ハリネズミの願い

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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105069919

感想・レビュー・書評

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  • 作者はオランダの国民的作家。
    本屋大賞の翻訳小説部門で1位ということで、読んでみました。

    森の中に住む一匹のハリネズミ。
    自分の針が大嫌いで、自信がなく、友達がいません。
    ある日、森のみんなを招待しようと思い付きますが‥
    「‥だれも来なくてもだいじょうぶです」という招待状が傑作。
    しかし、それを出すことも出来ない?
    もしも誰かが来たら。
    クマが? フクロウが? ゾウが‥?
    えんえんと取り越し苦労で悩み続けるハリネズミくん。
    そういう気持ちは、わからないでもないですよ。

    想像がおかしくて、けっこうありえそう。
    前もって考えておくのも、必ずしも悪いことじゃないでしょう。
    ただ、長すぎる‥
    カタツムリとカメが面白いんだけど~え、これもまだハリネズミが妄想しただけ、実際には起きていないの?と思うとシュゥ~‥と、しまいには気持ちがしぼんじゃう。
    カタツムリとカメは、他の話にも登場している人気キャラクターだそうです。

    元々は子供向けに、ひとつずつ話して聞かせたものらしく、子供にとっては、こんなふうに長く続くお話って面白いのかも。
    大人が一気に読むには‥と気づいて、ちょっと一息入れつつ読みました。

    リス君と会えて、良かったねえ‥
    でも、この下りが短すぎるわ! なので星一つ減らしました(笑)
    わざとそうした意図はわかりますけどね☆

  • 私は悩む人間だ。
    「考えないで」と言われる。
    考えすぎて不安で動けなくなる。
    同じことをぐるぐる考えて
    苦しんでいると自分でもわかっている。
    考えてはいけないのか。
    考えているだけになるからだめなのか。
    私がいけないのか。でも
    考えるのが私だとも感じるのだ。


    『ハリネズミのねがい』の主人公のハリネズミは
    家に誰かを招待したいと願う。
    けれども「もしも○○が訪ねてきたら、
    こうなるかもああなるかも何を話せばいいか。
    どうもてなしたらいいか」と、考えはじめて
    不安にかられて、招待状を出せない。

    私とよく似ている。

    ハリネズミは、
    自分の「ハリ」のことで悩み、嫌いになる。
    でも「ハリ」なしでは自分ではないのもよくわかっている。
    「ハリ」を含めて自分を受け入れてもらいたい。
    自分を好きになりたい。

    人と関わるには、
    傷ついたり傷つけたり、
    疲れたり疲れさせたりする。
    「ひとり」いいやと思いたくなるけれど、
    さみしい。

    いつか自然に「友人」が訪ねてきてくれたら、
    いつか自然に「友人」を訪ねていけたら、
    そんな思いにさせてくれる大人の童話。

    この本がよく売れているということは、
    世の中にはこんなに考えすぎて、
    悩んでしまう人が多いということか。
    そう考えると少し心が軽くなる。

    考えるのをやめようと思うけど、
    やっぱり考えてしまう。

  • 以前読んだ同じ作者の『きげんのいいリス』よりも読みやすかったんだけど、どうも世間の評価は逆みたい。
    自分に自信がなくて、臆病で、でも自意識が過剰で、気難しくて孤独なハリネズミが、誰かを家に招待しようと考える、というだけの話。

    誰かを家に招待したいけど、友だちがいないハリネズミは誰を読んでいいかわからないので、誰をもみんな招待しようと考える。
    でもそうしたら、○○が来たらどうする?と不安になる。
    ちゃんとおもてなしできる自信がない…というよりも、おもてなしの失敗を指摘されるのが怖い。
    自分のいないところでみんながその話をしていたら…と考えると、身動きが取れなくなる。

    身に覚えがありすぎて笑える。
    煩わしい人間関係はめんどくさくていやだ。
    でも一人だけで生きていくだけの覚悟もない。
    これは私か?

    繰り返されるハリネズミの妄想は、宮下草薙の漫才のようでもある。
    誰も何も言っていないのに、勝手にネガティブの渦に呑み込まれていく。

    ハリネズミの願いは、その先に希望の光を見せて終わる。
    この本を手にしたたくさんのハリネズミ達(私も含む)にも、その願いが叶いますように。

  • 以前に読んだ「きげんのいいリス」と同じ動物たちのシリーズ。
    ハリネズミが私に思えて、最後の最後までハリネズミに幸運が訪れますようにと祈った。最後、ハッピーエンドでよかった……。リスさんありがとう。
    あれもこれもとまだ起こっていなことを心配して諦めてしまうハリネズミ。それがずっと続くので、人によってはつまらないと思うかも。
    心配性の方はハリネズミにすごく共感して、読むのつらくなるかもしれない。でも、最後までぜひ読んで、そして「きげんのいいリス」へと進んでほしい。
    でも、「きげんのいいリス」から先に読んでも全然問題ありません。

  • 誰かを招待したいハリネズミだがあれやこれやと考え過ぎが災いしてなかなか手紙を出せない。
    頭の中で色んな動物がきたらと想像しては悪いことかしか浮かんでこない。
    そんな考えが堂々巡りしてしまう。

    自分に自信がなくて誰かに受け入れられるか不安になるのは解る。自分もそうなりがちだが、このハリネズミはこれでもかというくらいネガティブ。
    正直読んでてイライラするレベル

    ネガティブもほどほどに

  • 孤独とは。
    誰かに訪ねて来て欲しい。でもだれも訪ねて来なくて良いと思い込みたい。もどかしいけど、愛おしい、ハリネズミの物語。

  • ハリネズミのこの気持ち、よくわかるなぁ。
    一緒にいて心地いい誰かと巡り合って、楽しく過ごしたい。
    でも、自分じゃ力不足だし。ひどい器量だし。
    どうせ・・・。
    どうせ・・・。
    けっきょく「ひとりでいいや」。
    でも、「ひとりはさみしいな」。
    そんなふうに思っているのは、わたしだけじゃなかったんだね。
    子どもの頃はすぐに打ち解けられたのに、なんでどんどん臆病になっていくのだろう。
    人間関係にまったく疲れない方が、わたしは本当にうらやましい。

    この本を読んでいて、いくつか気づかされたことがある。それは、良いところも悪いところも含めて、ありのままの自分をまず受け入れること。そして、「Here and Now」がすべてだということ。起こってもいない未来のことをあれこれ考えて恐れるのはやめて、「今、ここで」に意識を注いでチャレンジしてみたいなぁ、と思った一冊だった。

  • 幸せってこういうことだよなあと思った。

    次々と登場する動物たちの個性と関係性が面白い。カメとカタツムリのキャラクターが際立っていた。私はアリとキリン、フクロウに知り合いたい。

    「ぼくは自分でもおいしいと思うケーキだけを焼くべきなのかもしれない」P39
    「かつてどこかでここほど居心地いいと感じたことがあったという記憶がないんだよ」P117
    「ぼくたちがいっしょにいたら、嵐も吹きとばして世界でいちばんいい天気になるんだ」P155
    「ずっと雪が降り続くことを願った。」P165

  • ハリネズミが自分のように思えて、読むのが辛いときがあり、読み終わるのに1年ほどかかってしまいました。笑
    挿絵がとっても素敵で、臆病なハリネズミや他の動物たちにどこか共感せざるを得ないと思います。
    こんな人いるよな、とふっと笑えるような楽しい本です。

  • 強がりを見抜いてくれた、リスの存在に救われた

    きっと普段から気にかけていないと、ふいに訪ねてきたりはしないと思う

    期待と、絶望に対する予防線
    誇りと、真逆の感情

    鼻を窓にぎゅっと押し付けるハリネズミが良い夢を見られるようになって良かった

    きっと他のどうぶつ達とも上手くいくよ☺️

著者プロフィール

1941年オランダ南部の島に生まれる。アムステルダムで医師として開業。『ハリネズミの願い』で本屋大賞翻訳部門受賞。ほかに『きげんのいいリス』『リスのたんじょうび』『おじいさんに聞いた話』など。

「2020年 『リスからアリへの手紙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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