南蛮史料の発見: よみがえる信長時代 (中公新書 51)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121000514

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  • ●構成
    秘められていた文書:序にかえて
    最初の日本情報:一五六四~五二年
    信長抬頭期の現実:一五五六~六九年
    対立抗争するばてれん:一五七〇~七六年
    宇留岸さまのプラン:一五七七~七八年
    信長時代の最後:一五七九~八二年
    ヴァリニャーノ『日本要録』
    --
     歴史史料は、それ自体が長い年月を経て現代に存在しているものであり、適切な保管がなされていない場合は散逸、消失、破損、破壊を受けることが少なくない。存在していること自体が史料の価値であり、それなくしては歴史研究が困難になる。
     本書の著者は、ポルトガルに蔵されていた日本の屏風の下張りや鎧の詰め物とされていた日本語の文書を発見し、それが信長時代のイエズス会布教者による報告書の一部など、未発見の史料であることを明らかにする。こうした発見自体が稀なことであり、この貴重な体験を詳述している。
     続けて、本書では信長期の日本におけるイエズス会の動向や、信長やキリシタン大名をはじめとした日本国内の反応を記す。イエズス会がどのような方針でキリスト教の布教を行っていたのか、その際の困難、イエズス会内での互いの思惑など、ザビエル、フロイス、ヴァリニャーノを中心に明らかにする。また巻末には、ヴァリニャーノ『日本要録』の抜粋を掲載する。
     信長とイエズス会がどのように関わりあっていたのかが分かりやすくまとめられており、南蛮キリシタン史の入門として良い本であるが、新刊書としては入手困難であり古書店や図書館で探したほうがよい。

著者プロフィール

一九二一年(大正十年)、高松市生まれ。上智大学文学部史学科卒業。元京都外国語大学名誉教授。『完訳フロイス日本史』全十二巻(共編訳)にて第二十九回菊池寛賞と毎日出版文化賞特別賞を受賞。著書『南蛮史料の研究』『在南欧日本関係文書探訪録』『南蛮史料の発見』『黄金のゴア盛衰記』など。九七年(平成九年)没。

「2020年 『回想の織田信長 フロイス「日本史」より』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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