本当は危ない国産食品 ―「食」が「病」を引き起こす― (新潮新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106108860

作品紹介・あらすじ

「国産だから安心、安全」なんて大ウソ! 知られざる真相。一部の農薬の残留食品が、脳萎縮、自律神経失調、神経伝達の異常、発達障害、肥満、アレルギーの要因に……最新の科学研究から大宅賞作家が示す、超弩級の衝撃。

感想・レビュー・書評

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  • 農薬多いのはホウレンソウ、トマト、レタス…子供は有機を|日刊ゲンダイDIGITAL
    https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/283858

    奥野修司 『本当は危ない国産食品―「食」が「病」を引き起こす―』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/610886/

  • (本から)
    いまの農薬の特徴は浸透性

    ビニールが柔らかいのは可塑剤を混ぜているから
    劣化すると、可塑剤がパラパラと落ちてきます。
    作物は根っこからこれを吸収。この可塑剤が今、内分泌撹乱物質(ホルモン作用を撹乱する物質で環境ホルモンともいう)として問題になっている

    「残念なことに、日本のお茶からは100%、ネオニコチノイド系農薬が出ました」

    ネオニコは、昆虫のアセチルコリン受容体にくっついて神経を興奮させ続けることで殺す仕組み

    農薬の成分が全国の河川からも検出されることは、専門家にとっては常識でも、国民のほとんどは知らない。

    脳細胞が”発火”する
    環境脳神経科学情報センターの木村ー黒田純子
    「ネオニコチノイド系農薬にはヒトの健康を害し、特に子ども達の脳の発達に影響する可能性がある」
    一ニ年にアメリカ小児学会が「子供に対する農薬の暴露が、発達障害や脳腫瘍などを引き起こしやすくする」と警告

    家庭にあふれるネオニコ系農薬

    ネオニコの昆虫への毒性は、かつて問題になったDDTより「はるかに強い」と言われる。ただ、出荷量からすれば有機リン系の三倍以上も出荷されているのが「グリホサート」で、近年、複合毒性が明らかになってきた農薬である。
     これは、ベトナム戦争で使われた枯葉剤を作った、かつての世界最大バイテク企業モンサント(現在は買収されて、ドイツのバイエル傘下)が開発した除草剤「ラウンドアップ」の主成分だ。
    ラウンドアップは非常に強力な除草剤で、雑草だけでなく、あらゆる農作物を無差別に枯らす猛毒である。そこで、モンサントは、この農薬に耐性を持つバクテリアの遺伝子を大豆などの種子に組み込んだ。そうすれば、ラウンドアップを空から撒くと雑草が消えて、耐性のある遺伝子を組み込んだ大豆だけが残るというわけだ。

    川田氏
    「信じられないかもしれませんが、収穫前にラウンドアップを撒いて小麦を枯らすんです。それから収穫すると、自然に枯れるのを待つよりも効率がよくて収量がいいんですね。この方法を、収穫した後に防虫や防カビのために農薬を撒くポストハーベストに対して、プレハーベストと言いますが、カナダ産やアメリカ産の小麦のほぼ全てからグリホサートが出ます」

    提出されたモンサントの”機密書類”
    「ラウンドアップを開発した責任者が『グリホサートとラウンドアップを同じ意味で使用してはいけません。例えば、ラウンドアップは発がん物質ではないと言ってはいけない。だから、グリホサートを使った除草剤全てにラウンドアップの商品名を使用することはできません。必要な試験を行っていません』」

    ラウンドアップは、ネオニコと同じで、洗っても取れない。葉っぱから吸収されて、植物の全身に浸透していくからだ。

    グリホサートを含む除草剤は、「脅威の除草力」などといったキャッチフレーズで、今もホームセンターやネットショップで売られていて、農家でない人たちが、道路や駐車場、学校のグラウンドなどに平気で使っている。やがて、恐ろしい病に見舞われるかもしれないとも知らずに・・・・・・。

    グリホサートにはホルモンのように働く環境ホルモン作用も報告されており、これはネオニコともよく似ているが、それ以外に、薬剤耐性菌を作り出すことが分かっているという。

    残留農薬の汚染が多い野菜・果物
    1イチゴ   2ホウレンソウ  3ネクタリン 
    4リンゴ   5ブドウ     6モモ
    7サクランボ 8洋ナシ 9トマト 10セロリ

    残留農薬の汚染が少ない野菜・果物
    1アボガド  2スイートコーン  3パイナップル4キャベツ  5タマネギ  
    6グリーンピース(冷凍)  7パパイヤ
    8アスパラガス 9マンゴー  10ナス

    五日間の有機野菜で体内の農薬半減

  • 有機リン系殺虫剤につて「EUでは次々と禁止されていった。ところが、日本ではなぜか今もよく使われている」と書くが、データを調べると印象操作であることがわかる。
    残留農薬基準値に対する理解もないのに本を書くとは恐ろしい。
    https://seisenudoku.seesaa.net/article/500921540.html

  • 私は堤未果さんの本を読み、国の基準を信用する危うさを知った。
    日本人は、国の基準がー、WHOがー、IAEAがー、国連がー、大学教授がー等、言う事を何も考えずにを鵜呑みにしすぎである。
    国が定めている基準というものは、どれだけ他国の干渉を受け、金、権力の影響を受けているかを知るべきである。

  • 仕事用に読みました。んー偏りがきつめ。

  • 日本がいかに農薬王国か、それに対していかに国民が無知かよく分かった一冊。しかしそれに対してどう対処したら良いかの考察が驚くほど無かった。
    怖がらせるだけ怖がらして後は自分で考えろということ?
    それとも対策は無いということ?

  • 本来、自然界に冬のイチゴは存在しない。季節に逆らって加温しながら育てるから、植物にとってはストレス。病気にかかりやすくなるから、農薬をたくさん使う。

    今の農薬の特徴は浸透性。内部に農薬が浸透している。

    ビニールハウスの劣化した部分が落ちてきて作物が吸収する。

    農薬の毒性があらわれるのは、10年先、20年先、半世紀も先。症状としてあらわれても、長い時間が経っているため、本当に農薬が原因かどうか調べようがない。

    スーパーの都合で陳列棚に並べやすいサイズの野菜が作られるようになった。均質で傷がなく、きれいな野菜こそ高級品という価値観。

    ネオニコチノイドは270度以上で分解されるため、焙煎が行われる麦茶やウーロン茶からはあまり検出されなかった。

    露地栽培よりもハウス栽培の方がネオニコチノイドの検出率が高い。検出されなかったのは人参、蓮根、ブロッコリー、アスパラガス、スイカ

    ネオニコチノイド
    ・水に溶けやすい→植物全体に浸透
    ・油に溶けやすい→細胞膜(脂質)を通り抜ける
    ・熱に強い
    ・血液中に分解する酵素がない
    ・洗っても落ちない

    フィプロニル
    ・ペットのノミやダニの駆除剤に含まれる、ネオニコチノイド系農薬と同じ浸透性の殺虫剤。
    ・EUでは禁止され、市場から消えた。
    ・日本では農薬としてコメやキャベツに使われ、殺虫剤としてゴキブリ駆除剤
    ペットの首筋に一滴たらすと、垂らした皮膚からフィプロニルが全身をめぐり、ノミやダニがその血を吸って死ぬ。

    日本人は常に農薬を食べている

    農薬や化学肥料をたっぷり使った、土壌から生まれた工業製品

    かつて露地で栽培されるイチゴの旬は4月~6月だった。クリスマスに合わせて冬に旬をずらしたために、ビニールハウスでの栽培が行われるように。

    ネオニコチノイド系農薬の毒性は強く、土壌中の残留時間が長いため、簡単に減農薬栽培が可能。減農薬栽培は安全とは言えない。

    ネオニコチノイド系農薬は雨によって河川に流れ込む。ネオニコチノイドは分子量が小さいため、通常の浄水場で除去することはできない。それらが水道水に含まれる。

    小麦は収穫直前にラウンドアップを撒いて枯らす。プレハーベスト。

  • 日本の農薬の基準が緩すぎるため、「危ない国産食品」というタイトルになっているが、本書後半でも述べられているが、やはり統計的には輸入品よりも国産の方が危険度は少ないと思われる。

    何よりも、消費者が良いものを選ぶことが大事。
    医療費ことを考えれば、無農薬食品の方が、トータルメリットであると思う。

  • 国産だから安全ではない。農薬、除草剤などが肥満、アレルギー、発達障害の原因となるという。あまりに低い日本の安全基準に警鐘を鳴らす。

    何を選んで食べたらいいのか分からなくなる。有機野菜なら安全なようだが、それもほんとうなのだろうか。

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著者プロフィール

奥野 修司(おくの しゅうじ)
大阪府出身。立命館大学経済学部卒業。
1978年より移民史研究者で評論家の藤崎康夫に師事して南米で日系移民調査を行う。
帰国後、フリージャーナリストとして女性誌などに執筆。
1998年「28年前の『酒鬼薔薇』は今」(文藝春秋1997年12月号)で、第4回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞受賞。
2006年『ナツコ 沖縄密貿易の女王』で、第27回講談社ノンフィクション賞・第37回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
同年発行の『心にナイフをしのばせて』は高校生首切り殺人事件を取り上げ、8万部を超えるベストセラーとなった。
「ねじれた絆―赤ちゃん取り違え事件の十七年」は25年、「ナツコ 沖縄密貿易の女王」は12年と、長期間取材を行った作品が多い。
2011年3月11日の東北太平洋沖地震の取材過程で、被災児童のメンタルケアの必要性を感じ取り、支援金を募って、児童達の学期休みに
沖縄のホームステイへ招くティーダキッズプロジェクトを推進している。
2014年度より大宅壮一ノンフィクション賞選考委員(雑誌部門)。

「2023年 『102歳の医師が教えてくれた満足な生と死』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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