原発・正力・CIA: 機密文書で読む昭和裏面史 (新潮新書 249)
- 新潮社 (2008年2月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106102493
感想・レビュー・書評
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早稲田の社会科学部の有馬先生が米公文書を基に記した歴史。正力と原子力が結びついていることなど、詳しく知ることが出来る。一方で調査に基づくためか、推測や奇抜な仮説がなく、ストーリー性を求める人には不向きか。
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日本に原発が導入された背景を理解できたのは意義あり。
もう〇〇新聞は、あまり読みたくないな~。 -
2013/07/21
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現在のいろいろな物事がどういう経緯で成り立っているかの一つが分かる。馬鹿なことを言えば、日本という国は【核】とはあまりにも相性が悪すぎる。
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総理大臣になりたいという自らの権力欲のために、原子力活用を餌にアメリカ、CIAを利用しようとした穢れたマスメディアの頭目、正力松太郎の所業を暴く裏昭和史。ナベツネという権力欲に駆られた欲ボケに繋がる歴史。
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問題の所在を明らかにするために、
ことの始原に立ち返っておくことは無益ではないだろう。
まさに歴史を知る有用性は、そこにあるように思う。
日本がなぜ、50基を超える原子炉を抱えるに至ったか…
ずっと、気になる存在があった…正力松太郎だ。
本書は、正力松太郎が、なぜ、どのように、
原発推進に躍起になっていったかを、
国内外情勢を絡め、つまびらかにする。
日本が原発に手を出すところから、メディア、政財界が
奇妙に連鎖していたことが、本書によってよくわかった。
さらに、アメリカ、イギリス…等、諸国が、そうした日本の
ありようを牽制しながらも加担した経緯も明らかにされる。
そのプロセスでなおざりにされたのは、科学的な視点、
安全性の検証であり、技術的な確かさを求める姿勢だ。
新聞、テレビのメディアは、原子力の平和利用の
プロパガンダに邁進し、その旗を振ったのが正力だった。
本書では、日本の原発導入時の問題点…正力の過ち…を
次のように整理している。
・原発稼働を急ぐあまり、耐震性等に問題のあるイギリス製
動力炉に飛びついたこと。
・世界各国で原子力発電に関しどのような問題が起こっているのか、
それに対しどのような取り組みがなされているかに
あまり関心を払わなかったこと。
・正力が旗頭となっている電力業界の利益を念頭に置き、
日本の原子力行政をこの枠組みのなかで行おうとしたこと。
メディア、政界、産業界が連なりながら推進された
日本の枠組みから、立ち返り、組み直してゆくことは
たいへんな負荷がかかる…しかし、福島の現状をみるに
そこから、いささかも目をそらすことはできない…と知った。 -
売却済み
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そもそも「正力松太郎」という人をよく知らず、ということは戦後史を知らず、また原発導入の経緯や読売新聞の推移、テレビの歴史などを知らないということで、それらを横断的に学ぶことができた。
ディズニーがアニメーション「わが友原子力」の成功により原子力プロパガンダへ深く関わり、連続テレビ番組「ディズニーランド」では登場する原子力推薦艦の名前に実在するアメリカの原子力潜水艦の名前を取り、世間に浸透させていったが、その番組を流したのは日本テレビで、テーマパーク「東京ディズニーランド」を日本につくる際にディズニー側と京成電鉄との間を取り持ったのが正力だったとのこと。 -
昭和の怪物、正力松太郎である。
つい最近までこの人のこと知りませんでした。すいません。
この人は読売新聞のドンで野望を持ち、政界進出し総理大臣の座を目指して敗れた人で、その野望実現のためにCIAの協力者となって、国内に親米ムードを生むように策謀したり、日本に原発を誘致(?)しようとした。どうして読売のドンってみんなそんな感じなんでしょうね。
しかし今時はCIAのスパイなんて凄い空虚な響きですが、戦後〜冷戦期ってのは、それが凄い現実味を帯びていたのだなと。筆者は最後のほうにそれがわからんのなら平和ボケだとチクリと書いていますが、はいはいその通りです。ごめんなさい。
日本のエネルギー政策があーだこーだ、国民の生活のためにあーだこーだという原発論が全くもって虚しく聴こえるような、なんともきな臭い日本原発の出自を読むにつけ、ほんと政治って何なのだろうって思ってしまうわ。