戦後史の解放I 歴史認識とは何か: 日露戦争からアジア太平洋戦争まで (新潮選書)
- 新潮社 (2015年7月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106037740
感想・レビュー・書評
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比較的史実に基づいて書いているように見えるが、数字的根拠は明確ではなく、基本、戦中の日本悪のナラティブである。
加えて尾張守姿勢で少し残念な書籍となっている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「世界史の中の日本史」というこの本の主張は大滝詠一の分母分子論・ポップス普動説を思い起こさせるなぁ。
<blockquote>本書のタイトルが「歴史認識とは何か」となっているのは、本書の主たる目的が既にいくつもある近現代の通史に新しい一冊を加えることではなく、あくまでも日本人が抱える歴史認識の泉源を探ることだからである。(P.281 あとがき)
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太平洋戦争前、リベラルな天皇と富国強兵の軍隊、特に維新を守りたい海軍の猛々しさ。
本書では日本の戦争の問題点を、平和に向かうグローバルな潮流を感じ取れなかったという点に見ている。今でいうところのガラパゴス。
象徴天皇になる前は天皇はとってもリベラルだった。天皇の権力が剥奪された理由は、ファッショの危険性があったからとか独裁がダメだからとかじゃなくて、天皇を冠にすることで正当性を維持しながら色々やらかすのが日本だから。国のトップとしての戦争責任はあるかもしれないけれど、戦犯からは除外されていた。
思想が偏っていたって政治を動かせるような影響力を持つ人はほとんどいないので、正しい歴史認識が必要な理由はあまりない。実際は影響力の源泉はその偏りだったりするし。むしろまともな認識を持たない方が実行力は高まる。
国と国ではなく、私とあなたのレベルで考えた場合、思想が偏っていたってそれを口にできる人はほとんどいない。その程度にはマジョリティは臆病である。 -
多くの優れた研究者により蓄積されてきた個々の研究成果をもとに、世界史と日本史を統合、大きな流れの中で描く。非専門家によるイデオロギー的な歴史がベストセラーになり、国際的には通用しない論理ではなく。
確かに、わかりやすいシンプルな悪者、もしくは正義、では不十分であることはわかるけれど、歴史的にきちんとしようとすると、あっちこっちが様々、深く知らず考えずに迷走って感じ。