酒呑童子の誕生―もうひとつの日本文化 (中公新書)

  • 35人登録
  • 3.50評価
    • (2)
    • (6)
    • (9)
    • (1)
    • (0)
  • 8レビュー
著者 : 高橋昌明
  • 中央公論社 (1992年6月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121010810

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印

酒呑童子の誕生―もうひとつの日本文化 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 古書店にて200円で。酒呑童子そのものではなく、鬼門や蚩尤に関する文章が気になったので購入。この系統で読んだのは永井豪先生の『闇の宴 酒天童子異聞』ぐらいだが、さすがに専攻が日本中世史となると参考文献の数も膨大で、着実な論証を目指すにはこれくらいの博捜が必須なのだと思い知らされる。酒呑童子の正体についての考察にも気づかされる点は少なくなかったが、説話の形成に影響を与えたと目される国内外の様々な説話・文学には初見のものも多く、まさに蒙が啓かれる思いだった。これぞ読書の醍醐味。

  • 面白かったし、わりと頷くところもあるんだけど、如何せん全体的に急ぎ足で前知識ないときついなって感じ。
    最近、陰陽師とか鬼とか妖怪とか、平安の穢れ文化みたいなの勉強してるからか、酒天童子が四角四堺祭や道饗祭で都から追放された疱瘡神=猩々=領域外の民=謀反人、っていう構図はすごい納得したんだけど(ついでに中国の梅嶺記に出てくる斉天大聖と蚩尤との関連とか)、途中から頼光と雷光とか、磨子親王とか聖徳太子とか出てきた辺りからあやしくなってきたっていうか、渡辺党はまあ、元々滝口の一族だから疫神退治には必要かなとか色々……こう、盛り沢山すぎて、一つ一つの説明が足りない感じはするけど、一つの説としては面白かったですよ。

  • 酒呑童子=ゴリラ説は目から鱗でした。
    その他「だいぶ酒呑童子から離れてしまっているような……」と思う個所もありましたが、おおむね参考になりました。

  • [ 内容 ]
    酒呑童子の説話には、日本人に内在する、天皇や国家が成す秩序の攪乱者への脅威や排除の心理を読み取ることができる。
    この異形の童子の正体とはなにか。
    紅毛人説、山賊説、鉱山師および鉱山労働者説などの諸説をさまざまな角度から検証するなかで、著者は、疫病を流行らせる神(鬼)である疱瘡神にその原像を見出す。
    酒呑童子説話の考察をとおして、中世社会の内と外、中心と周縁、境界や排除などにかかわる諸問題に鋭くせまる。

    [ 目次 ]
    第1章 酒呑童子の原像―京都と四角四堺祭
    第2章 酒呑童子のふるさと―中国の小説・伝説に探る
    第3章 竜宮城の酒呑童子
    第4章 二つの大江山・三つの鬼退治―酒呑童子説話と聖徳太子信仰
    第5章 伊吹山の酒呑童子
    第6章 酒呑童子説話の成立

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 大江山の酒呑童子説話についての推論。陰陽道や仏教、中国の伝説に小説、中世の社会意識など、説話に影響を与えたとおぼしきありとあらゆるものについて検討している。酒呑童子については何も知らなかったのだが、たいへん興味深く読んだ。とくに鶏の境界性についての話はおもしろく、新たな視点を得た喜びでいっぱいだ。
    だが、酒呑童子の原像が疱瘡神であること、説話の原型が渡辺党周辺で発生したことについては異議がある。
    まず疱瘡神説。酒呑童子が水神と見なされていたことに著者自身が言及している。そして酒呑童子が疱瘡神だからこそ水神の姿で描かれているのだ、と論じているのだが、これは結果ありきの論であって、ふつうに水神と受け取ればいい。
    また説話の原型について。説話誕生に影響を与えた諸事情についてこれだけ調べを尽くしているのだから、逆にそれらの影響を差し引いていけば原型が辿れるはずである。残るものは何か。異界と人界の境界に棲む水神(←酒好き)。さらわれた姫君たち。主人公を助ける援助者。これはまぎれもなく、大蛇退治の物語だ。
    大蛇退治の物語は、日本のヤマタノオロチ、ギリシャのペルセウス神話など、神話や昔話の形で世界各地に分布する。大蛇は水のそばに棲み、多くの場合姫をさらったり喰らったりする。援助者を得た主人公は大蛇に酒を飲ませて頭を切り落とし、姫を救い出す。(もちろんさまざまなバリエーションがある。個人的には「がらがらどん」や「なら梨とり」も大蛇退治の物語であると考えている。)大蛇を倒す主人公もまた竜神としての特徴(長くなるので説明は省くが)を備えている場合が多く、その意味で本書の「頼光=雷公」説は素晴らしい。
    さてさらわれた姫たちは、本来は荒ぶる水神への供犠であったと考えられる。かつてそれは必要な犠牲だったのだ。その供犠の記憶が残り、しかもそれを良しとしなくなった時代に、大蛇退治の物語は発生する。制水権が異形の水神(自然そのもの)から人間の手に移ったことをあらわしている、とも言える。
    京都は水害の地であり、数百年から千年以前に水神に供犠を捧げていたことはありうるだろう。やがて大蛇退治の伝説が生まれる。それは著者が推定する鎌倉末期よりはるかに古い時代。伝説は語り継がれ、そこに本書で説かれたさまざまな事情が加わった。そうして生まれたものこそ酒呑童子説話ではないか。
    おっと、新説を唱えてしまった…。しかし、昔話や口承文芸学を研究している人はみなとっくに気づいているのではないだろうか。

    ところでこの年の瀬に、私はなぜこんなことをしているのか。まだ一枚も年賀状を書いていないぞ。

  •  手もとの本は、1992年刊行の中公新書版。中央公論社からは、2005年に中公文庫版が刊行された。

  • まぁ、鬼ということで(笑)「酒呑童子」のお話はとても好きなおとぎ話で、それに関する色々を読むのも好きなんですが、これはかなり堅い方です。

全8件中 1 - 8件を表示

酒呑童子の誕生―もうひとつの日本文化 (中公新書)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

酒呑童子の誕生―もうひとつの日本文化 (中公新書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

酒呑童子の誕生―もうひとつの日本文化 (中公新書)を本棚に「積読」で登録しているひと

酒呑童子の誕生―もうひとつの日本文化 (中公新書)の作品紹介

酒呑童子の説話には、日本人に内在する、天皇や国家が成す秩序の撹乱者への脅威や排除の心理を読み取ることができる。この異形の童子の正体とはなにか。紅毛人説、山賊説、鉱山師および鉱山労働者説などの諸説をさまざまな角度から検証するなかで、著者は、疫病を流行らせる神(鬼)である疱瘡神にその原像を見出す。酒呑童子説話の考察をとおして、中世社会の内と外、中心と周縁、境界や排除などにかかわる諸問題に鋭くせまる。

酒呑童子の誕生―もうひとつの日本文化 (中公新書)はこんな本です

酒呑童子の誕生―もうひとつの日本文化 (中公新書)の文庫

ツイートする