ん: 日本語最後の謎に挑む (新潮新書 349)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103490

感想・レビュー・書評

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  • 「ん」という文字はいったいいつから、どういう目的で使われるようになったのか?
    普通に昔から使っていただろうって?
    しかし、例えば「源氏物語」の原文には「ん」が使われていない、いやこの当時は「ん」という文字がなかったから使えなかった。
    そんな事ないだろうって?
    「鳶」という鳥がいますが、なんと読みます?「とび」?
    では、「鳶がクルリと輪をかいた」と言うときなんと呼びます?「とんび」ではないですか?
    なぜ「とび」と「とんび」があるのか?不思議じゃないですか?

    著者は日本の仮名のできる過程を古くは奈良時代にまで遡り、「上代特殊仮名遣い」の起源とその目的から語り始めます。
    文字が中国から伝来した仏教の今日を読むため、しかも中国語ではなく、その原点のサンスクリット語と同じ発音で読むために、その音の微妙な違いを表すために漢字が活用され、イやエといった現代では一文字、一音で表される文字が嘗ては微妙に違うバリエーションがあり、それを漢字を使い分ける事で表現していたというところから解説していく。

    途中、そういう仏教の歴史的な話になってしまうところがあるが、それも含めてとても興味深い。

  • なぜか家に2冊あったw

    日本語の「ん」って数学の「0」と同じだよね

    いやー改めて考えると。

  • マニアックすぎた。
    古典をひもときながら、日本語の発音として、また文字としての「ん」について解き明かしているのだが…面白そうだと思ってこの本を手にした割には、自分がそこまで「ん」に興味がないことに途中で気づき、途端にどうでもよくなった。

  • タイトルに惹かれ手に取る。改めて考えてみると「ん」は不思議な存在。五十音表記だと仲間はずれのように表から飛び出しているし。

    東京メトロ「日本橋駅」のローマ字表記が”Nihombahi”とnがmとなっているのは知らなかった。(欧米の慣用表記では「m」「b」「p」の前は「n」ではなく「m」を使うらしい。)

    「ん」誕生の歴史は、なかなかに興味深い項目もありましたが、こちらの知識不足で完全には追えず。無念…。

  • フランス人から見た(が聞いた)日本語の「ん」に始まり、『古事記』などの上代から日本語の歴史を追う。
    万葉仮名、空海、最澄、サンスクリット語、上田秋成と本居宣長、「阿吽」の文字、幸田露伴。
    話題は多岐にわたり、日本語と日本文化への知的好奇心が刺激される。
    「そもそも日本語とは何なのか?」その問いかけが日本語への理解を深める。

  • 「ん」について、歴史文学を通じて分析した本。平安後期までは、「ん」が書籍上は存在しなかったこと、その後も江戸中期までは、濁音と同じく「ん」も好まれなかったことは初めて知った。面白かった。

  • 「ん」についてひたすら考察している本です。平安時代に片仮名や平仮名が生じますが、まだその頃は「ん」という文字はありませんでした。「ん」は時代がだいぶ降ってから現れたそうです。語の形が変化する過程で「ん」が入り込むのですが先人は「ん」という音を表現する文字を持っていなかったため「イ」や「レ」の文字で表現していました。興味深い。

  • 「ん」という文字が生まれ、広く使われるようになった経緯を紹介。
    関連して空海がもたらした阿吽の思想、濁音を嫌う日本文化、研究者譚などが織り込まれる。
    わかりやすく書いてあり、まったく素人の私でも親しみをもって読むことができた。

    面白くなってきたのは7章からだが、「ん」ついて色んな方面から話題を提供する代わりに、その奥深さを伝えきるにはページが足りていないように思う。

    特に「ん が意味する薄明の世界」は突然降ってわいたような印象。
    はいでもいいえでもない曖昧さ、日本語の清濁を繋ぐ役割、と興味深い内容だけに、さらに踏み込んだものが読みたかった。

    謎に挑むというよりは歴史概観と話題提供の趣が強い。

    読書メモ:
    http://haiiro-canvas.blogspot.jp/2015/01/blog-post_13.html

  • ん、は確かに特殊だけど、歴史的にも言語学上特殊なようで、なかなか面白かった。音としては存在したけど、表す文字がない、または書かないなんて事を苦労しながらしてたなんて、興味深いですね。やや言語学的な説明もあるので難しさはありますが、知識として読んでおいてもいい本かと。

  • Гん」の話。親しみやすい導入で読みやすい内容でした。内容の全てを理解は出来ないけど。

著者プロフィール

1963年、長崎県佐世保市生まれ。大東文化大学文学部中国文学科教授。中国山東大学客員教授。博士(中国学)。大東文化大学文学部卒業後、同大学院、フランス国立高等研究院人文科学研究所大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。専門は、文献学、書誌学、日本語史など。著書に『心とカラダを整える おとなのための1分音読』(自由国民社)『文豪の凄い語彙力』(さくら舎)ほか多数。

「2020年 『語感力事典 日常会話からネーミングまで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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