茶: 利休と今をつなぐ (新潮新書 392)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103926

感想・レビュー・書評

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  • 非常に基本的なことをわかりやすく伝えてくれる。結びの、伝統ってのは明治にできた言葉で、そもそもは仏教用語だったんだという話は家元とという立場では言い難い言葉なのかもしれない。伝統にがんじがらめになりそうな立場にありつつもクリアな認識を持っていて、偉ぶる所なく茶の魅力について伝えるところがとても素晴しい。大変勉強になりました。

  • 茶の湯は絵画や彫刻ではくくれないインスタレーションであり、パフォーミングアート

    墨蹟は本来、印可状や遺偈であって、人に見せるものではなく、墨蹟を通して師と対話し、内省するためのものだった

    そういう性格の掛物を茶室にかけたということは、非常にプライベートな性質を帯びている。自分の書斎、ホビールーム、寝室に客を招き入れ、胸襟を開いてつきあうとわけです
    →袈の場をそのまま晴れ化した
    墨蹟をかける場はプライベートな領域だった

    場を主宰する力。私の身体のテンションの変化に合わせなさい、体温の変化、呼吸の変化、細胞の動きのすべてにという指南力

    共同体の再構築の基礎となるような、人間の身体を作り出さなければ。そこに茶の湯が出てきた。

    呼吸が同期し、脈拍が同期し、身体感覚が同期するというのがどんなに気分のいいことか、人間が共同体を作ったときの原点にもう一度戻る

    非常に指南力の強いリーダーが自分の身体感覚をザーッと伝えていって、共同体の全員があたかも一個の身体であるかのような幻想を共有した。

    自分を大切に扱うというところに、自分自身の身体感覚がある

    自分が楽しむことによって客にも楽しんでもらう、同期とか同調ってそういうこと

    自分の愉悦とか、自分の身体の緊張感とか、開放感とか、達成感とかが感染する

  • 「利休にたずねよ」からこの本に辿りつきました。
    「茶」の歴史はおもしろかった。
    教養のひとつとして読んでおきたい本。

  • 2013年8月11日読了。

  • 先日、TV番組『情熱大陸』で拝見した千宗屋さんの著書。
    「お茶」って一般的には堅苦しいモノという雰囲気を、番組では身近なものとして、またグローバルな視点で日本の文化を知って頂こうという彼のお茶への向き合い方に興味を持った。
    この本では、茶道の歴史を始め、三千家やソレ以外のこれまでに受け継がれてきた所作・作法・流派について述べられている。
    お茶を実際に習っていれば、もう少し共感できる部分が多いのかも知れないが、全くの未経験者では想像も出来ない部分が多くあった。
    茶道に決められた中にある一連の動作やルールは、亭主と客のお互いが生みなす「もてなしの心」が生みなすものであり、例えば茶碗を回す動作なども、そうした観点からという説明は興味深かった。
    また、内田樹氏との対談に於いて、同座する者達の一体感や連帯感、人間らしさを感じながら茶道を語り合う部分も面白かった。
    お茶とはコミュニケーションである!

  • お茶の成り立ちからお点前のことまで、お茶って何なのかがわかる。
    かなり飛ばし読みしてしまった。歴史でつまずきました。また機会がきたら読みなおそう。

  • 茶道というと、どうしてもハードルが高いように思うが、家元にならんとする人が、このような入門書を書いてくれるととても助かる。
    意外と茶道のお手前に接する機会はあるので、特に。

  • 茶のメンタリティを学ぶには最適な本。
    茶の湯の歴史、茶道具の基本、動作といった基礎の説明を分かり易く、
    さらに茶を通して目指される「直心の交わり」というものはどういうものか、
    丁寧に美しい日本語を介して表されていて、
    茶や茶人である著者の奥ゆかしさを感じさせる一冊だった。
    茶とは、非日常を演出し、その茶会でのテーマにそって
    主人が意匠を凝らして様々な道具やら部屋の演出を整え、
    客と体感を共有し、それを楽しむことを目指すもの。
    茶道を学ぶ学生が卒業の記念に開いた茶会のエピソードが印象的だった。
    またお茶の席に臨むことがあれば絶対読んでおくべき心構え。

  • ・墨跡は印可状や遺げ(ゆいげ)→高僧が死に臨んで感懐や信仰、弟子への教訓などを記した言葉で、本来人に見せるものではなかった。

    ・濃い茶のまわしのみについてはキリスト教とのかかわりを指摘する人もある。

    ・伝統は伝燈だった。油断大敵とは、油をきらさないこと。

    たまたま、本当に偶然であるが巻末で対談しておられる
    内田樹氏の本「ひとりでは生きられないのも芸のうち」を
    同日に読了した。異なる分野の本でこういう事があると嬉しい。
    おかげさまでいい発見がたくさんあった。
    同じく「掃除道」も同日であるが、この三冊の縁を感じる。


    「茶の美学」谷川徹三
    「茶話指月集」
    「茶の本」岡倉天心 
    「分類草人木」
    茶巾は常に新しいもの
    柄杓はあんまり新しいと初心者に思われる。
    茶せんは2.3度使ったものがよい。と書かれている。
    客への気遣いで新しいものを使う場合とこのような場合がある。

  • 新書レベルではなかなか読めないジャンルなので、多少の読みづらさは気にせずに読める。
    「へうげもの」にもわずかに触れているが、副読本としてよし(多少のネタバレにはなる)。

著者プロフィール

1975年京都生まれ。武者小路千家一五代家元後嗣。明治学院大学非常勤講師(日本美術史)、慶應義塾大学総合政策学部特別招聘教授。2001年、慶應義塾大学大学院修士課程修了。2003年、後嗣号「宗屋」を襲名。同年大徳寺にて得度、「随縁斎」の斎号を受ける。領域を限定しない学際的な交流の中で、茶の湯の文化の考察と実践の深化を試み、国内外を問わず活動。著書に『茶 利休と今をつなぐ』(新潮社)など、近著にインスタグラムの投稿をまとめた『茶のある暮らし 千宗屋のインスタ歳時記』(講談社)がある。

「2022年 『千 宗屋の和菓子十二か月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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