そして殺人者は野に放たれる

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104648016

感想・レビュー・書評

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  • 刑法39条を即刻削除すべし。
    心神喪失は不起訴、心神耗弱は減刑する現行刑法では被害者が報われない。犯した罪の結果の下に罰を与えるべきだ。

    裁判において精神鑑定という言葉を良く耳にしてきた。それによって責任能力の有無を判断していることは知っていた。しかし、心神喪失に該当すると罪に問われないということまでは知らなかった。まさにタイトル通りのことが現実に行われていた。かなり衝撃的な内容だった。

    精神障害者と罪を犯した者というタブーな問題に真正面から取り組んでいる。

  • 刑法三十九条による精神喪失又は耗弱者に対する量刑の不当さをルポしたもの。日本では犯罪を犯す前に酩酊するか薬物を投与するか精神疾患の振りをすれば、司法、法曹界又は判定医によって救われるらしい。日本って本当に安全な国なの?

  • 多くの本を執筆されてきた著者。社会的なネタの本もあるが、ビジネス書から入った私としては、著者がこの本を執筆したということに違和感を覚えましたが、後書きを読んで納得できました。心神喪失、心身耗弱を扱う刑法39条の取り扱い、もしくは存在が加害者に大きく味方し、被害者へは一顧だにしないという誤った正義がまかり通っていること。大津事件は学校では日本が法治国家であることを喧伝するために犯人を死刑としなかったと習い、良い意味でとらえておりました。しかしながらこの事件はこの本で問題視していることの端緒がみえるという事実に驚きました。出版されてから月日がたち、裁判員制度も開始されております。ここでの問題点が解決されていることを望みます。

  • 精神の異常さを根拠に無罪となる人がいる。私は、前々からこのことに違和感を覚えていた。
    犯罪は犯罪だし、法律に沿って罪を償うべきだと。
    人を殺すような非日常的な状況で、犯罪者の精神状態が多かれ少なかれ通常であるとは思いにくいし、それを根拠に無罪にされたのでは被害者はたまったものではない。
    それに、あとから他人が当時の精神状態を想像することに妥当性があるとは到底思えない。そんな無駄なことは即刻やめるべきだ。
    この特別待遇こそが精神病の方に対する差別だとする筆者の言葉が胸に残る。

  • 昨今の少年法の改正に至るムード作りにも何役もかってられたんじゃないかと思われます。それに少年法やら裁判事情に詳しくならざるを得ないなかなかスキャンダラスな生い立ちの方であることを知りました。
    とにかく、日本の刑法はものすごくおかしいというのは知っておいて損はないですよ。
    とんでもなく、ヤバイです。

  • 筆者によればニッポンは『世界一犯罪者に優しく量刑が最も軽い国』だと言う。
    どんな凶悪な犯罪を犯しても犯行当時心神喪失状態であったと鑑定されさえすれば刑法39条により責任能力を問われず不起訴、または刑罰が下されたとしても減刑になるのだそうだ。
    精神障害者による犯罪は多少考慮されてよいとしても、なんと覚せい剤やアルコールによる心神喪失状態にも刑法39条が適応されるというのにはあきれる他に無い。
    犯した犯行と量刑のギャップがとても理不尽で、ページを繰る毎に怒りとやりきれなさが同時に沸き立つ。
    なかなかヘビーですが是非一読すべき一冊。

  • 精神病者の犯した犯罪とその結果についての本。現実に絶望できる。<br>これ今も変わってないのかなー変わってないんだろうなー<br>できるだけ多くの人が読むといいと思います

著者プロフィール

1958年、長野県に生まれる。東北大学法学部卒業後、販売、配送、書籍の編集、コピーライターを経て87年より作家・ジャーナリスト。著書には、『そして殺人者は野に放たれる』(新潮文庫、新潮ドキュメント賞受賞)、『世間のウソ』(新潮新書)、『ラクをしないと成果は出ない』(だいわ文庫)、『情報への作法』(講談社+α文庫)など多数。

「2011年 『つながる読書術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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