学生と読む『三四郎』 (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106035616

感想・レビュー・書評

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  • 成城大学で著者が担当している通年授業「近代国文学演習Ⅰ」における、著者の大学教育の実践を語っている本です。本書全体が、「鬼教授」の大学内での戦いと、その教え子たちの成長物語になっていることに、くすりとさせられました。

    本書で紹介されている学生のレポートのレヴェルの高さに、まずは驚かされました。もちろん著者のゼミに入ろうとする学生たちなのですから、読書量は豊富だとは思いますが、著者自身も本書で述べているように、高校までの国語教育における「人格形成」にどっぷり浸かってきた学生たちが、1年間の授業の間にテクスト論やフェミニズム批評のスタイルを身につけていくことには、やはり目を見張らされます。

    わがままな大学の講師たちとの格闘や、学生たちを相手にオシャレやギャグにも気を配らなければいけない著者自身の姿も描かれていますが、こちらはあまり関心が持てませんでした。ユーモア・エッセイのようなスタイルで綴られていたら、もう少しおもしろく読めたかもしれません。

  • 2011年3月

  • 一年間の授業の記録のようなもので面白い。
    学生の論文を読んで自分のと比べてみたり。

  • 感情移入する読み方しかできない学生も、苦労する。感情移入できる小説しか受け入れられないからである。そして、そういう学生はたいてい感情移入できる幅がものすごく狭いのだ。
    社会人学生が学び直すことは、いわばそれまでの自分の生き方の否定につながるとも言える。逆に言えば、自己否定にならないような学び方では十分に学んだことにはならないのである。その過酷さが実を強張らせてしまい、彼らを柔軟性から遠ざけるのではないだろうか。

  • 石原教授の授業「近代国文学演習1」の一年間。これをもっと早く読んでいれば…。

    実際のレポートがのっているのがおもしろい。学生の成長がはっきり見えてくる。同じ学部二年の私は、このレベルのレポートは書けません。


    勉強へのやる気がメラメラと燃え上がる本です。国文学を勉強する人にはおすすめ。


  • ゼミとはこういうものでないといかんなあ,と感じ入る本.実際にやれっていわれたら嫌だが.
    「感情移入する読み方しかできない学生も,苦労する.・・・そういう学生はたいてい感情移入できる幅がものすごく狭いのだ」.なぜかここに共感する.

  • これはおもしろい。出てくる学生の論文に圧倒されます。絶対にこの筆者のゼミには入れないなって感想がまず出てきます。

著者プロフィール

1955年生。早稲田大学教授。著書に『漱石入門』(河出文庫)、『『こころ』で読みなおす漱石文学』(朝日文庫)、『夏目漱石『こころ』をどう読むか』(責任編集、河出書房新社)など。

「2016年 『漱石における〈文学の力〉とは』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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