- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106101076
作品紹介・あらすじ
東は南鳥島から西は与那国島、北は択捉島から南は沖ノ鳥島まで。主権的権利を持つ排他的経済水域(EEZ)は約四四七万平方キロ、世界で六番目の広さである。しかし残念ながら日本が広い国であることを知っている日本人は少ない-。中国潜水艦の侵犯、北朝鮮不審船、北方領土など連日のように報道される領土問題、そこでは何が起きているのか。歴史を紐解き、現地からの迫真レポートも交えながら「日本の国境」を考える。
感想・レビュー・書評
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日本の国境について知りたくて読書。
日本は海に囲まれているため国境の対する意識が希薄だと思う。敗戦により戦後は国境について教育することがタブー視されてきたようにも感じている。
竹島、北方領土、尖閣諸島、そして、沖ノ鳥島、石垣島、対馬。特に対馬の現状は心配だ。本書は、日本の立場から偏らず分かりやすく書かれていると思う。
日本人は、国境や領土についてもう少し学ぶ必要があるし、日本の生命や財産を脅かす行為を続ける国家に対して、日本という国家として友好を唱えて、必要以上に接近する必要はないと思う。国家と国家は、互いの国益を守るために必死に異なる意見をぶつけるような厳しい関係であることは、ある意味で真の対等な関係、外交といえるのではないか。日本が戦後長いこと続けてきた贖罪外交は、相手を見下した上から下への対等ではない外交と言える。
中世の倭寇発生過程や日本最短南端の沖ノ鳥島についてなど勉強させてもらった。それにしても、実効支配は重い。歴史は勝者が作り、いくらでも塗り替えられるのだと改めて思う。
日本とともに敗戦したはずの朝鮮(韓国)が妄想的に勝ったことになり不法占拠し続ける竹島は、なんとしてもと思うが。韓国内で民族の聖地的な存在である白頭山がない限り、国内をまとめるため、大韓民国の国是を維持するために次は対馬と主張してくるのは目に見えて明らか。
著者があとがきで書いている通り、日々厳しい環境の中、国境警備にあたっている海上保安官たちに敬意を表したい。
読書時間:約1時間5分
本書は日本領事館大連出張所でお借りしています。有り難うございます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これも最近比較的気になる分野の書物。近隣諸国と日本の歴史認識の違いは歴然としたものがあるけど、同じ日本の中でも、文献によって多少なりの違いが出てくるもんだなぁ、と。参考文献にまで遡って、どれが正しいかっていうのを厳密に検討するほどの時間的余裕はないけど、なんとなくボヤーッと国境問題の輪郭が見えてきたような気はする。まあ、まだまだ勉強です。
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とりあえず中国をどうにかしないといけないのでは!?
つか海保と海自を統合して海保の実力を上げなければならないと -
海洋問題に詳しい研究者である著者による一冊。
タイトルの通り、日本の国境問題が解説される。日本は島国なので、本書で扱われる国境は全て海洋上のものとなる。
取り上げられる国境問題は、尖閣諸島(vs中国/台湾)、北方四島(vsロシア)、竹島(vs韓国)、沖ノ鳥島(水没問題)。加え、石垣島、対馬、大東島、根室、等、国境付近に暮らす人々の歴史や他国との関係が解説される。
それぞれの話題は要点が丁寧に解説されており、海洋・国境のいずれに知見のない私でもスムーズに読み進めることができた。国境主張の争点だけでなく、その周辺での漁業問題や海上警備、歴史等、適度に横道の話題に触れながら書かれており、お勉強的な堅苦しさが薄い点も嬉しい。
なお、当然といえば当然ではあるが、領土・領海の正当性は日本の視点で語られる。他国の視点で書かれた本があれば、本書等と根拠を比較しながら読んだら面白いだろうと思った。 -
尖閣問題が国家レベルに発展継続するなか、一度頭を整理しようと読んだ。ナショナリズムに走らず冷静に記述され共感できる。竹島もそうだが、視点と時間軸を相手国側に移した書籍を読んでみたい。
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恥ずかしながら日本の領土問題についてはテレビで聞きかじっただけで、ほとんど知識がないため産休中に読書開始。
日本の「領土」の定義が、戦後のサンフランシスコ平和条約で「領有権を放棄」していない部分であるとのこと。
日本最南端の島である沖ノ鳥島が二つの岩からなる、しかも、満潮時に片方は6センチしか頭を見せない小さなものであるとは知らなかった・・・。
韓国、中国、台湾、ロシアと争う領土問題。日本人の視点では、各国に対して"なんて無謀な"と感じるけど、他国から見れば全く同じ事を日本に対して思っている所がこの問題の難しさなのか。
竹島については、戦後のGHQにおける訓令では日本の領土外とされていたようだが、1951年のサンフランシスコ平和条約で日本の領土と定義されたものの、韓国がそれを受け入れず、今の実効支配が続いている。竹島さえなければ、もう少し韓国と仲良しになれるのに、勿体ないなあ。
総じて、日本は海洋国家であるという曖昧な感覚から、具体的に、日本外国の間には必ず海があり、この海に関する歴史が多大にあるにも関わらずそれを知らない人が私を含め沢山いることを認識し、これからは日本を考えるときに海を外すわけにはいかないと実感した。 -
日本の国境はすべて海洋上にある。当たり前のようだが、世界的にみると決して多数派ではないだろう。しかし、豊かな海に囲まれているが故に、国境線を気することもほとんどない。武力を放棄した現代日本においては、国境警備されるべき前線で何が行われているかはほとんど知らない。北方領土・竹島・尖閣諸島のように、昨今のニュースになる事例もあるが、それらもあくまでも外交の材料としてしか見えず、実体感に乏しいのが本音だ。
著者は日本財団(日本船舶振興会)の職員で、海上保安庁などの活動の紹介を通じて、「日本の国境」という視点から、わが国の海洋政策を提言し、海洋資源の重要性とそほ保安について述べている。島国日本の国民感覚として、海浜~近海は非常に身近な存在だが、実は日本の海はかなり広い。南鳥島(日本の東端)や沖ノ鳥島(同南端)などを含めた、排他的経済水域の面積は世界第6位ということなので、こうした海洋資源で未来を切り拓かない手はないだろう。 -
領土問題が紛争に発展しやすいことを踏まえたうえで
日本はどのように対応すべきか、という論考である。
敗戦国であるということが、どれだけ厳しいことか、
しかし終戦と引き換えにしたのであれば、
どこかで受け入れるべきラインもあるようである。
日本以外の事例も引きながら
様々な方法が提示されているが、
二国間しか見ない対話の在り方では
打開できないであろうことが示唆されている。
仮に二国間対話であったとしても、それはさらに広い国際情勢との
兼ね合いから解決を展望するものでなければ進展は望めないだろう。
特に、アメリカの日本に対する思惑についての解説は
非常に興味深いものがある。
これも第三国の企図を見計らわなければ対応できないトピックだ。
領土があれば即ち国益というわけでもない、
ということを念頭において、こういった問題には対処してもらいたいものだ。 -
政治学の講義内容に関連する新書を探していたらこの本にたどり着いた。領土問題についての内容はレポート作成に非常に役立った。
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国境…そこで何が起きているのか。
1969-1971年まで奄美大島に住んでいたことがあります。当時は沖縄返還前であり、国境に近い島という認識でした。海の向こうはアメリカ(沖縄)という実感があって、行ってみたいけど怖い島という感覚がありました。今は平和になって、国境と言えどもボーダレスな印象ですが、この本を読むと国境は今でも怖いところのようです。