動乱のインテリジェンス (新潮新書 493)

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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104930

感想・レビュー・書評

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  • 沖縄、北海道独立。TPP≒国家安全保障。新オレンジプラン。確かに動乱。
    本書に参考文献としてあげられていた「日本の領土問題」を読後に第一章を再読。理解が深まる。

  • まず日米同盟堅持が日本の国益に叶うという認識で話は進んでいる。領土ではなく権益の拡大と言う新帝国主義がアメリカ、EU、中国、ロシアなどを中心に進み、日本も対抗せざるを得ない。異質なものを取り込み外部とうまくやっていくには沖縄との付き合い方が非常に重要。日米同盟の最後の砦は嘉手納基地で、ここが無くなるとアメリカから見た日本の重要度が低下し、相対的に中国の影響力が増す。両氏ともナショナリストではなく、ドライな外交の力関係から話をしている。
    歴史的な認識では例えば孫崎享の「日本の国境問題」を評価しながらもアメリカ陰謀論の孫崎氏とは別のスタンス。

    尖閣諸島
    中国の目的はまず領土問題の存在を認めさせること。ある程度成功してるようにみえる。日本政府の買い上げは国際的には紛争の存在があるように見える。中国も尖閣は日本領と認めてきた事実はあるけど日本も一度は宮古島より西を割譲する国家決定をしている。(1880分島増約)

    普天間
    アメリカ上院軍事委員会はもう辺野古はないと見ている。グアム、オーストラリアなどに分散。日本政府がいつまでも沖縄の意向を無視し続け、米軍の非行が続けば沖縄独立論も出てくる。

    沖縄独立
    ここではあくまで作業仮説。非武装中立国として独立すると、中国との海洋資源共同開発が進む可能性もある。経済的なメリットは有りそうだが今の中国を見てるとお勧めできない。個人的にも中国資本が沖縄の島を買い漁る姿が想像できていやだ。

    竹島
    日韓国交正常化前の密約が存在する。「両国政府は、別段の合意がある場合を除くほか、両国間の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとし、これにより解決することができなかった場合は、両国政府が合意する手続きに従い、調停によって解決を図るものとする。と言う政府間の交換公文があり、その裏に「双方が竹島を自国の領土と主張したり、これに反論したりすることに異議を唱えない。韓国が占拠してる現状は維持するが、警備隊員の増強や新しい施設の増築はしない、両国はこの合意を守ることを日韓双方の首脳に伝えて裁可を得る。」2007年に政府は紛争に竹島が含まれると"認識"していると回答しているが、韓国政府の認識は含まれないで有る。韓国は密約どころか公文も反故にしようとし始めている。

    北方四島
    サンフランシスコ平和条約では一度は国後、択捉の放棄を認めているが、その前提で後段で歴史的には日本の領土であったと主張している。例えばイギリスは日本の主張を認めていない。プーチンの引き分け提案は2島返還プラスアルファ、どちらも勝てないから引き分けなのか。ロシアは沿海州に対する中国の圧力を懸念しているので、ツー・プラスアルファで経済協力を進めるのはいい線じゃないかな。

    他にも鳩山イラン訪問、北朝鮮ミサイル警報はなぜ遅れたか、TPPなど盛りだくさん。鳩山外交と311で決断(即刻廃炉と海水注入、国外への協力依頼)できなかった菅の責任は重そうです。

  • こうやって地道なインテリジェンス活動をやっている人間がいるのに、それを一撃で吹っ飛ばす政治家・・

  • 栗田からのオススメ図書。身近な人の職場について書かれていたので、非常におもしろく読めた。著者の性格を考えるとある程度の偏りはあるのだろうけど、今現在日本が国際社会でどのような立場におかれているのかを考えるいいキッカケにはなる。

  • 帝国主義の本質は搾取と収奪にある。

  • 二人の対談形式で進む展開。
    実務に長ける者同士の会話なので、ものすごく高度な内容になっている。とても面白い内容でした。
    この対談をする際に、手元資料なんかを見ながら会話をしているんでしょうか。それとも何も持たずに!?二人の記憶力の凄さ、物事の思慮深さに感嘆です。

  • 錦糸町のロシアパブには、なぜウクライナ人が多いか、の答えがある。

  • この分野、日本では有数の識者である二人の対談新書第二弾。
    民主党政権でボロボロになってしまった日本外交だが、インテリジェンスの側面から深堀りしてみると多くのことがわかってくる。
    ・普天間で従来路線を進めなくしてしまった沖縄の独立の可能性
    ・プーチン治世下ならば二島返還をきっかけに進展できそうな北方領土問題
    ・重慶市の権力闘争や中国海軍強化における空母調達の裏側
    などなど。
    そしてイランのインテリジェンス手際の鋭さとともに、そこにまんまと乗せられた鳩山元首相への痛烈な批判。
    二人とも永らく世界の外交の世界を見てきているので、その分析と把握は確かなものである。
    それに加えて各国のインテリジェンス分野の人脈も持っているので、そこからの情報も交えながら事態を解説するので格別に面白い。

    佐藤氏の本は「国家の罠」以降何冊か読んできたが、知性の塊であり外交を裏から支えてきたプロフェッショナルであり、そこから出てくる知見はまことに興味深い。
    手島氏も元NHKワシントン支局長であり、豊富なインテリジェンスの知識を活かしたウルトラ・ダラーは小説としても大変面白かった。
    そんなふたりの対談なので、今の日本外交を取り巻く動きに興味をもつ方にはお薦めである。

  • 丁々発止の諜報論議が面白いけど、結局真実は不明だからなあ・・・

  • 年明け読書の第一弾。外交、安全保障をさまざまな切り口から考える。第5章「アジア半球の新たな勢力地図」の部分 東日本大震災発生時にアメリカに滞在し、米国の報道を見ていた身としては、「トモダチ作戦の真相」については納得いく部分が多い。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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