イオカステの揺籃 (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
3.52
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本棚登録 : 397
感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120055683

感想・レビュー・書評

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  • 一気読み。背筋が凍えた。

  • 新進気鋭の建築家、青山英樹。
    資産家の一族である父・誠一は大手ゼネコンの技術者、美しい母・恭子は趣味の園芸が嵩じてバラの栽培や花びらを使った料理、手芸で著名となり「バラ夫人」と呼ばれていた。
    何不自由なく育った英樹は結婚し、やがて妻が妊娠する。
    その途端、恭子が生まれてくる孫に異常な執着をみせはじめ…

    貧しい家庭で実母から激しいモラハラを受けて育った恭子の生い立ちが明らかになっていくにつれ不穏さが色濃くなる。
    幼くして交通事故で亡くなった英樹の弟の、死の真相も大きな謎として物語を牽引していく。
    リーダビリティの高いサイコサスペンスに仕上がっているけど、後味最悪(←誉め言葉)

  • アップデートは大事。

  • 過剰なまでの愛憎劇。ドロドロの人間関係。喉に大きな石を押し込まれたような息苦しさ。遠田ファンが作者に期待するものに応えようとした作品なんだろうけど、あまりにも現実味に欠け薄っぺらい感じに鼻白む。
    登場人物が皆イカれていて、誰一人として感情移入できない。逃げる男誠一、母に呪いをかけられた恭子、母の愛を得られず反発しまくる玲子、閉じ込められた子供のままの完、傲慢な美沙、そして一番タチが悪い鈍い善人英樹。もうやりすぎ。
    ある意味ファンサービスなんだろうけど、何が描きたかったの?って思う。私が読み取れなかっただけかな。

    これまで全作読んできたけど、最近の遠田さんは面白くないな。この刺激に飽きただけかもしれないけど。

  • 読むのがやめられなかったことで評価4にしたけれど、不快な気分は避けられない。
    私もバラの蕾のお茶は苦手。

  • 家庭崩壊が恐ろしい

  • 人間礼賛の「銀花の蔵」の後は遠田さん、人間のダーク面に焦点当てるようにしてるのか?それにしても登場人物すべて性格破綻者ってどうよ。それも虐待やら親のせいで。不倫オヤジが真っ当に見えるなんて…ちょっと読んでて辛いし「生理的にも受け入れがたい」かな。

  • 2022/09/09リクエスト 4

    この恐ろしさは、味わったことがない。
    イヤミスというレベルではない。

    建築家・青川英樹は、バラ夫人と呼ばれる美しい母に育てられる。
    仕事のダムと蕎麦が好きな仕事人間の父。
    母に反抗的に生きる妹。
    英樹の妻が妊娠し、生まれてくる子が男だとわかった途端、バラ夫人である母がおかしくなっていく。

    登場人物が、親や子に通常では考えられないような感情を抱く中、一番狂っているのは、バラ夫人である恭子ではなく、恭子を出産してからずっとつらく当たってきた、その母親だった。この母娘関係は読んでいて、とても苦しいものだった。娘に、いやらしいこやね、そんなこと言うものか?そんな一言では、説明の付かない、様々な事柄が恭子に歳月をかけて注入されていく…
    加害者が元は被害者だった。その連鎖。

    恭子の死後、平和な家庭を取り戻すようにも見えるが、それさえも不気味。

    英樹の妻である美沙の今後は大丈夫なのか。
    美沙の母親も、これまた何を考えているのか不明。
    英樹の妹である玲子は、母親の恭子にパートナーを殺されかけた。そしてパートナーである完はこれから起こる、いま起きていることを覚えていられない、そんな障害を持ったまま、玲子は共に歩んでいこうとしているが、やっていることは、母親の恭子の生き写しのよう。

    唯一、まともな登場人物は、英樹の会社に勤務するシングルマザーの橋本さん。言うことがいちいち正論で、物事の真実をついている。

    最後まで救いのない話だった。
    かなりの重量の本だけど一日で読み終えた。

  • ただただ登場人物が狂気。女性は家庭によって壊れていくんだけど、男性はそれでも鈍くて女性に理想を求めてる(マザコンでもあり)状態のほうが怖い。

  • 美しく非の打ち所のない母からの息子への異常な愛情と執着。娘が憎くてたまらない母の嫉妬。誰もかれもが負をまとった歪な感情でとても息苦しくなる。皆が「母」という存在に支配されそして無償の愛を求めている。子供を愛せない母親というのも一定数存在するのだろうけどすべての子供はやはり親を求めてしまう。無償の愛というのは親から子ではなく、子が親を思う気持ちのことなんだろうな。それにしてもバラ夫人の旦那さん、最後の方はアップデートとやらをしたようだけど、どうも最初の印象が悪すぎて最後まで「ふんっ」という気持ちだった。

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著者プロフィール

遠田潤子
1966年大阪府生まれ。2009年「月桃夜」で第21回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。16年『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベスト10」第1位、2017年『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」第1位、『冬雷』が第1回未来屋小説大賞を受賞。著書に『銀花の蔵』『人でなしの櫻』など。

「2022年 『イオカステの揺籃』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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