殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104405022

感想・レビュー・書評

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  • これは良かった!
    みんな読んだ方がいいと思う!!

  • これは「ノンフィクション」だ!

    「北関東連続幼女誘拐殺人事件」、こんな事件は存在しない。いや、警察が存在させていない。

    このうち1件は記憶にも新しい足利事件で無期懲役の菅家利和さんが無実の罪を着せられ、17年も服役していた事件だ。
    菅家さんが釈放されたのは2009年6月、まだ最近、菅家さんは杜撰なDNA鑑定と拷問に近い取調べで自白を強要され、17年もの歳月を刑務所で過ごすはめになった。
    菅家さんが捕まった際、以前に起きた2件の事件も無理やり自供させられたが、これは不起訴となった。

    5件の幼女連続誘拐殺人事件、菅家さんの無実が証明された今、犯人は捕まらず普通の暮らしを続けている。

    著者は初期のDNA鑑定の危うさを丁寧に解説し、菅家さんの無実を信じ、残り4件も含めて犯人が他にいることをメディアを通じて訴えていく。
    それを自分たちのメンツを守るために次々と警察や検察が妨害していく。

    あらためて「これはノンフィクションだ!」

    是非、多くの人に読んでほしい1冊

  • 事件ノンフィクションは基本的に苦手で、避けて通りたい。でもこれは読まねばならないと思っていた(そういう本ってやっぱりあると思う)。意を決して一気に読む。

    予想通り非常に重い読後感。自分の日常の地続きで、こんなことが起きているなんて。焦りとあきらめが交錯するような、整理のつかない気持ちになった。本書の出版からすでに一年以上、その後の動きが聞こえてこないということは、この件は筆者が危惧しているように葬り去られていくのだろうか。

    警察の負の面がつきつけられて、暗澹とした気持ちになる。よく考えてみればこれは「組織」の持つ恐ろしさなのだろう。自己防衛のためならば、事実を平気でねじ曲げ、責任逃れをはかり、都合の良いことを強弁し、謝罪すべき相手を逆に攻撃する。警察は強大な国家権力を背負っていることと、マスコミを操れることによって、その害が甚大であるわけだ。

    これを読むと、事件報道というものを信じられなくなる。大量に垂れ流される「物語」を鵜呑みにすることだけはやめようとあらためて思った。

  • 北関東の連続幼女誘拐殺人事件に克明に迫ったノンフィクション。犯人はまだ捕まっていない、著者も警察も犯人が誰なのか、何処に居るのか分かっているにも関わらず。衝撃の一言。

  • 圧倒された。
    仕事とは何か考えさせられた。
    他者のため、世のため人のために生きる

  • 世の中には理不尽なことがたくさんあるが、腹立たしいけどまあいいか、というものもあれば、これはちょっと看過できまい、と感じるものもある。
    このルポルタージュは、著者の清水潔氏が、前述の中でも後者の類に入る、とりわけエクストリームな事柄に執着し、彼が思うところの真実を追求していく過程を克明に記したもの。
    ご本人は否定しつつもやっぱりちょっと自慢に聞こえてしまうような嫌いはあるものの、誰もがおかしいと思うことについて「おかしい」と声を上げ続け、行動に移し続けていく様には、例えそれが最終的な結実にはつながらなかったとしても、感服せざるを得ない。

    合法的に人間の身体を拘束し、その人生を狂わせることができる公権力が判断を誤り暴走した場合、我々個人が手にできる武器はほとんどない、という現実的な恐怖がよく伝わる。

  • 2014.5.13読了
    ここ数年読んだノンフィクションの中ではダントツだった。夢中になって読んだ。今のマスコミの在り方には色々と思うところがあるけれど、こんなにもジャーナリスト魂を持っていらっしゃる方がいるんだと驚いたと同時に、とにかくこの本を沢山の人に読んで欲しいと強く思った。今、この瞬間も警察は何をやっているの?早く、早く、と思わずにはいられない。菅家氏や袴田氏、免田氏、そして飯塚事件の久間氏の人生を思うと言葉が見つからない。考えられない信じられないことが現実に起きている。警察・検事は一体誰の味方なのだろう。それが一番哀しい。

  • 怒りがほとばしるような文章だった。
    足利事件の容疑者となった菅家さんを逆転無罪へと導き、丹念な取材によって真犯人までもあぶり出していく。なによりもこの筆者の執念がすごい。それとあまりにも対照的な警察・検察のずさんで横柄、怠慢な捜査に辟易する。
    真犯人ルパンが逮捕され、真実が明らかになる日がくることを心から祈るのみ。

  • 驚くほど杜撰。毎度毎度思うのだが警察も検察も裁判所も被告、及び容疑者をなんだと思っているのか。
    しかも足利事件は捜査当初から100%の見込み捜査もいいところ。事件が解決されれば良いと思っている。
    結局起訴した元刑事はのうのうと生き延び、反省の色も感じさせないと来ている。これでどうやって警察を信用すればいいのか?
    実際に容疑濃厚な容疑者を筆者は特定しているのにもかかわらず全く動きがない。呆れるばかりだ。
    みなさんにも忘れないで欲しいと思う。警察官は犯罪者だ。絶対に信用してはいけない。起訴した事件の99%が有罪、なんていう国は日本以外にないことだし。とにかく疑ってかかること。それが大事だと強く思った。

  • とにかく、仕事をさぼって読む本ではないなと思った。罪悪感がすごすぎる。爪の垢を煎じて飲みたい。それだけ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「爪の垢を煎じて飲みたい。」
      殆どの人は、此れを読んで憤っても如何ともし難いのが現実。どうすれば、この不幸な事件に決着をつけるコトが出来る...
      「爪の垢を煎じて飲みたい。」
      殆どの人は、此れを読んで憤っても如何ともし難いのが現実。どうすれば、この不幸な事件に決着をつけるコトが出来るのだろう。。。
      2014/04/08
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著者プロフィール

昭和23年生。皇學館大学学事顧問、名誉教授。博士(法律学)。
主な著書に、式内社研究会編纂『式内社調査報告』全25巻(共編著、皇学館大学出版部、昭和51~平成2年)、『類聚符宣抄の研究』(国書刊行会、昭和57年)、『新校 本朝月令』神道資料叢刊八(皇學館大學神道研究所、平成14年)。

「2020年 『神武天皇論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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