出張料理・おりおり堂 - 神無月~弥生

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120047602

感想・レビュー・書評

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  • 前作を読んでから数年経ってしまった本(のひとつ)。2017年後半から2020年までちょっと読書から遠のいてたからね…。あるある、そういうとき。(と、いうことにしておいて)

    ほんで、年単位のブランクがあるけど、最初から読み直さなくても話についていけるよね…? と、コワゴワ読み始めた。たぶん、予備知識がなかったぶん前作より面白く感じた気がする(前作のレビューを今読んだ)。

    山田、面白いな(笑)!

    この語り口はちょっと何度も笑ったわ。彼女、ええな~。
    澄香と仁の関係も、まあ、甘酸っぱいといえば甘酸っぱいけど三十路なんやったらこのくらいの冷静さ(?)というか客観視(?)いわゆるセルフツッコミがあるくらいのほうがいいよね。

    とはいえ、各章はそれなりに闇が深い。くるみちゃんの件なんてかなり、かなり重い話やし、オイ小山、と、思う。
    ミカちゃんも相当かもしれへんけど、なんか彼女に関しては強度の差はあれど
    「いるよね、こういうタイプ…」
    とは、なる。(実際こないだまでうちの会社にもいた)

    それに絆される(?)年長者の情けないことよ…。(実際こないだまでうちの会社にいた年長者も絆されていた)

    こういうのは、ほんま、関わらんに限る。


    ほんで、それ以上に
    「はあ!?」
    と、文章を二度見したのが澄香ちゃんの過去やった。
    アンタもそんな闇抱えてたん!? マジで!?

    この話、闇抱えてない人おらんのちゃう!? こんなあっさりした感じに話が進んでいくのに??

    この温度差よ…。作中で描かれる料理はおいしそうやし、桜子さんの空気は素敵なのに、この方もどうせ闇を乗り越えてのこの仙人ぶりやろ…。
    もしかして桜子さんの過去は前作で書かれてたんやっけ…? ちょっと覚えてへんけど、仁さんに関しては(澄香含む)他の面子(の過去)がだんだん濃くなっていったため、
    「まあ、そういうこともあるかもしれんな」
    と、まで思いそうになったよ。いやいや…。この人も結局まだ京都にいるってことよね。しかも料理の仕事はせずに、由利子さんの元に日参してるのかな…。それって、なんか、救いがないような…。

    清濁併せのんで、前に進むっていう趣旨はあるかもしれない、この本。
    面白かったけど、なんだかもう不思議な読了感ではあるよね、爽快感は薄いけど、読んでよかったとは思う。面白かった。

    後々調べたら、加筆修正された文庫が出てるとのこと。どういうこと。どこを加筆するの、闇を? それとも、楽しく振る舞うところを?? それによってまた、いろいろと変わってくるやん。

    作中でも語られてた、「落ち込んでも現実は迫ってくる」っていうのがまさにそうで、しかも迫ってくる現実は落ち込んでる内容とはまったく関係なかったりするから、感傷にひたるひまもないっちゅうね。

    それはそれで助かるときもあるけど、現実ってほんま忙しい。もう少しだけのんびりできてもええんちゃうん。
    でも、澄香ちゃんたちのような30代ならまだまだ気力も体力もあるから、感傷にひたるより醜く映る気持ちとも戦うほうがいいのかもしれへんねえ。

    少女時代は半径数メートルで完結してるのかもしれへんけど、フォーティーズになったらまた完結する半径は狭くならざるを得ない。だってもう、広いことに対応していかれへんからさ。

    半径が広い期間は確かに、短いのかもしれへんから、やっぱり20代30代は戦っていてもいいのかもね~。

  • 主人公とそれを取り囲む料理を通じて人生に不器用な人たちが、様々な形で前に進んで行こうとする姿に共感。

  • 台詞と台詞前後の語りを読んであと(澄香のイタイ妄想など)は流し読みしてしまいました。前編読んだから一応…と思ってしまった。
    最後に全部詰めたなーって感じで、前編はあっさりしてて読みやすかったけど、後編はさらに微妙でした。
    ごめんなさい。

  • なーんでこんなダークな展開に……おそろしや。

  • 連れ子の幼女を追い出す母親や澄香の過去やものを食べられなくなる等の毒とシリアスに上巻の記憶の明るい印象が疑えて来る。お料理は変わらず美味しそうで、仁の婚約者との事情からの決着にもほっとした。基本的に上巻のまま苦手だった藤村も、澄香自身が過去と重ねていたこと等も受けまあ多少受け入れられるようになった。

  • 澄香の過去が明らかになったけど、今までそんな
    雰囲気全く無かったのに、唐突すぎでその上
    それが現在の話に必要な要素だとも思えない

    肝心な仁との関係も、ふわっとしたまま終わった感じ

  • 出張料理おりおり堂の天才イケメン料理人の仁と、彼に恋する助手の澄香。

    不吉なハロウィン料理の依頼を
    本田夫人の真相。

    妻の病死以来、シンパパとして奮闘してきた小山のミカとの再婚で、ないがしろにされた小山の娘くるみの悲しみ。

    七五三のお祝いだったはずが、妻の家出と亀裂の入った沙織と太津朗の夫婦関係。

    すべてを丸く納めたくるみの祖母の鈴子。

    京都の料亭で仁が修行していたさいに恋仲になり、意識不明だった由利子の回復と真実。
    仁と澄香の関係と、おりおり堂の行方。

    この本を読む前に先に読むべき本があるらしい。
    おいしい和食、食べたいのう。

  • 仁の過去が少しづつ明らかになり、澄香と仁の関係も深まりつつある中、ある夫人の家に出張料理の打ち合わせに向かう二人。しかし彼女の依頼は家族を呪うための料理を作って欲しいという。悪意に慄きながらも断る二人。しかし、一人でシンパパとして子育てを頑張っていた筈の知人の娘の様子がおかしかったり、円満そうだった家庭の嫁に呪詛を吐かれたり、澄香を亡くした妻に重ねて口説いて来る藤村の身に危険が迫ったりと、彼らに関わった人々にも不穏な空気が伝染していて……。

    内容のシリアスさをキャラや文体の軽さで中和しようとしてみたけどいまいちうまくいっていないような印象。なんとなく全部ちぐはぐでから回ってる感じでもったいない……後半こんなに不穏にする必要あったかな??もっと前半くらいのノリで、あちこち行きながら澄香が助手として能力を発揮したり女性として魅力的なところを描いたりして二人の関係に焦点あててくれてもよかったな。

  • オーナーの桜子、料理人の仁、助手の桜子の出張料理屋さんの物語の続編。幸せだったはずの家族がこわれていったり、仁の辛い過去をとりまく状況が動きだしたり、出張料理は落ち着かない日々を送ることになり、食べることが大好きだったはずの涼香は精神的に食事をとることが出来なくなるる。
    悲惨な状況に心を痛めてしまうが、新たな登場人物の働きもあり、壊れかけた家族には立ち直りの兆しが見いだされ、涼香と仁の関係も一歩近づく。

  • 2017.2.16 読了


    これって これで完結かな?

    なんとなく モヤモヤ。。。
    こんな感じなんや。。。

    ハッピーエンドなのかな?



    食べ物の描写は かなり美味しそう!

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著者プロフィール

安田依央
大阪府生まれ。関西大学法学部政治学科卒業。二〇一〇年に『百狐狸斉放』で第二三回小説すばる新人賞を受賞し、一一年に単行本『たぶらかし』として刊行。
他の著書に『終活ファッションショー』『ひと喰い介護』、「人形つかい小梅の事件簿」シリーズがある。

「2023年 『出張料亭おりおり堂』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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