- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106103711
作品紹介・あらすじ
本の良し悪しは、読まなくても分かる。なぜなら「いい本」には、オビから奥付まで随所に工夫が凝らされているから-。「1頁が存在しないのはなぜか」「目次と索引こそ技量が問われる」「余白の意味」「明朝体の美しさ」「本文紙は白ではない」など、数々の名著を手がけた編集歴四十余年のベテランが、本づくりについて縦横に語る。"電子書籍元年"と言われる今こそ伝えたい、昔ながらの「紙の本」の知られざる魅力。
感想・レビュー・書評
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本の良し悪しは読まなくても分かると、著者は最初に言っている。「いい本」には、帯から奥付けまで随所に工夫が凝らされているからだと。
では、どのような工夫があるのかを解説したのがこの本。
製本に関わるひとの、まさに職人仕事の紹介本だ。
著者は40年にわたり新潮社に勤務した経験を持つ方。
専門用語が出てくるたびに、2ページ目に描かれた「書籍各部の名称」イラストに戻る。少し読む。また戻って確認、の繰り返しだった。
ところで↑↑に「2ページ目」と書いたが、ノンブル(該当ページを示す数字)は入っていない。
これもこの本で覚えたことだが、表紙をめくって現れる中扉から大体1ページと数えるということだ。まだここでも、ノンブルはない。
本文に入ったと同時に奇数ページから登場するのが普通らしい。
ちょっと手元の本で確認してみてね。不思議だけど、1ページというのは存在しない。
そして新潮新書はページ余白の白い部分を少しでも多く取るため、1行は39文字。
一行40字の配分なら10行で原稿用紙1枚分。編集の現場ではその方が便利なのになぜか。
通勤電車の中で新書を読むサラリーマンは、吊革につかまって読むことになる。
つまり、新書の「地」の部分を支える親指が、本文の邪魔をしないようにという配慮かららしい。こんな処まで計算してあるのだ。
いきなり細部の話から入ったが、製本の最初は「版型」から。
AとかBとかいうアレのこと。
意外だったのは、文学作品以外は編集者がタイトルをひねり出しているらしい。
これがすごく大変で、毎回苦心惨憺なんだとか。
目次と索引こそ技量が問われるとか、明朝体の美しさや本文紙は真っ白ではないとか、奥付けはなぜ左ページにあるかとか、「へぇぇぇぇ!」と感心することがこれでもかと登場する。
そんな「編集部」の皆さんも、「校正部」の部屋に入る時は緊張して声のトーンが落ちるとか。校正ってやはり大変なんだな。ここ、19ページも割いてある。
本は内容さえ面白ければいいじゃないかと言う声も聞こえてきそうだが、内容を楽しむためには「読みやすさ」を追求した製本であることが必要。
そう言えば、内容が把握しにくい目次だったり、開きにくい作りだったり、文字が入れ込みすぎだったりとそんな本にもたくさん出会ってきた。
製本は紙の本限定の作業だが、見えない部分に思いをはせることが学べたかな。
同じ編集の仕事を扱った本でも「青い鳥文庫ができるまで」とはだいぶ趣を異にする。
こちらはあくまでも、本はモノであるという姿勢を貫く。
しかし、モノを扱うひとのことを、とことん考え尽した製本の作業なのだ。
愛書家さんのための一冊。
◎「奥付けの好きなワタクシの追記」 為政者によって奥付けが法定されるのは江戸時代の18世紀に遡る。明治政府もそれを引き継いで法的に義務付けたのだそうだ。
著者が刊行を定めた日、つまり「検印」は偽版防止のためだった。
「検印」が消えたのは1960年代に入る頃。
今度古書店に入ったら奥付けを見てね。「検印」を見つけたらレアものかも。 -
電子書籍という、本の内容だけのデータをダウンロードして読書を楽しむような時代になりつつあります。しかし、そういう合理化や効率化でそぎ落とされてしまう部分、それは装丁で選ぶ本自体のサイズや紙質やデザインだったり、フォントのサイズや種類、配置などもそうですが、本という物体まるごとをつくりだすこと、つまり、受け手のことを考えて表現し楽しませるための工夫について、本書は「編集者の仕事」として紹介・説明しています。そうそう、そうなんですねえ。文庫や新書ばかりに触れていると、それほど本の体裁というものを気にしなくなりますし、それこそ電子書籍のほうが検索とか楽でいいじゃん、なんて思うようになるかもしれないですが、本そのものの物体としての魅力について、その豊かさを軽視するのはちょっと違うかな、と思いました。単行本なんかは、表紙から材質や紙質、行数と文字数など細かいところまでいろいろ考えて決定して、内容だけじゃなく、トータルでの本としてひとつの作品になります。
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本作りの話を期待したが、主題は製本。しかし結局その部分も軽い紹介程度に留まっていて新規性がない。もう一歩仕事の本質に迫ってほしかった。
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2010年6月20日初版。
本の本。編集者がどのような視点を持って本を作っているかの解説本である。普段本を読んでいる人でもあまり意識しない細部へのこだわりや専門用語を知ることができる。
編集者の方は「常識」なのだろうが、本好きや著者の方は案外おもしろく読めるかも知れない。
電子書籍の時代だからこそ、本が持つ良さについて振り返ってみるのも重要だと思う。 -
編集者なら読んでおいて損はない。単に自慢話ではなく、印刷や紙、レイアウトなど、汎用的な話が多く、役立つ。
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本の各部名称や本作りの流れなどを知らない人でも分かりやすく解説してくれた本なのだが、いかんせん文章の端々から「お前らはこんなこと知らないし、気にしたことないだろ? おれは知ってるぜ?」という上から目線感がにじみ出てくるので、人によってはそこら辺に不快感を抱くかもしれない。また、実際の本作りの流れは著者の経験したものであり、若干古臭いところもあるし、出版社ごとに言葉の使い分けがまったくことなるので、あまり内容をうのみにするのもいかがなものかとは思った。
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本の物理的な作りについて本でした。
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編集者の仕事、というよりは、本についてのあれこれ、というかんじ。モノとしての本が好きな著者が、本について好きに語る。仕事の片手間で読んだから、時間かかった。こういうゆとりのある(?)本が出てると、それだけでいいなぁと思う。
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読みやすい本でした。
電子書籍で読んだので文字などをについては少しとまどいましたが、わかりやすく解説されています。
ですが、何故か記憶にあまり残っていない…
集中力と覚えなきゃという危機感がないからでしょうか。
読みながら、ここ最近読んだ本は、読んだなという気にはさせられましたが、何も自分の中に残らなかったり、自分で何も考えなかったりすることが多く、最後のページまで目を通したなというすこしの達成感が得られるだけだったなと思いました。
もう少し真剣に読まなければと考えさせられました。 -
編集の仕事の面白さ、不思議さがよくわかる一冊。本に対する見方が変わります。
本を読むとき、その内容ばかりを気にしているような気がするけれど、実はそうではない。内容の良し悪しはもちろん重要だけど、内容を気持ち良く読者に伝えるためにはいろんなことが工夫されている。
本のサイズ、紙の種類、フォント、文字の大きさ…。とにかくいろんなことが、工夫されている。本を読むとき物理的にいちばんよく見える部分になされている工夫なのに、いちばん見逃されている工夫。
でもきっとそれは、見逃されてしまうくらいのものがいちばん読者にとって自然で心地よいものだからなのだろう。逆にいろいろ気になってしまうようでは、編集者が正しく仕事ができていないということになるのだろう。
何より、著者の「本」に対する愛や思い入れが感じられる。手元の本を、編集者の視点で読み返したくなる、本をもっと大切にしたくなる、そんな本でした。
本日開いた本はなんと偶数始まりでした!
8頁スタート
子供みたいな報告をしてすみません^^;
...
本日開いた本はなんと偶数始まりでした!
8頁スタート
子供みたいな報告をしてすみません^^;
何か法則があるのか…しばらく気にしてみたいです(笑)
まぁ!偶数スタートなんて、そういうこともあるのですね!
素人の頭で...
まぁ!偶数スタートなんて、そういうこともあるのですね!
素人の頭では分かりません。しかも、どこに聞いたら良いのかも分からない。。
困惑のただなかにおりまする。
混乱させてしまいました^^;
しばらく手に取る本を見ていきます!
こちらへいただきましたコメントに新たにコメントさせて...
混乱させてしまいました^^;
しばらく手に取る本を見ていきます!
こちらへいただきましたコメントに新たにコメントさせていただきましたので、チラッと見ていただけますと幸いです♡