- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105014056
感想・レビュー・書評
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これはあくまでも小説だけれど、カポーティの見聞きした事、体験した事、感じたことが色濃く反映しているのだろうな、と推測できた。
作家として「成功」して、祈りは叶えられた。
踏み入れた世界。
そこは華やかではあるが、多くの毒と泥にまみれていた。
混乱と敗退・腐敗のにおいがする。
カポーティは、憎んでいる。
そう感じた。
とめどない嘲笑。
泣いているような笑い声が聞こえてきそうな気がした。
非常に多くの人物が登場して、覚えていられないくらい。
ろくでもない人間ばかりだ、と言いたいのだろうな。
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汚れたアメリカの上流社会を描いた作品ですが当時の上流階級の暴露本のような内容です。
人間の表と裏の顔、欲望、闇がどろどろと渦巻いています。
もしこれが現代のアメリカを舞台にしたら一体どんなストーリーになるのか興味深いです。
アメリカンドリーム、その裏側が読み取れます。 -
未完の作品。
平たく言えば暴露本みたいなもんなんだけど、
あまりにビップなかたがたの暴露本なので、連載として雑誌に掲載したとたん大問題に発展して、カポーティは社交界から追い出されてしまいました。本当は7章構成だったらしいのですが、かろうじて完成させてあるうちの3つを収録してあります。
未完なので評価の付けよう無いですが(しかも半分にも満たない…) -
装画 Edward Hopper Sunlight in a Cafeteria
叶えられなかった祈りより、叶えられた祈りのうえにより多くの涙が流される ---聖テレサ
カポーティは、汚れきった男という最底辺からアメリカの上流社会を描こうとしたのである。このP/ジョーンズと、華やかなリッチ&フェイマスは、実は同じ種族の人間ではないのか。シェイクスピア風に言えば「きたないはきたない、きたないはきれい」である。カポーティは、ニューヨークやパリの虚栄の市ぶりを、P・B・ジョーンズという最底辺の人間を通して描き出そうとした。そこにカポーティの壮大な意志を見ることができる。
『叶えられた祈り』はカポーティ自身の言葉を借りれば「ノンフィクション・ノベルのヴァリエーション」である。(略)カポーティの文学的自伝、青春回顧録にもなっている。