本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120040719
感想・レビュー・書評
-
「冬の夢」を含む、スコット・フィッツジェラルドの短編5作が、
村上春樹の和訳によって復古された作品です。
「フィッツジェラルドは時として、たとえ魅惑的な報酬を犠牲にしても、
『書きたい作品を書く』という一線にこだわった。」(訳者解説より)
彼の作品には、報酬を重視した俗世間的な短編と、
世間評を無視した作品があるといわれていますが、
本作品は後者が収められています。
5つの短編は、あらかじめ練られた全体構成を感じさせる物語と、
たぎる想いにただ筆を載せた感じのする物語、の2種類に分けられると思います。
しかし両者に共通するのは、逃れられない様々な人間の本能の描写。
金銭的欲求を越える情愛、生存、自己実現への欲求。
「書きたいものを書」いた結果でしょうか。和訳が上手いことにも起因するのでしょうか。
とにもかくにも、彼の肉迫的な表現が好きです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あまりにも美しく飾られた文章に運命的な出会いを感じさせられる。
物語は劇的で、すっと断絶させる終幕には息をのんだ。最後の短篇は他の収録作品より趣きが異なっていて、ほほえましくうつる。