ポンペイ・グラフィティ: 落書きに刻むローマ人の素顔 (中公新書 1322)
- 中央公論新社 (1996年9月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121013224
作品紹介・あらすじ
七九年、ヴェスヴィオ山の大噴火によって火山灰の下に埋もれたポンペイの市街地には、競技場の塀、民家の壁など至る所に落書きが描かれている。文字を学び、記した人々は何を伝えようとしたのか。落書きの分析・解読を通じて、選挙運動に奔走する人、剣闘士の闘いに熱中する人、酒場で戯れる人など、様々な生活風景が姿を現す。ローマ帝国の下で繁栄をきわめたポンペイの実像に迫り、その社会と文化を言葉と文字の視点から捉える。
感想・レビュー・書評
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テーマ:らくがき
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落書きから人々の生活が浮かび上がっていて非常に面白かった。あとがきからラテン語碑文を訳す授業を通してこの本が出来上がったというのが訳していくのは楽しかったろうなと思った。
印象に残ったこと
ローマのアルファベットにはJ.Wがない
プリミゲニウスはスッケッサの幸運を祈る。さよなら私の小魚よ。 -
AD79年8月24日のヴェスヴィオ火山の噴火によって埋もれた町ポンペイの人々が書いた落書きがそのまま残ってるなんて驚きです。実際にそのラテン語を読みながら当時の社会状況がわかってきます。2000年前も今も人間の営みってそう変わってない気がしました。
「一万点以上もの残存する落書き。古代の現実の市街地を歩けば壁の落書きはもっと目についたに違いない。圧倒的な人々はひとかけらの文句さえ書くのがおっくうだった。しかし稀には書くことをいとわぬ時もあり書くことが好きな人がいた。さらには書くことを職業とする人もいた。そうした人々が残した落書きだけでも街なかの壁はあふれていただろう。」
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(2003.01.21読了)(2002.02.01購入)
落書きに刻むローマ人の素顔
(「BOOK」データベースより)amazon
七九年、ヴェスヴィオ山の大噴火によって火山灰の下に埋もれたポンペイの市街地には、競技場の塀、民家の壁など至る所に落書きが描かれている。文字を学び、記した人々は何を伝えようとしたのか。落書きの分析・解読を通じて、選挙運動に奔走する人、剣闘士の闘いに熱中する人、酒場で戯れる人など、様々な生活風景が姿を現す。ローマ帝国の下で繁栄をきわめたポンペイの実像に迫り、その社会と文化を言葉と文字の視点から捉える。 -
一夜にして火砕流に覆われ都市が滅んでしまった。現代の人からすると、おかげで、古代都市が先程まで息をしていた当時のまま現存するため、ありがたい。落書きから様々な仮説を立てて想像する文章。このため当時の生き生きとした生活が頭に描き出されてくる。
現代も古代も関心ごとに共通点を発見できる点に何か安堵できる。
現地を訪れる前に読んでおくと、良いと思いました。 -
ポンペイがあっという間に滅亡したおかげで残った壁の文字(選挙あり広告あり落書きあり)からみる古代の人たち。
識字率や公職のありかたも興味深いんだけど、なんといっても庶民の落書きが面白い。
「リア充爆発しろ」的なものや中高生カップルが観覧車に書く「ずーっといっしょv」的なものや「忘れないで」「こっちを見て」「あいつなんかクソ」みたいなものまで、なにこの2ch状態。
喧嘩しているようなものまである。落書きで喧嘩ってどういう状況だ。
公的な選挙用や闘技大会の広告に使われる略字がイニシャルにとどまらず「wktk」並みのすさまじさだったり、「○○が××へごきげんよう」という挨拶がたくさんあったりするのが可愛い。
ポンペイの印象が「完璧な形で出土した石の遺跡」から「かつて人の住んでいた場所」に変わった。人自体はそう変わらないんだな。 -
ポンペイ遺跡に刻まれてる「落書き」についての本。なかなかの名言ぞろいでおもしろい。
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ポンペイで見つかった落書き(グラフィティ)から当時のポンペイ社会を考察した著作。歴史におけるリテラシー(識字率・文字の果たす役割など)の視点を考えさせる。
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恋愛に関する落書きが一番面白かった。
もっと色々な落書きを見てみたい。