空海の風景 上巻 新装改版

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  • 中央公論新社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120036453

感想・レビュー・書評

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  • 満を持して…、というか機が熟すのを待ちに待ってやっと頁を開いた本作。どの程度機が熟したかというと過去5年内に高野山を歩き、叡山を歩き、遍路道を歩いたという状況。予習としては十分ですよね?という感覚で読み進めた。

    上下巻に組まれているところから言って空海本人の台詞がカギ括弧で語られるような小説とかってに思い込んでいた。その予想はある意味あっさりと裏切られ、この上巻はむしろ彼の前半生をたどりながらの紀行文のような、むしろ「街道をゆく 空海特別編」とでも銘打って良いような創りになっていた。やられた。

    上巻は彼の入唐が成果を持った形で終わりを迎えようとしている場面で終幕。あっという間に下巻突入!

  • 空海と最澄の話。同じ時期に遣唐使として仏教を学びに唐へ。
    空海は欲望も含めての密教を成立させた。
    経済的な感覚が鋭く、国費ではなく、民費での遣唐使としての参加。
    同じ時に行った最澄は国費。
    20年学ぶということで派遣されるが、そのお金を2年に投入して成果をあげようとしていた。
    すでに国費として派遣される地位を築いていた最澄が先に日本に帰国。もともとの目的の天台宗とともに、密教をはじめて日本に持ち帰ると、密教の人気が出る。
    密教を学んだ空海が帰国すると、最澄は空海に教えをこうことになる。
    空海は死を意識してからは五穀を食べないようにしていた。

  • メモ
    空海と最澄の立場を対比しながら歴史をひも解いていく。
    風景を想像しながら詳細に構成された文章は読み進めるにつれてその美しさに魅了される。
    文章に恋をした。

  • 面白く読めたが、ある意味司馬遼太郎という作家の限界を見た作品のような気もする。空海という宗教者を描くには司馬遼太郎の筆致はあまりに英雄譚過ぎるし、俗的価値観に染まり過ぎているように感じた。

著者プロフィール

司馬遼太郎(1923-1996)小説家。作家。評論家。大阪市生れ。大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960(昭和35)年、『梟の城』で直木賞受賞。以後、歴史小説を次々に発表。1966年に『竜馬がゆく』『国盗り物語』で菊池寛賞受賞。ほかの受賞作も多数。1993(平成5)年に文化勲章受章。“司馬史観”とよばれ独自の歴史の見方が大きな影響を及ぼした。『街道をゆく』の連載半ばで急逝。享年72。『司馬遼太郎全集』(全68巻)がある。

「2020年 『シベリア記 遙かなる旅の原点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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