- Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120049118
感想・レビュー・書評
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何が主張したいのか?今一つ得られるものが少ない本である。文章について書かれているという意味では、この題名でよいけれど、その中身はX(わからないもの)である。
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なんというか全体的に中途半端な本だったという印象。
文章にとって肝要なのは「美しい」ことではなく「正しく伝えられること」で、概ねそういった文章は美しくはない、というのが筆者の大きな主張の一つなのですが、その割に本文では文章の美しさについて、実際の小説を引用しながらかなりページ数を割き、分析している。著者の主張に基づいて分析するのであれば引用するのが小説ばかりなのはおかしいのではないかと思わざるを得ない。また同時に小説で「文章が美しい」と評価されることはあるけれどそれは必ず内容と不可分なものであるはずという主張もあり、これは賛成とも反対ともいえるなあという感想で、例えば一冊まるごと文章が美しいというだけで評価されるのはさすがにとは思うけれど、短編小説や長編の一部の風景描写に限れば描写の美しさだけで評価を得る部分もあり得るのではないか、という感じだ。
だいたい、結局この本はどういった層に向けて書かれたものなのかがはっきりしない。SNSの発達した社会で、普通の人々が文章を発信する機会は比較にならないほど増えたからそのためなのだろうかと思うけれど、そういった人々がわざわざこの本を手にとって読むだろうかというのが疑問として残る。そういった普段本を読まない人が手にとったとしても引用は小説からばかりだし、参考にはならないのではないか。小説家を目指す人向けに書かれた訳ではないようだし(オマケ程度にその人々へ向けて書いてある)。
結局この本の中で批判しているわざわざ水増しさせているだけの本のようにも感じられた。