和の思想―異質のものを共存させる力 (中公新書)

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著者 : 長谷川櫂
  • 中央公論新社 (2009年6月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121020109

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和の思想―異質のものを共存させる力 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 日本文化の根底に流れている思想を解き明かした最高の一冊だと思います。日本人とはどんな民族なのか、考えずにはいられなくなります。私は、日本人の感性についての考え方が大きく変わりました!日本ってとっても面白い国なのに、当の日本人がそれに気付いていないんですね…目の前にあるからこそ気付けないのでしょうか。この本を読むと、日本人であることを心から誇りに思えるので、何度でも読み返したいです!

    たとえばデザインに関わっている日本人の方なら、ただの「和風」なデザインに留まらない「和」という概念とその思想を理解することが重要だと思います!おすすめです!

  • 古池や…の解釈

  • 先日の句会でボクは、
    「もやもやとした真実やとろろ汁」という句を出した。
    講評で長谷川櫂先生は、「季語がつきすぎる」とし、
    本書を紹介していただいた。

    俳句では「とりあわせ」ということが、よく云われる…
    では、「とりあわせ」とは、どうすべきものなのか…本書では、
    まず、和というものは対立するもの、相容れないものを和解させ
    調和させるものとし、間のたいせつさを説く…

    ―なぜ付きすぎがよくないかというと…理屈でつながってしまって、
     ここに間が生まれないからである。付きすぎの句とは
     間のない句のことであり、逆に離れすぎの句は間が
     拡散してしまった、とりとめのない句のことである。

    ふ~む…なるほど、と理解はしてもなかなか、うまくはつくれない。
    それゆえ、俳句は奥深く、面白いものなのかも…
    沈思黙考してふわふわと精進するのが、よろしいのかな?
    そればかりでなく、いろいろと学ぶことの多い一冊だった。

    特に、終章に置かれた次の一節は、現今の日本を思うと重い…

    ―いつの時代、どこの国でも、過剰なナショナリズムは
     人々の自信から生まれるのではなく、追い詰められた人々の
     不安や恐怖から生まれる。熱狂的なナショナリズムの仮面を
     はぎとると、そこには必ず自信を喪失した人々の不安な顔がある。

  • 大学のレポートの参考文献にしようかなあ、と思って何の気なく手に取った本だったが、「和」に関する考え方を大きく覆された。

    和の本来の姿は、本書のことばを借りれば「天地、鬼神、男女、武士のように互いに異質なもの、対立するもの、荒々しいものを『力をも入れずして……動かし、……あはれと思わせ、……和らげ、……慰むる』、こうした働き」をもつものである。
    また、それは我々が和の空間と呼ぶ「近代化された西洋風のマンションの中に一室だけ残された畳の間」とは別物であるという。
    「むしろ西洋化された住宅の中に畳の間が何の違和感もなく存在していること、これこそ本来の和の姿である」。

    今まで私は畳や扇子、着物などに和を見出してきたつもりになっていたが、それは本来の和ではなかったよう。
    本書で詳しく解説されているように、歴史的に考えてみても、「調和」の文化が和であるように思われる。

    また、日本的な文化のあり方について、「暑苦しさを嫌う」という観点から論じているのも興味深い。
    和辻哲郎の「モンスーン型」などの分類を想起した。(ただ、和辻の著作に親しんでおらずそれと同じものかはわからないが)

    いたずらに和洋折衷と咎めるのではなく、新たな文化を生み出す姿こそ和であると考え、文化の変遷を見守っていくほうがいいのかもしれない。

  • 第1週 1/11(水)~1/18(火)
    テーマ「日本・日本人・日本語」


    ↓貸出状況確認はこちら↓
    http://yamato.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/ctlsrh.do?bibid=BB00171850&maxcnt=1000&listcnt=50

  • 手元に買い求めた

  • ・和とは本来、様々な異質のものを調和させ、新たに創造する働きを言った。なぜ、この和の力が日本に生まれ、日本の人々の生きる力の源となったのか。豊富な事例から和の原型に迫る。
    ・自分いないものを相手がもっているから相手に惹かれる。性格の不一致が離婚の理由というのはおかしい。
    小倉百人一首、源俊頼の歌。うかりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを(長谷観音にお参りしてある女への恋の成就を祈願したが、その女は心を開くどころか、いっそう冷たくなった。願いを叶えてくれなかった長谷観音への恨みの歌である。憂かりける=つれない。)
    ・日本人は生活や文化のあらゆる分野で間を使いこなしながら暮らしている。それを上手に使えば、「間に合う」「間がいい」ということになり、使い方を誤れば「間違い」、間に締まりがなければ「間延び」、間を読めなければ「間抜け」になってしまう。間の使い方はこの国の最も基本的な掟であって、日本文化はまさに間の文化である。
    ・フラワーアレンジメントは花によって空間をようとするが、生け花は花によって空間を生かそうとする。
    ・西洋のクラシック音楽は、沈黙を恐れ、音楽である以上、一瞬たりとも音のない時間を許すまいとする衝動に駆られているかのように思える。それにひきかえ、日本古来の音曲は琴であれ笛であれ、音の絶え間というものがいたるところにあって長閑なものだ。

  • 和、間。受容、選択、変容。

  •  日本の思想とされる「和の思想」とは何なのかを追求した本。

     著者はこの思想を「異質なもの共存させる」力としている。それはたとえば、透明アクリルのティーテーブルや白い大理石の洗面台を和風の旅館と見事に調和させることや、現実世界(蛙飛び込む水の音)と心の世界(静けさや)を取り合わせ(積極的に「和」を作り出すこと)ている松尾芭蕉の句に表される。

     和の思想の背景には「間」という考え方がある。中国のものと異なり、日本の書や絵画などには余白が大きく存在しているが、著者はこうした現象は日本の夏の蒸し暑さに求めることができると主張する。

     隙間なくぎっしり書(描)けば息苦しいし、暑苦しくなる。だから、日本人は「間」を作ることで、すっきりとしていて涼しげであることを表現してきた。それを九鬼周造流に言えば「いき」=「粋」である。

     日本人は閉鎖的で排他的という意見があるが、これは大違い。日本人が海外への好奇心が強いことは遣唐使と共に多くの留学生が入唐したことや、明治政府が欧米諸国に多くの留学生を送り出したり、お雇い外国人を招いたりしたことからわかる。

     宗教についても、平安時代には「神仏習合」という考え方が生まれ、江戸時代の隠れキリシタンは「マリア観音」を拝んでいた事実がある。今でも年末にはクリスマスを祝ったあとに大晦日に除夜の鐘を撞き、年が明けると神社に初詣に行く。日本の「和」は一神教を多神教とも共存させてしまう。

     この本を読んで「間」の発想と、異質なものの共存という考え方が好きになった。繰り返すが、和というものは異質なものを共存させることである。そのため異質なものを弾き出して人や事物に同じであることを求めるのはただの馴れ合いである。これを頭に刻み込みたい。

     文章自体も美しく、内容も頭に染み入るように理解が進んだ。「見事」としか評価しようのない一冊。

     余談だが、私のこの文章は結構ぎっしり書いているので暑苦しくて窮屈かもしれない。野暮。

  • ---言葉は人と人とをつなぐものであり そのために人と人とのあいだの間を埋めてゆくという性質をもっている---
    (それ故に日本人は沈黙を選んだ 日本人には間が必要であったのだ)

  • すべてを柔軟に受け入れて、共存させる和の力。
    美術とかの観点だけじゃなく、国際化していく社会においてどんな風になっているのかってことも検証してみてほしかったな。
    でも考えた方に少なからず影響を与えた本でもある気がします。

  • 日本式の厠はなんと奥ゆかしいことか。それは土の壁と木の板によって仕切られたほのかな暗がりの中にあって、静かに瞑想を誘う空間である。しかしいまさら、この東洋の暗がりの安逸の世界に戻るわけにはいかない。
    日本人は明治時代以降、近代化(西洋化)に夢中のあまり、異質なもの同士の調和という、本来の和の姿を見失ってしまった。

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和の思想―異質のものを共存させる力 (中公新書)の作品紹介

和食、和服、和室…、「和」はいろいろな言葉に添えられて日本的という意味を付け加えているにすぎないようにみえる。だが本来、和とは、異質のものを調和させ、新たに創造する力を指すのだ。倭の時代から人々は外来の文物を喜んで迎え、選択・改良を繰り返してきた。漢字という中国文化との出会いを経て仮名を生み出したように。和はどのように生まれ、日本の人々の生きる力となったのか。豊富な事例から和の原型に迫る。

和の思想―異質のものを共存させる力 (中公新書)はこんな本です

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