かもめのジョナサン完成版

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制作 : Richard Bach  Russell Munson  五木 寛之 
  • 新潮社 (2014年6月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105058050

かもめのジョナサン完成版の感想・レビュー・書評

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  • パート3までしかなかった作品に、40年眠り続けたパ-ト4を加えた完全版です。
    最近初めて従来の物を読み、これは若者を煽動する物語なのでは?衆愚に足を引っ張られずに自分を磨け。民衆は愚かなのだから救い難し。という上から目線の物語と受け止めた。
    はっきり言って怖かった。どんな宗教も最初は崇高な思想から始まり、小乗から大乗に至る過程で教義は薄まり曲解されて、最初の思想からは遠く離れていくもので、結局は小乗に帰っていくのだ。という身も蓋もない物語に思えて仕方がなかった。新興宗教に身を投じた若者が感化されるのも解る気がした。
    何度も何度も気になる箇所を読み返し、ランダムに開いて読んでみたり色々試みたが何も印象が変わらないというのが僕の最終結論かと思った。

    ところが4のエンディングまで読んで僕は3のエンディングがストンと腑に落ちた。

    パート3では、ジョナサンから飛び方を習ったフレッチャーが若いかもめ達に、「それじゃ、水平飛行からはじめよう」そう言うと彼ははたと気が付く。自分もジョナサンと出会った最初の教えの言葉が、「それじゃ、水平飛行からはじめよう」だったと。その瞬間に目の前にいる若いかもめ達に、ジョナサンと出会った頃の自分を見た。ああ、自分が伝えて行った事は彼らが次の世代へ伝えて行くんだ。無限に続いて行くんだ。ジョナサンは聖人なんかではなく、自分と同じかもめだったんだと。

    パート4ではかもめの世界が理想の世界から、ジョナサンを偶像崇拝し、彼のひたすら純粋に飛ぶことへの意味と喜びを追求していく教えを、卑小な地上に縛り付け権威の器の中に閉じ込めて行こうとする。必要な時に以外は飛ぶ事も止め、ひたすら神聖な存在に近づく事を目指し思考を停止させていくかもめ達。
    思考停止したかもめ達に疑問を呈する若いかもめ、答えを得られず生きる意味を失った彼の前に再びジョナサンが姿を現す。

    彼は楽しみながら悠々と空を疾駆する。神格化などどこ吹く風で。
    ジョナサンは本当に彼の前に現れたのだろうか。若いかもめの心の中から現れた自分の自身と対話したのではないだろうか。

    「正しい掟というものは自由へ導いてくれるものだけなのだ」
    3ではジョナサンの導く正しい掟で皆が自由へ進んでいくような最後で、神格化されても仕方がないようなエンディングだったけれども、4で形を崩されていく偶像を尻目に現れた彼の姿にはとても救われた。とてもユーモラスでこれからも物語は続いて行くんだと思えた。やはり彼は聖人なんかではありえない。

    確かに3でかもめ社会に訪れた明るい未来が、4で完全に打ち壊された結末と読む事も一つの読み方と思った。けれども今の閉塞した社会の中からも、必ずジョナサンは高みを目指して楽しみながら飛び続ける。それは時代も場所も関係無いんだ。
    今だからこそそんな風に読む事が出来たのだと思う。

  • 旧版の内容はほとんど忘れてしまっていました。
    軽井沢ハルニレテラスの丸山珈琲で「完成版」になった本書を発見し、思わず購入しました。

    最終章が追加されているとのことですが、この章を「あとになって発表した」というのは面白いですね。
    旧版では、概ね個人の意思に関する物語だったと思うのですが、新たに追加されたエピソードは、強い社会性をはらんでいるようです。
    この新章のおかげで「かもめのジョナサン」は、もともともっていた深遠さを、より一層増したように思います。

    もう一方でなんとも気になるのは、五木寛之氏の「創訳」という点です。単なる翻訳ではなく、言葉の抜き差し・脚色が多少なりとも行われているのです。
    物語全体に満ちている、精神性というか東洋思想の空気が、この“創訳”によるものなのか、あるいはオリジナルなものなのか、原文をあたってみないと分からないですね。

  • 3章までのものを流行に追われるように読んだのは学生のときかな
    題名以外心に残らなかった
    4章が加わった完全版
    すとんと収まった
    五木寛之さんの「創約」がいいのかな
    写真に惹かれてかもめになったよ
    《 ジョナサンの 望む高みは ただかもめ 》

  • 第4章は元々あったが収録されず、後になって発表されたらしい。読んでみると第3章で終わるか、第4章で終わるかで読了後の印象が大きく変わると思う。

    個人的には第3章で終わって、まるで英雄譚ような形でよかったような気もする。その先のストーリーは読者に任せるみたいな。

  • 4部目が新たに付け加えられた「完全版」です。

    20年以上前に、「かもめのジョナサン」を読んだのは、兄のオススメだったからだったと思います。
    まあでも、面白いけど胡散臭い話だなあというのが、そのときの正直な反応です。

    解説の五木 寛之の感想と同じ感じです……というか、モヤモヤとした気持ちが、五木解説を読むことでいくらかスッキリ考えられるようになった感じです。
    これは、今、モヤモヤした感想があると、岡田 斗司夫の解説聞いてある程度スッキリさせているのとよく似ているなぁ。
    この20年、あんまり成長はしていないのかもしれません。

    今回、4部目がはいって、あぁ、これは必要だなぁと感じました。
    モヤモヤの原因も分かりました。

    「かもめのジョナサン」っていう話は、あくまでも、大乗を否定する話なんですよねぇ。
    でも、そのときのわたしの思いとしては、どこかに大乗的な考え方が正しいという思いがあった。それが、最近は、ちょっとわたしも大乗的な考え方から離れつつあります。
    そして、4部ば入ることで、それがさらに明確になっています。

    うーん。
    大乗からだんだん離れつつあるのは、大乗がどうしても人を支配する思想だということに気づいてきたからでもあります。
    それが、自分の課題でない限り、他人の責任を誰も背負うことはできないし、背負うべきでもないと思うのです。

    そして、今も昔もかわらずに、カモメの写真は、かわいい。それでいいのかも。

  • 遅ればせながら、「かもめのジョナサン」の完成版を読みました。

    歴史上の偉人、国民的アイドル、カリスマバンド。
    フォロワーや取り巻き、ファンによって神格化されていく人たち。
    本質は変質し、それ自身ではなく偶像崇拝する者まで生み出される。

    アイドルやバンドは商業的に、そういう目的をもって計画的に売り出されることもあるので、一概に同じとは言えないが、似たような感じもする。

    ジョナサンは、ただ「飛びたい。」その一心で研究し、鍛錬に励んだ。やがて認めてくれる者が現れ、慕われる立場となり、彼らを正しい道へと導き、決して自分を奉ることはするなと残して去って行った。

    最終章は、そんなジョナサンが去った数年後の話。

    訳者の五木寛之が述べているように、「リチャード・バックは、この最終章を書きたくて、『かもめのジョナサン』を作ったのだな、と納得するところがあった」のかもしれない。

    個人的には、第一章のジョナサンが好きだけれど笑

  •  今回加えられた4章の話は一旦置いておくとして…

     3章までの本を6~7年前(20代の頃)に読みました。
     そのときは人から人へ受け継がれていく様にちょっとした感銘をうけていました。

     今読むと、現在の自分自身が重視している「俗世間に紛れず、自分自身のやることを突き詰めていく」ような様を貫いているジョナサンの姿勢に感銘を受ける(というか共感できる)ところがありました。

     この本は読む人によってどういった話なのか読み取り方が変わるというのを聞いた事がありますがそれと同様に、自分自身の変化によってこの本の感じ方が異なることを経験でき、それが面白かったですね。


     で、今回加えられた4章についてですが、やはり話の中核は3章までで完成されているんでしょうね。

     4章を、ジョナサンが去ってからの後日談のように受け取ることもできると思います。しかし個人的には、今回4章が追加されたことで、ストーリー全体としてのメイン部分が4章に来た気がします。(それが意図しなかったものだから3章までの公開としていたのだと思いますが。)

     4章を読めたことは良かったのですが、ストーリー全体としては、やはり3章までで止めていた方がいろんな読み方ができ、それが"深さ"のようなものになったのでは? というのが4章が加わったことに対する感想です。

  •  1974年にパート3までが発表され、今、満を持してパート4が発表となった意図は自分なりに理解できたと思う。ある時代に勝ち取った成果(例えば自由など)も、時が流れ世代が変わると、やはり色褪せ、変質してくるものなのだろう。形式的になり、角張ってくるということか。
     本作は紛れもなく寓話である。解釈の仕方は人それぞれであろうし、こういう作品の感想にこそ、その人の教養の差が顕れてくるのではないか。私はまだまだ、薄っぺらい読み方しかできないようだ。
     「人生は冥途までの暇つぶし」(島地勝彦氏の言葉)である。でもだからといって、自堕落になるべきではない。いかに有意義に「暇つぶし」をするか。本作によれば、「自分が一番やってみたいことを追求し、その完成の域に達すること」、それが「素敵なこと」であるという。これもひとつの答えであろう。

  • たしか10年近く前、第4章がなかった頃に読んだジョナサンの物語に私は嫌悪感に近いものを感じ、読むのが辛く、ジョナサンは頭のおかしくなったカモメだとしか思えなかった、はずなのだけど、今回は違った。今回、まず第3章までを読んでも、辛くない。あれ?こんな内容だったかな?と自分の記憶を疑った。何があんなに辛かったのだろう。あの頃こだわっていたことから少しは自由になれたんだろうか。(だったらいいんだけど)
    第4章は、あって然るべきだと思った。人生だとか悠久の時を見つめるような物語で、また10年経ってから読んだら違う感想になるのかもしれない。また読みたい。

  • 4章が追加された完全版。ジョナサンが神格化されると聞いていたのでどんな結末になってしまうのかと恐る恐る読んだけれど、読んでよかった。
    自由の本当の意味をずばり突き付けてくる4章でした。

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かもめのジョナサン完成版の作品紹介

伝説のかもめが帰ってきた! 幻の最終章、ついに世界公開。全世界で四千万部を売ったベストセラーへ新たに加えられた奇蹟の最終章――。「飛ぶ歓び」「生きる歓び」を追い求め、やがて精神世界の重要さに気づいたジョナサンだが、彼が消えた後、弟子のかもめたちはジョナサンの神格化を始める。教えの形骸化、自由の圧殺、やがて……。いま開かれる、自由と意志と救いの扉。五木寛之渾身の〈創訳〉が、あなたを変える。

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