地震の日本史: 大地は何を語るのか (中公新書 1922)

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 76
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121019226

作品紹介・あらすじ

日本の歴史は、地震の歴史だと言っても過言ではない。人の記憶に残らず、文書に記述がないからといって、地震が存在しなかったと速断するのは大きな間違いである。地層を掘ってゆけば、地震の際に発生する噴砂や地滑りなどが、いつ、どのようにして起きたのかを、土や砂が雄弁に物語っていることに出会う。本書は、「地震考古学」を確立した著者による、日本歴史を地震の連鎖として描く異色の読み物である。

感想・レビュー・書評

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  • <閲覧スタッフより>
    「私たちの国で暮らし続けるには、地震との共存は避けて通れない。このためには、過去の地震から多くの知識と教訓を得ることが大切である」。縄文時代から2007年の新潟中越地震まで、日本史を“地震”からたどった一冊です。

    --------------------------------------
    所在記号:新書||453.2||サン
    資料番号:10183489
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  • 昔から大地震って10〜20年ごとに日本各地で起こってるのだな、と。

    一般の人だけじゃなくて、政治に関わった人にも関わりあるはずなのに、学校の日本史ではあんまりやらない。
    古くても江戸時代の火山噴火とか、文化史で鯰絵のこととかぐらい。
    学校で学ぶ歴史ってほぼ政治史なんだな、と改めて。

    そして現代を生きる我々に必要なのは、その場しのぎの対策だけではなく、長い日本の歴史から、専門家だけでなく、一般の人も学んで、地震や津波に備えることが大切なのではないかな、と。
    そんな風に感じてあとがき読んだら、それに近いことが記してあり、大きくうなずいてしまった。

    歴史って、今を生きるのに、未来を生きていくのに、役に立つということを改めて感じたし、そのことをたくさんの人に伝えられたらな、なんて思った。

  • ★考古学には関心薄★東日本大震災を契機に買ってみたが、ちょっと期待外れ。文献だけでなく地層から地震の歴史を読み取る「地震考古学」の本で、まっとうに時代ごとに代表例を淡々と列挙する。だが、そもそも自分は考古学という分野にあまり関心を持てないようで、頭に全く入ってこなかった。ただ、糞から動物の生態を調べる手法があるように、考古学にも様々な切り口があることは理解できた。

  • 古代からの大地震の記録が淡々と記述される。

    関東圏の地震については、関東大震災、安政の江戸地震くらいしか知識がなかったが、この本を読んで、富士山が噴火した宝永大地震、大津波が発生した元禄大地震、当時で二万人以上の死者が出たとされる鎌倉地震など巨大地震が何度も襲ったことを知る。

  • 以前から積読いて今回の東日本大震災を切っ掛けに読み始めた一冊。
    日本で起きた地震が縄文時代のものから記述されています。
    専門的な記述などに少し読みにくさを感じますが、日本史のどんな事件が起きた時にどんな地震があったかが分かる興味深い内容です。
    改めて日本が「地震大国」であることを実感しました。

  • [ 内容 ]
    日本の歴史は、地震の歴史だと言っても過言ではない。
    人の記憶に残らず、文書に記述がないからといって、地震が存在しなかったと速断するのは大きな間違いである。
    地層を掘ってゆけば、地震の際に発生する噴砂や地滑りなどが、いつ、どのようにして起きたのかを、土や砂が雄弁に物語っていることに出会う。
    本書は、「地震考古学」を確立した著者による、日本歴史を地震の連鎖として描く異色の読み物である。

    [ 目次 ]
    第1章 縄文時代~古墳時代
    第2章 飛鳥~平安時代中期
    第3章 平安時代後期~室町時代
    第4章 安土桃山時代
    第5章 江戸時代
    第6章 江戸時代末期
    第7章 近・現代
    終章 二一世紀の地震

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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 2008/3
    タイトルどおり、ストレートに日本で発生した地震の歴史が書かれている。ただ、本格的に地震を科学的に捉えており、当時の史料をもとにして、どのような形の地震だったのか、原因などを深く探っている点でとても評価できる。専門的な記載もおおく万人受けはしないかもしれないが、面白かった一冊。

  • 第1章 縄文時代~古墳時代/第2章 飛鳥~平安時代中期/第3章 平安時代後期~室町時代/第4章 安土桃山時代/第5章 江戸時代/第6章 江戸時代末期/第7章 近・現代/終章 二一世紀の地震

  • 過去の地震の痕跡を遺跡から見つける。液状化現象の証拠である噴砂・砂脈や、断層のずれなどである。それらを文献記録と照合しながら地震の歴史を跡付けていく。そんな風に数々の地震を時代順に淡々とつづっていくだけの本。東海地震・南海地震あり、複数の断層が連動した内陸型地震あり。とにかく日本は100年と置かずに大きな地震に襲われていることが良く分かりました。

    琵琶湖西岸断層帯は西側が上昇して東側が下降する活動を続けている。そのために琵琶湖は、周囲の陸地から砂や泥が運び込まれても、沈降を続けているために大きな湖であり続けている。

    古代の人たちが、地割れの上に土器や石を置いて地震を鎮撫しようとした跡も見つかっている。

    高知県中村市アゾノ遺跡の例。11世紀から15世紀末まで幾世代にもわたって生活が続いていた。それが1498年の明応東海地震(+南海地震)を境に生活の後が途絶える。当時の人にとっても、まさに想定外の出来事であったろう。

    寺社などの古い建築も、現存するものは幾たびもの震災をくぐり抜けてきているわけだ。

    飛騨の帰雲城を飲み込んだ1586年の天正地震(これは複数の断層帯が連動してM8クラスになった内陸型地震)や、雲仙の噴火で城下町を地すべりで海に押し流して津波まで起こした1792年の島原大変肥後迷惑など、まさにカタストロフィ。

    余震とは逆に、前兆のような小さな地震が本震の前に起こるケースも結構ある。そう言えば、3.11の2,3日前にも地震があった。要注意。

    江戸時代から地震天罰論が書き残されている。理不尽な天災に何とかして理由付けをしようとする普遍的な人間心理なのだろう。

    一方、災害ユートピア的な現象も見られる。旧来の社会構造が一時的にでも壊れて、世直し的な期待感が高まる。大工仕事などで復興景気も。もちろん物価つり上げを取り締まる向きも。1855年安政江戸地震の例より。

  • 【配架場所】 図・3F文庫新書(中公新書 1922) 
    【請求記号】080||CH||1922

    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/book/121326

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著者プロフィール

1947年、香川県生まれ。東北大学大学院博士課程修了、理学博士。地震考古学を提唱。通商産業省地質調査所と産業技術総合研究所で長く研究に携わる。主な著書に『地震考古学』『地震の日本史 増補版』、『秀吉を襲った大地震』『日本人はどんな大地震を経験してきたのか』、『歴史から探る21世紀の巨大地震』などがある。

「2019年 『地図で見る 日本の地震』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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