- Amazon.co.jp ・本 (185ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104588053
感想・レビュー・書評
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久々に吸い込まれてしまった。
ひや〜、なんだこの感じ。”R”は驚愕ではなく、どちらかというとせつないな。
"R"と共に生きてきた自分、というのが。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
やっぱ「文芸作品」は性に合わない。主人公がやたら悶々として、結局そのまま終わりって感じ。せっかくのミステリ要素も付け合わせ程度で終わっちゃってるし。
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弁護士事務所・新見とR、
日置事件遺児・紗奈江。
天才。
評価の高かった「掏摸」を面白いと思えず、自分には足りないものがあるのだろう・・・とちょっと寂しい気持ちに陥ったり、
週刊ブックレビューでのインタビューで高感度の高い謙虚な青年である事を知り、益々自分の欠落感を感じていたのに!
小気味いい楽しい話ではないけれど、本当に面白く読めた。
勿論健全な感じがいちばんなのだけれど、新見に同じようにされたいと思ってしまう自分もいて、切なく苦しい気持ちにビビる。 -
「僕」が何気なく知りあった女性は、ある一家殺人事件の遺児だった。
中村文則さんの新作は、なかなかに重苦しい作品でした。
人間の暗部を抉るような、見聞きしたくないようなことも書かれていて、小説の世界に入り込むのがためらわれた。
それでも事件に引っ張られてページをめくる。
事件の謎が解けていくのと同時に進む僕と彼女の関係。最後に穏やかな境地に至った僕はこれからどのように生きていくのだろう。
事件の犯人を想像している場面での会話の引用…
「…根本的に歪んだやつだと思います。小さい頃から、きっと歪んでいた、根本的に、相当に。そして大人になってから大変なことをする。…」
そして主人公も自分自身を歪んでいると思っている。
閉鎖された家庭での狂気じみた感じや抑圧がずっしりとぶら下がっている。自分にとってはこういうのは相当怖くて辛いジャンルです。
ここまで人間が持っている歪みを追求する作者に頭が下がります。
短いあとがきにぐっと心を掴まれて、以前から躊躇している「土の中の子供」を読んでみようかという気になりました。 -
個人的に待望の、中村氏新作。夜中に一気に読了。お得意の、悪のその先ストーリー。に今回はまさに迷宮、謎解き要素も。震災なども盛り込まれており、さあラストは、どう転がるか。
「人間にとって、本当に悪は可能だろうか?」 -
やはり、難しいな
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中村文則さんは初期の作品では徹底的に内省的な描写を重ね、独特の、一種時代遅れなまでの愚直さが魅力だったんだけれども、途中、『最後の命』あたりから物語の面白さ、リーダビリティの高さを求めるようになり、そういった展開が自分としてはずっと残念に思っていた。
確かに『掏摸』なんかはいかにも面白かったんだけれど、僕がこの人に求めているのは、そういった作品では無かった。
勿論それは読者の勝手な願望なので、作者がそのわがままに応える必要は無い。
ただ自分は、恐らく今後、その両方を追求した小説を書いていってくれるのだろう、ということを期待していた。
そしてこの作品は、まさしくその両立を目指した作品なんだと思う。
「迷宮入りした密室殺人事件」という、明確な「引き」を設定しつつ、それと初期の作品のような心理描写をからめ合わせようとしている。
しかし、結果からいって、それはあまりうまくいかなかったように思った。
登場人物のトラウマだとか、チックだとか、そういうのが余りに類型的すぎるのと、そういう人物ばかりが出てきて外部が設定されておらず、ただいたずらに病んだ描写が繰り返される。
(振り返ると確かに、その類型的なところは作者の弱点で、今回それが思い切り露呈してしまった気がする)
それでも、こういった方向性にチャレンジすることはとても嬉しかった。
ここから更に踏み出して、突き抜けた作品を書いてくれると思う。 -
相変わらずの気持ち悪さ。
でも心地よく感じ、共感してしまう自分がいる。
彼の作品の中では、あまり好きではないけど、
らしさが存分に表出されていると思う。
命を削って執筆しているという印象はいまだ拭えない。
僕は彼のあとがきが好きで、毎回必ず最初に読んで、
途中でも、読み終わってからも読み返します。
彼の魂の力強さのようなものを感じることができるからです。
共に生きましょう。 -
純文学ミステリーって言ったらいいのか。
迷宮事件を追う・・
結末のドンデン返しを期待する作品じゃないが。
途中少しだれたが「掏摸」に次ぐ位の作品かな。
あと3作品で11作品完読 -
どっと重くて暗い。具合が悪い日に読む本ではないのだが、引き込まれてしまった。弟が小さい時に、僕の頭の中でいい子の僕と悪い子の僕が喧嘩をするんだ~というから、で、どっちが勝つの?と訊くと、悪い子!と思いっきり言っていたことを思い出した。私は単純なので、そういう気持ちはわからないのだが。