いとみち

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 106
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104723034

作品紹介・あらすじ

「お、おがえりなさいませ、ごスずん様」本州最北端のメイドカフェで、だべ。ちっこくて泣き虫で濃厚すぎる津軽弁。日本代表クラスの「ドジッ娘」相馬いとの進化が、全速力で始まる。津軽の奇跡、グルーヴィンな青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • 「おかえりなさいませ、ご主人様」と言うはずが
    「おがえりなさいませ、ごスずん様」になってしまう
    津軽メイド珈琲店が誇る最終兵器、相馬いと。

    このいとちゃんがもう、けなげで、可愛くて♪

    古式ゆかしい濃厚な津軽弁のせいで気軽に人と話せなくて
    人見知りを克服しようと一念発起してバイトし始めたメイドカフェなのに
    お馴染みの挨拶がちゃんと発音できないばかりか
    モップをかけようとすると、メイド服のまますってんころりんと転び
    オムライスの絵入れを担当すると、ケチャップがお皿をはみ出して
    テーブルの上にまで飛び散ってしまう始末。

    失敗する度に名状しがたい嗚咽を漏らし、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながら
    それでも決して諦めず、『汽車ポッポ』の歌で「しゅ」の発音を練習し
    傾きかけたお店を守るため、ステージで津軽三味線を必死に奏でる姿に
    『いと転協』(正式名称=いとさんのプライバシーには立ち入らず、
    転ばないように見守りながら痴漢の接近は断固阻止する紳士協定)メンバーならずとも
    全力で声援を送らずにはいられません♪

    お客を迎えるいとちゃんが訛らずに「ご主人様」と挨拶できるか、
    毎回固唾を呑んで見守る常連さんたちも
    小学生の娘を抱え、5歳もサバを読みつつメイド姿でアップルパイを焼く幸子も
    漫画家になる夢を叶えるため、夜中に原稿を描き、昼はメイドとして頑張る智美も
    自分が手を染めた商売の中で、この店だけは人を笑顔にする、と呟くオーナーも
    託された店を守るためにあらゆる努力を惜しまない店長も
    津軽三味線でヴァン・ヘイレンを弾きこなす名手ながら、温かくいとを支える祖母も

    登場する人たちがみんな
    呆れるほど一生懸命で清々しい、愛すべき作品です!

  • おもしろい!いっきに読み切った!
    はじめから終わりまで、どんどん物語に引き込んでくれた。

    お話は…
    青森のメイドカフェ
    「お、おがえりなさいませ、ごスずん様」
    ちっこくて、何もないところで転んで、泣き虫で、激しく訛ってる ドジッ娘 相馬いと が、おどおどしながら成長していく。
    カフェの家族とともに。

    テンポがよくって、
    カフェのにぎやかな音と心地よい香りを感じた。
    いと だけじゃなく、登場人物の表情を思い浮かべることができる。
    困った顔、笑った顔、時には怒った顔も。

    自分のバイト時代の記憶も蘇ってきた。
    辛かったり、怖かったり、やめたいなと思ったけど ここでやめたら負けた気がすると思ってがんばった結果、バカで楽しい色鮮やかな想い出になってる。

    津軽弁が織りなす青春物語。
    おもしろかった!
    続編も読む!!

    越谷オサムさん、お気に入りの作家に確定!

    • まろんさん
      わあ、うれしい!desicoさんがこの本、気に入ってくださって。
      私とてもお気に入りの本なのですが、周りに読んでくれる人がぜんぜんいなかった...
      わあ、うれしい!desicoさんがこの本、気に入ってくださって。
      私とてもお気に入りの本なのですが、周りに読んでくれる人がぜんぜんいなかったので
      読んでくださって、しかもこんなに褒めてくださって、ほんとに感激です♪
      いとちゃんはもちろん、カフェのみんなも学校の友達も
      みんな愛すべき素敵な人たちで、読んでいて元気が出ますよね!
      おばあちゃんの濃厚な津軽弁も、最後の表を見ながらしっかり味わってしまいました。
      『二の糸』のレビューも楽しみにしていますね(*'-')フフ♪
      2013/05/21
    • decoさん
      気に入りました〜
      ずっと楽しく読めた、気づいたらどんどんページをめくってました!
      おばあちゃんの濃厚な津軽弁はまだ未翻訳なんですf^_^;)...
      気に入りました〜
      ずっと楽しく読めた、気づいたらどんどんページをめくってました!
      おばあちゃんの濃厚な津軽弁はまだ未翻訳なんですf^_^;)

      「二の糸」は週末に読む予定です。
      楽しみ楽しみ♪
      2013/05/21
  • 内気な高校生の女の子が、青森でメイドカフェに勤めるという青春小説。
    かわいらしく、楽しいお話です。

    相馬いとは、高校1年生。
    津軽弁のきつい祖母に育てられ、この年齢にしてはなまりが強い。
    クラスメートともろくに会話ができず、思い立って青森市のメイドカフェに応募。
    土日だけのバイトを始めます。
    内気で世間知らずないとには、無謀な試みだったが‥?

    おっとりした若いマスター、先輩格のメイドは二人。
    子持ちの大人の女性だが化粧すると若やいで自称22歳も嘘でなく見える幸子と、陽気で漫画家志望のほんとの22歳。
    常連客もいろいろなタイプがいた。
    いとは、丈の長い深緑色のかわいいメイド服に身を包み、会話は苦手なので、できるだけ目立たない掃除などに回る。
    お客様が来たときにはまず「お帰りなさいませ、ご主人様」と挨拶するのだが、これが「ごすずんさま」になってしまう。
    自信をますます失ういとだったが、年より幼く見えるいとが一生懸命にがんばる様子は、皆に見守りたい気を起こさせて、実は売り上げが上がっていた。

    ばっちゃ、と呼んでいる祖母は津軽三味線の名手で、いとも仕込まれていて小学生の時には賞をとったりもしていた。
    三味線を弾いているときの写真を見て自分の姿にショックを受け、以来やめている。
    夢中になると足を開き、歯を食いしばっていたのだ。
    ばっちゃは時々一緒に弾こうとさりげなく誘ってくるのだが‥
    母親はすでになく、父親とは少し距離がある~メイドカフェなど反対されるに決まっていて、案の定けんかになってしまうが?

    カフェのスタッフで慰安旅行に行ったり。
    やっと友達ができたり。
    つぶれそうになった店を救おうと工夫を凝らしたり。
    少しずつ成長するいと。
    お約束な展開だけど、快調なテンポで、期待を裏切らず、心地よく読めました。

    • まろんさん
      おお、sanaさんも『いとみち』、読まれたんですね!

      いとちゃんの古式ゆかしい訛りとメイド服のミスマッチも楽しく
      常連さんになった気分で、...
      おお、sanaさんも『いとみち』、読まれたんですね!

      いとちゃんの古式ゆかしい訛りとメイド服のミスマッチも楽しく
      常連さんになった気分で、成長をハラハラと見守ってしまいますよね♪
      津軽三味線で、オリジナルアレンジの洋楽を弾きまくるばっちゃも素敵でした。
      いとちゃんの演奏する津軽三味線もぜひ聴きたくて、
      実写化されないかなぁ、と密かに期待していたりします(*^_^*)
      2012/12/14
    • sanaさん
      まろんさん、
      コメントありがとうございます☆
      (実はパソコンが壊れたので、しばらくご無沙汰していました~復旧してうれしい!)
      いとちゃん、か...
      まろんさん、
      コメントありがとうございます☆
      (実はパソコンが壊れたので、しばらくご無沙汰していました~復旧してうれしい!)
      いとちゃん、かわいらしいですよね~!
      メイド服も清楚で☆
      ちょっと様子見に行きたくなりますね。
      津軽三味線、そうそう、ばっちゃが伝統を守るだけでなく、洋楽も好きでアレンジして弾きまくるという☆カッコイイんですよね~!
      実写するにも十分な物語性ありますよね~キャラも立ってるし。
      内気そうな女の子で津軽三味線弾けるってのがネック?かも。いや特訓すれば♪
      2012/12/15
  • 小説読んでて、時々思うことが、あー読み終わりたくないな。
    この本ずっと読んで居たいな。
    この空間の中に何時までも何時までも居たいな。
    そう思える一冊です。

    陽だまりの彼女から読んだので、初めはあまり思いませんでしたが、色々読んでいるうちにものすごく父母とのつながりや情をすごく大切に表現されているなと思いました。

    この本でも例外なく、むしろ過去読んだ中では一番大切にされている本だと思います。

    いとの中のメイド服とても大好きな血・そして津軽三味線が好きな血・そしてどうしても開いてしまう足!(w)
    全てのお母さんエピソードで泣けます。

    そして、血のつながりはないが、仲間・友達・お客さんの中でいとが少しずつ成長していく様、そしてラストハツエおばあちゃんの三味線による津軽じょんがら節!

    どの一面をとっても、自分がまさにそこにいるような臨場感、そして、ずっといたいような感覚に襲われます。

    おすすめです!

  • 青森、津軽弁バリバリの引っ込み思案の高校生が青森のメイド喫茶でバイトを始める話。
    こういうあったかい系のお話し、大好き!!
    しかも青森(三沢ですが)に住んでいたことがあるので、青森の雰囲気を知っているのでさらに親近感☆
    ヒロインの引っ込み思案のいとちゃんの反応がかわいいし、それをいじるバイト先のお姉さまたちや店長、オーナーのキャラも生きている。
    そしてなによりいとちゃんのおばあちゃんとお父さんがとっても素敵。
    おばあちゃんの聞き取れない津軽弁の変換表がツボで、結構頑張って変換作業しちゃいました。
    津軽三味線の情熱的な、ロックっぽい響きを思い出しつつ読んだラストでは、グググッときちゃいました。
    完璧に津軽弁しかしゃべらないおばあちゃんが、横文字だけはものすごくいい発音でしゃべるというのもツボで、思わず言葉を声に出して言ってみちゃったりもしました(笑)

    今後、いとちゃんがどう成長していくのか、ぜひとも追いかけちゃいたいと思ってしまうほどキュートな話でした。


    「おけーりなせーませ、ごスずんさま」
    にはウケたなぁ。
    あとキシャキシャシュッポシュッポって「シュ」の発音を練習するシーンとかも!

  • 津軽三味線、メイド、ヴァンヘイレン、ビーチボーイズ。全く接点のない要素なのにこんなに面白い話になるなんて…w

  • バアチャン譲りの津軽弁がコンプレックスで、人とうまく付き合えない女子高生いとが、一念発起で決めたバイト先はメイドカフェ。
    キャラも展開もしっかりしていてテンポ良く読み進められた。
    バアチャンの聞き取り辛い津軽弁を記号にするのはちょっとなぁ。

    【図書館・初読・3/17読了】

  • キーワードは青森、女子高生、メイドカフェ、津軽三味線。
    先入観を持って読み始めたら裏切られた。ワンパターンじゃなく、楽しめて泣けて最後スッキリ。これは良かった。
    ちなみに、糸道とは、三味線を引き続けると爪にできる溝のことを言うらしい。

  • ひっこみじあんないとの心情が丁寧に丁寧に描かれて、ちょっとつらくなるくらい。
    だめな(だと思っている)自分にガッカリしながらも、周囲に対して小さな気付きを重ねて成長するいとを応援してしまう。
    苦手だった智美に対しても、いいところを認めてちゃんとつき合えるようになって良かった。

  • 安来節で対抗

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著者プロフィール

1971年東京生まれ。2004年、『ボーナス・トラック』で第16回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、デビュー。著書に『階段途中のビッグ・ノイズ』『いとみち』『陽だまりの彼女』等がある。

「2021年 『まれびとパレード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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