一路(上)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120044717

作品紹介・あらすじ

小野寺一路、十九歳。父の不虜の死を受け、御供頭を継いだ若者は、家伝の「行軍録」を唯一の手がかりに、江戸への参勤行列を差配する。いざ、江戸見参の道中へ-。

感想・レビュー・書評

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  • 下巻とまとめて。

  • 『一路』というタイトルは、主人公・小野寺一路の名前と、参勤交代を差配して中山道を行く行程に掛けてある。
    参勤交代の意味って、大名の財産を使わせて、反旗を翻すことのないように、ということだと思っていたけれど、この作品の中では違う。
    「いざ、鎌倉」のように、いったんことがあった時に江戸に馳せ参じることができるように、軍事訓練としての行軍であると。
    250年も過ぎて形骸化してしまった大名行列を、家伝の「元和辛酉歳蒔坂左京太夫様行軍録」のとおりに行わなければならなかった小野寺一路の事情とは。

    不幸の上に不幸と不幸が襲う一路。
    さらに本人の知らなかった不幸が次々明かされ…。

    文武に秀でているとはいえ、参勤交代など初めての一路が御供頭としてそれを差配しなければならない。
    唯一の部下もまた、初めての参勤交代。
    お殿様は余りにも善人であり、自分の周囲でお家騒動が持ち上がっていることに気がつかない。
    参勤交代で不始末を仕出かしてしまえば、一路が切腹してお家断絶するだけではなく、お殿様にもその火の粉が降りかかることになる。

    という、がけっぷち道中でありながら、ちゃんとした道中記になっていて、さらにはぷっと噴いてしまう愉快なやりとりがあり、家臣たちの矜持が熱く、めっぽう面白くってならない。
    流れ的にはハッピーエンドで終わると思うんだけど、この騒動がどう着地するのか、続きがとても楽しみ。
    早く図書館に行けるようになるといいのに。

  • 最初はどうストーリーが展開するのか心配するほどだったが、進むにつれ起伏のある展開と感情移入させられる表現に夢中になった。

  • 登場人物が個性豊かで楽しく読めた。

  • なかなか面白いです。
    「超高速参勤交代」を思い出しました。

    相変わらず時代背景の説明は、よく分からないのですが、一路の一生懸命に御役目を果たそうとする気持ちや、他の武士達のかっこいい武士魂みたいな気持ちが素敵だと思いました。
    一生懸命な人には必ず誰かが助けてくれるのですね。

  • 手練れの文筆家、といったところか!

    ちょっと鼻に付く技巧、受けを狙いすぎだが、

    これが浅田次郎の世界かな?

    参勤交代の大変さは伝わってくる、

  • さすがは浅田次郎。爆笑小説。

  • 浅田次郎さんの本が大好きで発売してすぐに読みました。
    ブチが可愛くて最後は嬉しくて泣いてしまいます。大好きなお話です。

  • アッパレヤ、出るは、消えるは、降ってくる何でもありのこの舞台。

    笑いや涙はなんのその、話す馬や、加賀の姫との籠レース、安中の飛脚衆そして本人もどきのその人も。

    参勤交代を舞台にした浅田さんの痛快無比ユーモア歴史小説で

    急死の父に代わり若き主人公小野寺一路が御供頭を命ぜられ、お殿様との江戸までの苦行難行の随行記。

    その中で一路曰く「知る人が居ないのではない、知った人が知らぬ振りをすることが孤独なのだと」

    一方お殿様の言葉「田名部の宝物は物にあらず、人おのおのじゃ」いっていた言葉が印象に残ります。

    「一路」の名の由来の意味そしてウツケを演じたお殿様の真意が明らかにされる時に、

    より輝きを増して二人の姿が心に焼き付けられたのでありました。

  • 参勤交代の話!?興味がわいて借りてみた。

    突然参勤道中のまとめやく(リーダー?)になった主人公の右往左往話。
    道中御供頭小野寺一路。この字面だけで様になる。
    参勤交代の”さ”の字も知らない、そんな一路の苦難と苦労を支えてくれる有りがたい人たちに感謝。

    2014/10/20

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著者プロフィール

1951年東京生まれ。1995年『地下鉄に乗って』で「吉川英治文学新人賞」、97年『鉄道員』で「直木賞」を受賞。2000年『壬生義士伝』で「柴田錬三郎賞」、06年『お腹召しませ』で「中央公論文芸賞」「司馬遼太郎賞」、08年『中原の虹』で「吉川英治文学賞」、10年『終わらざる夏』で「毎日出版文化賞」を受賞する。16年『帰郷』で「大佛次郎賞」、19年「菊池寛賞」を受賞。15年「紫綬褒章」を受章する。その他、「蒼穹の昴」シリーズと人気作を発表する。

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