口をパクパクとするように、生きている和歌が。

  • 本田和歌が大学で内村仙太郎と出会い、彼から様々な刺激を受けて就職するが、実家の蔵で祖母が書いたと思われる本を発見し、物語が展開する.祖母山口多栄は和歌がものを書くということに生きがいを見出すきっかけになった.新人賞の受賞、仙太郎との同棲、流産などが次々と起こる.多栄のことを調べていくうちに桐島鉄治の著作に多栄のことが出ていることを発見.最後のほうで、卒論を評価してくれた恩師に会う場面は、これまでの和歌の行動を集約した出来事ではないかと思った.

  • 主人公は、時代や男性に合わせて自分を変えていく、空っぽな女性に見えて、好きになれなかった。自分がなくて、人形みたい。そこから一歩踏み出すまでの長い長い人生の物語。15.3.25

  • 本田和歌。バブルがはじける前に大学生活をおくり
    彼氏は在学中にイラストレーターとして成功する。
    就職したものの、祖母が小説家志望だったと知り、
    自身も働きながら小説を書くようになる。

    彼氏の仙太郎との関係も母親との関係も
    なんだか歪んでいて。

    学生時代から10年以上付き合い、同棲も始めるけれど
    学生の時に結婚したいと願っていたようには思わなくなる。

    バブルがはじけて新しい時代が始まり
    カルト教団の事件、阪神大震災、サカキバラ事件など
    現実にあったできごとを盛り込みつつ
    和歌の変化を描いていく。


    和歌はある文学賞の候補になり妊娠したのにも関わらず、生活に気を遣わずに執筆や取材に明け暮れる。

    結局、、和歌は文学賞も逃すし流産もしてしまう。


    作家だけど、スキマ仕事のコラムなどが増えて実際の作品は書けなくなっていく。

    仙太郎との関係もぎくしゃくするし
    和歌はなんにも手に入れられない。


    その後に予期せぬ形で本に重版がかかったりして
    作家としての地位は築けるけど
    なんだか空虚というか虚しさのようなものを抱えている和歌。


    もしかしたら結婚したほうが和歌には幸せだったのか。

    祖母の亡霊に取り憑かれたように書くことに執着した和歌だけど、いつか本当に自分のやりたいことが見つかるといいなと思う。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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