あなたを選んでくれるもの (Shinchosha CREST BOOKS)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105901196

感想・レビュー・書評

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  • The Futureを観終わった後、どうしても晴れなかった曇り空のような気分に、ようやく収まりどころが見つかった。もがいてもがいてもがいて、ただ自分の信念だけを信じて次の日には自信を失くして、なんとか手がかりを手繰り寄せてまた信じて、ミランダがようやく手に入れた小さな光は、びっくりするほど暖かいものだった。

    喪失の先に何があるんだろうといつも思っていた。最愛の人を亡くしたその後の人生を生きていくことができるんだろうかと、いつも恐ろしかった。それでも、誰かを信じて愛したという記憶は、なくなることはないんだと、何よりもリアルなストーリーで教えてくれたミランダとそのインタビュイーに、心から感謝を込めて本を閉じた。

  • ただのインタビュー集なんかじゃ、全然なかった。日々のこと、悩むこと、生きること。あなたはわたしではないけれど、わたしでもある。

  • 脚本のヒントになれば、と思いついて始めたインタビュー。ペニー・セイバーに私物を出品した人達。今の時代にPCを使わず、昔ながらのやり方で紙の媒体に広告を出す。共通点はそれだけなのに、ひとりひとりなんと訳ありで興味深いことか。写真から伝わるその場の雰囲気。相手の声まで聞こえてきそう。翻訳は名エッセイ「ねにもつタイプ」の岸本佐知子さん。

  • なぜだか何度も読んでしまう本。好き。

  • インタビューに答えてくれる人達のキャラが強烈すぎて、本文が喰われてる感あった笑

  • 著者が見ず知らずの人にインタビューしたその記録。写真に映る人々や家もとても素敵で面白かった。
    突然のインタビューを受けてくれた人とだけあってどの人も個性的で魅力的。特に最後のジョーとの出会いが映画に繋がっていく流れは素敵で映画も観たくなった。

  • あるチャプターでこんな一文が出てくる。「彼の人生はあまりに強烈で、あまりに並はずれて重く、あらゆるフィクションを超越していた」。フィクションを超越する人生とは何だろう。生身の人間が持つリアリティの重みとは何だろう。

    著者が本書でやったようにリアルで人と話すというのは、多かれ少なかれその人の人生に踏み込むということだ。現実は創作でも思いつかないようなものを見せつけてくる。誰かが意味を持って作るフィクションと違い、リアリティはたとえ理解が及ばなくても事実としてそこにあり、こちらに働きかけてくる。現実は時に解釈を寄せ付けない。その消化の難しさがリアリティの重みだと思う。

    この本にはありきたりな人はただの一人も出てこない。印象的といえば全編がそうで、安易な解釈を拒む強烈なイメージの塊なのだが、私はこの部分が好きで、覚えておきたいと思った。「ジョーという役の肝はジョーだった。わたしが書いた台詞に意味なんてなかった。…たとえこの老優たちがアドリブをしても、それは彼らの人生を――つまり役者ひとすじに歩んできた人生を――映したものにしかならないだろう。彼らに魅力がなかったわけではない。ただ、彼らのなかに妻とパウパウ湖で出会った人は一人もいなかった」

  • 単なるインタビュー集とは言い難い。一般人(割と普通ではない)とのやり取りや筆者の正直過ぎる感想、筆者自身の脚本執筆の行き詰まり等、全部が相まって最後に光がさす。他人との関わりは面倒くさいが面白い、ということを再認識させられた。多様性などと綺麗事言ってないで、ミランダのように扉を叩けたらカッコいい。

  • ミランダ・ジュライが同時代人で本当に良かったと思う。この本は結果的に映画『ザ・フューチャー』と同時進行するドキュメンタリーとなっている。最後のジョーのくだりはどうにも目頭が熱くなるし、ジュライでなければここまで心を揺さぶられない。

  • 著者に興味が湧いた。自分に正直で率直な文章が好感もてる。村上春樹と対極な感じ…とふと思った

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著者プロフィール

ミランダ・ジュライ(Miranda July)
1974年、バーモント州バリー生まれのアーティスト、作家、女優、映画監督。本名はミランダ・ジェニファー・グロッシンガー。
バークレーで育ち、16歳から舞台の脚本、監督を務めている。カリフォルニア大学サンタクルーズ校に入学するが2年目に中退、ポートランドに引越してパフォーマンス・アートを始める。1996年に短編映画集製作のプロジェクトを始め、2005年に映画「君とボクの虹色の世界」を監督・主演。非常に高い評価を得る。
2005年から小説の執筆を始めている。代表作に『いちばんここに似合う人』。ほか、『あなたを選んでくれるもの』『最初の悪い男』など。

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