時間と自己 (中公新書 674)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121006745

感想・レビュー・書評

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  • 大切なことらが記されているが、未だ自機来たらず。

  • 使われている精神医学の用語や内容は、本書が書かれた1982年当時のものであることを前提として読む必要がある。それでもなお、思弁的のみならず、臨床的にも示唆に富む本だと感じた。臨床場面で患者さんと接しているときに、自分自身の時間感覚も同調しているように感じることは多く、一日の臨床のなかで、時間の流れは一定ではない。患者さんのためにも、医療従事者が己を知り守るためにも、ここに書かれているような内容を知っておくことは有益だと思う。

  • 冒頭の我々の周りの「もの」と「こと」の解釈から引き込まれた。
    そこから精神病への展開は難解で、一回読んだだけでは理解が追いつかないが、とても興味深い。
    そして最後のまた映画のマトリックス的な自身の他者性についても、共感できるところも。

  • 難解な内容である。著者の言おうとするエッセンスは何とか理解したつもり!

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/685424

  • あとがきにある「人生をひとつの夢として夢見ているような、もうひとつ高次の現実が私たちのすぐ傍らに存在しているらしいということだけは、真理に対して謙虚であるためにも、是非とも知っておかなくてはならないように思う」という言葉、なぜか『鋼の錬金術師』を思い出させる。
    また、「夜、異郷、祭、狂気、そういった非日常のときどきに、私たちはこの『だれか』をいつも以上に身近に感じとっているはずである。(…)「時と時とのあいだ」のすきま(…)に見えてくる一つの顔(…)の持主が夢を見はじめたときに、私はこの世に生まれてき(…)、その「だれか」が夢から醒めるとき、私の人生はどこかへ消え失せているのだろう。この夢の主は、死という名をもっているのではないか。」という文章、小さい時から居間に一人で横になっているときに感じた感覚とも似ていて、サブイボが立つのを感じた。

    時間ってなんだろうという興味から以前に岩波の緑表紙の『時間』という本を手に取って読んでみたが、哲学書すぎて意味がわからず手放した。その経験から一応中身はさっとでも読んでから買おうと思い、さっと読んで買ったつもりだったが、思っていた内容とは違っていた。笑 違っていたが、これはこれで面白かった。

  •  精神病患者の精神世界から、人間の時間と自己に対する認識について書かれた本。過去・現在・未来の捉え方、時間概念は全ての人、時代、世界に等しいものではない。

     やや難しく感じたので、また読み直したいと思う。

  • 難しかった
    もう一回読み直します

  • 分裂症やうつ病などの症状を、時間と自身の在り方から捉えてみることができるという考え方をこの本で初めて知った。

    本書の中で、"もの"と"こと"は区別され、本質的な"こと"について考えようと思うことで、"もの"となってしまうため、健常な状態では"もの"と"こと"を区別することはできない。ということと、「言葉」の「言(こと)の葉」という成り立ちをみるに、言葉は"こと"の一側面しか表現しえないということころが、特に印象に残っている。

    うつ病者は自己同一性と役割同一性の区別が上手く機能していないという記述にはなるほど、、、と思いながら読んだ。

  • 非常に面白かったし、こんなに豊かなものを人は書けるのだなということに感動して、充実した読書時間になった。
    ペンを持っていることは、ペンなしでそのことを感じることができないというように、「もの」なしで「こと」は成立し得ないということを前提として、精神病者の時間がどのように成り立っているのかを論じている。それは健常者とは別のもののよううに私たちは考えるのだが(もちろん実際そうとも言えるのだが)、精神病者/健常者として最初から区別できるような絶対的な特徴はない。誰にでも時間の変容が起こりうるし、身近にある問題である。その意味で、この本は誰に対しても開かれているものであるし、また時間や自分自身について考える良い機会を与えてくれている。

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著者プロフィール

1931年生まれ。京都大学名誉教授。著書に『木村敏著作集』全8巻(弘文堂)、『臨床哲学講義』(創元社)、共訳書にヴァイツゼカー『ゲシュタルトクライス』(みすず書房)ほか。

「2020年 『自然と精神/出会いと決断』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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