階段を下りる女 (Shinchosha CREST BOOKS)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105901394

感想・レビュー・書評

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  • 「階段を下りる女」という絵を偶然出張先のアートギャラリーで見て,一気に思い出が蘇る.絵の女イレーネを探して島に渡り過ごした日々.あったかもしれない未来を語りながら癒されていく主人公と静かに激しく死を見つめるイレーネ,そこに漂う切り取られた時間が美しかった.再生の物語.

  • 鴻巣友季子の2018年のベスト。

  • この物語の、どこを掬いとればいいのだろう? 愛について? 老いについて? 女と男、そのささやかな「分かり合えない」について?
    ただひとついえるのは、水がどこを掬っても水であるように、この物語には常に確固たる「時」が流れているということ。

    主人公と彼女が最後まですれ違うの、月みたいに狂おしく切なかった。

  • 『週末』に続いて読んだからと思うけど,またテロかと思ったり。でもそれだけ重い事実なんだろうなと思う。
    登場人物にあまり感情移入できなかった。『週末』の方が好きかな。

  • 少しづつ読み進めた。悲しく、美しい愛の物語。大好きな人とは小さな子供の頃の話をするし、一緒に物語を作っていく。そうだよなぁと思った。

  • 弁護士として地位を確立した主人公は、出張先のシドニーで若いころであった一枚の絵を見つける。まだ駆け出しの弁護士だったころの主人公が、その「階段を下りる女」の絵の作家と依頼主の間に立ち、モデルであるイレーネと絵をめぐって争っている案件に関わることになった事があったのだ。主人公は、イレーネと絵と共に駆け落ちをするはずだった。しかし、イレーネは絵と共に姿を消してしまったのだ。
    その絵を画廊で見つけた主人公は、放置された農場に一人で暮らすイレーネと再会する。イレーネとはいったい何者なのか。主人公は、仕事をすべてキャンセルしてイレーネの住む古い屋敷へ向かう。

    シュリンクは、本当にドキドキさせるような小説を書く人だと思う。読み終わると、ドンと心を揺さぶられる。主人公と共に涙してしまう。

  • 第1章、第2章と、語り手である弁護士は、イレーネにとって全く取るに足らない、まさに使用人程度の感情しかないのかもしれないと思ったけど、第3章では急に親密になったように感じられて、だけど最後はやはり突き放されたのだと思った。

    彼はずっと、過去のことを思い返して幸せなもしもを夢想していたけど、イレーネは一緒に夢見てはいなかったんじゃないのかな。

    登場人物はなかなかに人の醜さを露わにしていたと思うのに、お話は静かで美しい。彼の語るイレーネも最初から最後までずっと美しかった。

  • [小さなトゲは大きなトゲよりも取り除くのが難しい…/作中文引用]

    そう考えると人生はifの連続などではないのだろう。
    全て自身が選択したこと。過去の自分を変えることはできないが未来は変えることができる…

    階段を下りる彼女が進む先に在りえた彼の思いと彼女の想いが波間に浮かぶ光のようで、哀しく美しかった。

  • 「朗読者」の作者。失われた思い出と再会した時にどう行動するか?人生の重い課題を突きつける。

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著者プロフィール

ベルンハルト・シュリンク(ドイツ:ベルリン・フンボルト大学教授)

「2019年 『現代ドイツ基本権〔第2版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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